【エルバッチャ】福間健二 #k2fact226

6月8日から19日まで。アローン・アゲイン、またひとりぼっちだ。でも、勝手に生きていいとわけではない。どうすべきか。「事務室」に相談に行こうとしているが、その途中、いろいろとじゃまされて「事務室」に行けないという夢からスタート。「雑草」が好きだが、それを一語で言えるイタリア語の「エルバッチャ」をいつか使いたいと思っていた。6からのヤス伯父さんは、並行して書いていた「十二区のバラード」という作品の登場人物。愛着があってここにも出したくなった。 音楽は、フランク・オーシャンの「Nights」。新しさに感情が追いついていると片付けたいが、そうはいかないだろうアルバム『Blond』 の一曲。 https://www.youtube.com/watch?v=r4l9bFqgMaQ
1
福間健二 @acasaazul

哺乳類にも鳥にも伝説の動物にも飽きた。好きな音楽がわからなくなる。慣れてはいけないと思う長い夜。一ミリずつ死ぬ。いまは左膝だが、次に痛くなるのはどこだろう。アローン、仕切りのむこうのスタジアム。掃除していた人たちも帰った。湿った空気。ぬけがらもない。(エルバッチャ1)#k2fact226

2019-06-08 13:25:24
福間健二 @acasaazul

長い夜。老人たちにはシカゴだが、いまは相談ごとがあって行く事務室までの長い廊下。でも、あった。おおまかに言うと労働者のぬけがらを集めた袋、段差、曲がれないぼくの入れたものも、入れると渡されたものも。古典的。だから、ぬけがら。事務室に着く前に目がさめる。(エルバッチャ2)#k2fact226

2019-06-09 09:37:13
福間健二 @acasaazul

灰皿がわりの缶を渡された。それは言える。袋には何を入れたか。言いなさい。何から何まで。しっかりした根のないその身と心が放出するもの。純粋な線を描くはずがない。アゲイン、不完全な空白だ。彼は扱いにくい缶に言葉で蓋をして、二十分か三十分、ぼんやりした。(エルバッチャ3)#k2fact226

2019-06-10 09:00:51
福間健二 @acasaazul

入口と出口。上と下。ひとりでいて、監視されていないと安心しそうになるときも、区別して使う。ローカル、くすぐらない。よそとの違いを強調するおびただしい管に翻弄されないことだ。朝ごはん、どうする。吉野家もドトールもない。流れているニュースも食えない。(エルバッチャ4)#k2fact226

2019-06-11 09:17:10
福間健二 @acasaazul

手を振ってくれる人がいる。テーブルと椅子の並ぶ場所の奥。そこに行こうとするが、どこまでも奥があって、進むうちにその彼あるいは彼女を見失う。ぼくに手を振ったわけじゃないかもしれしない。その彼あるいは彼女になること。はがれかけた壁紙の、不屈のさびしさ。(エルバッチャ5)#k2fact226

2019-06-12 10:58:10
福間健二 @acasaazul

どこまできたのか。この胸のドキドキ。切るもの、切れるもの、見えないようにして、やっとの意外な贅沢。チェダーとカマンベール。「製品」の気持ちになってみろ。なつかしいヤス伯父さんの言葉を思い出しながら、青い沼のひとり。求めすぎないが、求めないわけじゃない。(エルバッチャ6)#k2fact226

2019-06-14 08:46:06
福間健二 @acasaazul

ヤス伯父さん、夜も書いた。追いついてくる意識を振り払って飛んだ。でも、低く、とても低く。飛びながら潜っていた。潜りながら飛んでいた。海をわたってシカゴで知ったイタリア語。エルバッチャ、雑草だ。いつのまにかアスファルトの上。朝食べるものは決めている。(エルバッチャ7)#k2fact226

2019-06-16 08:25:34
福間健二 @acasaazul

バターを塗った食パン二枚。牛乳入れないアールグレイも大きいカップで二杯。でも、数字2に復讐されないように。あと三、四分欲しい。梅雨のあいまの、爽やかな天気の日。やることはいくらでもあるが、準備の楽しいことからする。いいよ、見なくても。本心は見えない。(エルバッチャ8)#k2fact226

2019-06-17 11:56:06
福間健二 @acasaazul

ヤス伯父さんが歩いたテイラー通りの部品たち。入るところにカチッと入ると気持ちいいけど、入るべきところだったかどうか。半世紀前のぼくに似たあわてんぼうのためにメモを用意した。インディヴィジビレ、割り切れない。エルバ、草。ボナジョルナータ、よい一日を!(エルバッチャ9)#k2fact226

2019-06-18 10:15:22
福間健二 @acasaazul

相談ごと、なんだったのか。来るはずの、黒いコートの人たち。終わるはずの、ふしぎに明るい、揺れる日々。まだ、なのではない。とても弱い力、でも効く。来て、終わって、そのあとの「どうする」がまた「待つ」になる地面をいつのまにか征服しているエルバッチャだ。(エルバッチャ10)#k2fact226

2019-06-19 10:29:07