共産党が推定無罪の原則の否定を公約にしました。性犯罪の刑事裁判では、被告に立証責任を負わせる”立証責任の転換”を公約にしています。

共産党の掲げる性犯罪の同意要件とは、刑事裁判の場において加害者に同意の立証を求めるという、推定無罪の原則を否定するものでした。 刑法学者の井田良教授が批判した、”疑わしきは被告人の利益に、という原則の否定”に他ならなかったのです。
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まとめ 共産党が性交渉の原則違法化を参議院選挙の公約にしました。 不同意性交罪は、(HRNの後藤弘子の主張に沿えば)、性交渉を原則違法化した上で、同意が確約したものだけを合法にするという論理の刑罰です。 ゆえに刑事裁判における”推定無罪の大原則”が覆され、推定有罪がまかり通るという状況になります。 2019/06/23追記 共産党は同意要件新設の際は、性犯罪の刑事裁判において、検察の立証責任(推定無罪の原則)を破棄し、加害者に立証責任を負わせること(推定有罪)を国会で要求してました。  結局、井田良教授や吉峯耕平弁護士らの”不同意性交罪は推定有罪を適用するものだ”という批判は当たっていたわけです。 185994 pv 4081 467 users 496

まとめ 共産党の「セックスは原則犯罪」公約って?吉峯弁護士と共産党員を名乗る方の対話。 共産党の公約はこちら。 (2)性暴力やDVを許さない社会をつくります  国連は、セクハラ、性暴力、DV等を「女性に対する暴力」と規定し、女性差別撤廃のために対策を抜本的に強化すべきだとしていますが、日本はこれらの法整備と被害者への支援体制がきわめて不十分です。 ――性暴力被害者の6割が誰にも相談せず、苦しみを一人で抱えています。被害者がいつでも相談でき、心身のケア、証拠保全、包括的な支援を受けられるワンストップ支援センターを抜本的に充実させます。野党共同提出の「性暴力被害者支援法案」の成立をめざします。 ――強制性交等罪の「暴行・脅迫要件」の撤廃と同意要件の新設をはじめ、性暴力の根絶につながる刑法改正を行います。 ――JKビジネス、AV出演強要などの性被害から子ども・若者を守るために、子どもや女性の.. 48600 pv 876 37 users 55

共産党は性犯罪の刑事裁判では、加害者(被告)に立証責任を負わせるという公約を掲げました。

・共産党 2019年参議院選選挙公約
7、性暴力被害者支援
女性に対する暴力の根絶へ、性暴力被害者支援法の成立と、刑法改正の実現を
2019年6月
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/2019-bunya07.html

暴行や脅迫がなくても、同意のない性交等は、被害者の心身と生活に深刻な打撃を与える、重大な性暴力です。
「暴行・脅迫要件」が処罰化の障壁になっている現状を撤廃する改正が必要です。

また、刑事司法の実務では、加害者が「被害者の同意があった」、「被害者が不同意ではないと思った」などと誤認していれば、安易に故意を阻却している問題が起きています。

この対策として、少なくとも
加害者が、被害者から同意を得たか否かを確認するための段階を踏んだことを構成要件とする、この事実について立証を求めるなど、要件の新設をもとめます。

よう @ragarut

女性に対する暴力の根絶へ、性暴力被害者支援法の成立と、刑法改正の実現を #比例は共産党 #参院選 jcp.or.jp/web_policy/201… #日本共産党 公約の分野毎の詳しい版が出たんですが、普通に被告人に立証責任を転換する条文を例として提案していますね……。 pic.twitter.com/BsXRyvnFmI

2019-07-05 13:49:44
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よう @ragarut

この被告人が行う立証ってどういうのを想定してるんです?段階を踏みました根拠は私の言葉ですじゃダメですよね?書面でもとるかビデオでもとるか?ちょっと現実的とは思えない pic.twitter.com/tg2cFShk7a

2019-07-05 13:49:47
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よう @ragarut

なるほどと思えるとこもあるのになぁ pic.twitter.com/Mvwkcn34u4

2019-07-05 13:49:54
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よう @ragarut

まあこういう立証責任の転換例として提示しており、共産党は性交を原則違法にしようとしてるとか言われても仕方ないと思いますね pic.twitter.com/6G2X9CTOyp

2019-07-05 14:45:58
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よう @ragarut

「この事実について立証を求めるなど、要件の新設をもとめます。」の求められる対象がよくわからんどうも練られてない感じの文章ですが、これ普通に読むと加害者に負わせてるよなぁ pic.twitter.com/QYsLqQ5iOg

2019-07-05 14:47:42
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よう @ragarut

共産党でこれで熱心に取り組んでるのが辰巳氏で、辰巳氏が同意を被害者にやらせてる立法ハンドブック取り上げてるの見ると、これかなり辰巳議員の影響が濃いと見るがどうなんだろうか。 pic.twitter.com/G1B0u7EpWm

2019-07-05 15:22:36
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不同意性交罪は、”疑わしきは被告人の利益に”、という刑事裁判の根本原則を揺るがすと、刑法学者の井田良教授は批判します。

性犯罪の罰則に関する検討会第6回会議(平成27年2月12日)
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00105.html

議事録5頁
http://www.moj.go.jp/content/001138926.pdf

井田良教授発言
暴行・脅迫要件を一般的に排除するとどういうことになるかと言えば、それは被害者の意思に反することを間違いなく確信することができないような事例を強姦として処罰する、有罪とするということを意味することになりましょう。

ヒアリングでは、全ての性交は不同意なのだというところから出発しなければいけないという御意見もありました。

その趣旨は正に“in dubio contra reum”
つまり「疑わしきは被告人の不利益に」という原則をここでは妥当とさせるべきだということにほかならないのです。

私はそのような、刑事裁判の根本を揺るがすことを認めてはならないと考えるわけであります。

共産党のこの公約に対する吉峯耕平弁護士の見解。

高村武義 #WalkAway @tk_takamura

@kyoshimine 失礼します。共産党は不同意性交罪の構成を考えていないと記事で答えていましたが、公約には構成が書いていました。加害者に立証責任を負わせるものと解釈できるのですが、吉峯先生の見解はいかがでしょうか? pic.twitter.com/0qUHnZpBjS

2019-07-05 18:25:02
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弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

@tk_takamura こんなものは具体的な構成要件の案とは言えません。「同意」の中味や、他の構成要件との関係が一切示されていません。 ただ、被告人に同意の立証を求めるものですから、無罪推定の原則を正面から踏みにじるものです。 これは、記事では辰巳議員の意見として書いたものです。

2019-07-05 18:28:33
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

@tk_takamura 不同意性交罪自体が無罪推定の原則との関係で問題がありますが(井田説)、辰巳意見は正面から無罪推定の原則を破るものと理解しています。 ただ、公約を撤回しろといっても無理でしょうから、辰巳意見を撤回しろと言っていました。

2019-07-05 18:43:07

吉峯耕平弁護士が取材を受けたのが以下の記事です。

"共産党の「セックスは原則犯罪」公約を弁護士が徹底批判"
(Smart FLASH 社会・政治 2019.07.01)
https://smart-flash.jp/sociopolitics/73876/?rf=2

"共産党の辰巳孝太郎議員は、国会で、同意があったことを被告人に証明させるべきだと主張しています。後から同意があったことを証明するのは難しいですよね。無罪推定という刑事手続の大原則を踏みにじるような主張です"

あだちけいた弁護士の見解。

高村武義 #WalkAway @tk_takamura

@keita_adachi 失礼します。共産党は不同意性交罪の同意要件の具体的な中身はまだ考えていないと答えていましたが、公約には次の文章が載ってました。加害者に立証責任を負わせるものと解釈できるのですが、あだちけいた先生の見解はいかがでしょうか? ソース:jcp.or.jp/web_policy/201… pic.twitter.com/vD6QWXlXZM

2019-07-05 19:22:57
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足立敬太 @ぼっち・ざ・ろいやー💙💛祝38年ぶり日本一 @keita_adachi

@tk_takamura 立証責任の転換自体全くないわけではないものの近代刑事訴訟の原則をゆがめるものでありますし、刑事訴訟対応への重い負担を被疑者被告人に課すもので、他党ならともかく自身がときの権力から激しく弾圧されてきた共産党がこの点に無関心なのは残念です。

2019-07-05 19:37:03
弁護士 亀石倫子@立候補年齢引き下げ訴訟弁護団 @MichikoKameishi

強制性交等罪の構成要件における暴行脅迫要件は、実務上ほとんどないに等しいような運用をされている(意に反する性行為自体が暴行にあたる、というように)ことが、まず理解されていない。(続く) pic.twitter.com/Rfx5BvaD7w

2019-03-28 22:27:16
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弁護士 亀石倫子@立候補年齢引き下げ訴訟弁護団 @MichikoKameishi

暴行脅迫要件を撤廃しても結局合意があったかなかったかに行きつくところ、合意があったことの立証責任を被告人に負わせるというのは、刑事裁判の基本原則を根底から覆すレベルのこと。刑事司法への無理解が甚だしい。(続く) pic.twitter.com/rIeBhn12je

2019-03-28 22:36:17
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弁護士 亀石倫子@立候補年齢引き下げ訴訟弁護団 @MichikoKameishi

それでもこのご時世、暴行脅迫要件は撤廃!過失犯も処罰を!立証責任は被告人に負わせろ!と言えば、多くの支持を得られるのだろう。 私にはとてもできないけど。 性犯罪をなくそうという方向性にはもちろん賛同。別の方法論を考えよう。

2019-03-28 22:42:06
弁護士 吉峯耕平 @kyoshimine

@marmarma9999 @KazukoIto_Law 亀石先生が言及しているのは共産党の辰巳議員の国会質問です。 国会議事録がまだ公開されていないので、詳細がわからないのですが、辰巳議員は、「立法ハンドブック」を引用しており、その記載は被告人に立証責任を負わせるような内容となっています。 twitter.com/MichikoKameish…

2019-04-21 18:35:44

第198回国会 予算委員会 第14号 平成三十一年三月二十六日(火曜日)
辰巳孝太郎共産党参議院議員の国会質疑

○政府参考人(小山太士君)
 刑法百七十七条の強制性交等罪の要件は、十三歳以上の者に対し暴行又は脅迫を用いて性交等をすることであり、刑法百七十八条二項の準強制性交等罪の要件は、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ若しくは抗拒不能にさせて性交等をすることでございます。

○辰巳孝太郎君
 強制性交等は、反抗を著しく困難とする程度の暴行、脅迫を用いて性交し、それを認識していたか、準強制性交等は、心神喪失、抗拒不能であることを認識し性交したかが問われます。激しく抵抗できなければ暴行、脅迫要件が適用されず、そして途切れ途切れに抵抗すると心神喪失も抗拒不能も認められない。
じゃ、被害者どうすればよかったのか。
 例えば、拒否の意思を示しており、相手の同意がないのは明らかなのに、現在の法律ではレイプとされないことがある。
同意がないから殴るんじゃないのか。そもそも、性交などを行うときに相手の意思や心情を尊重するのは当然のことだと私は思います。むしろ確認することもなかったということが非難されるべきではないのか。
 二〇〇九年、国連は、女性に対する暴力に関する立法ハンドブックを作成しました。
そこでは、明確で自発的な合意がない限り犯罪が成立することとし、その立証に当たっては、加害者に対し被害者から同意を得たか否かを確認するための段階を踏んだことの証明を求めるべきであるとしています。
 大臣、そもそもこういう暴行、脅迫要件は撤廃されるべきなんじゃないですか。

○国務大臣(山下貴司君)
 お答えいたします。
 お答えする前提として、先ほどるる読み上げられた個別案件とは全く無関係にこれは答弁をさせていただきたい。というのは、個別案件に関して、個別の事実認定に関して法務大臣がコメントするということはこれは適当ではないと考えますので、先ほどるる読み上げられたものとは異なるというところで、一般論として私は答弁させていただきます。
 その上で答弁をさせていただきますと、平成二十九年の刑法改正においては、暴行、脅迫の要件を一般的に撤廃することについて、以下、これから述べるような問題があり、慎重な検討を要するものと考えられ、改正が行われなかったところでございます。

 すなわち、これは、暴行、脅迫というのは、これは外形的行為ということでございますが、そういった外形的行為がないときには被害者の不同意を証明するのが容易でない上、性交に応じるか否かという内心の立証や認定は難しいという指摘。

実務上、具体的事案に応じて、被害者の年齢、精神状態、行為の場所、時間などの様々な事情を考慮して暴行、脅迫の要件が認められており、暴行、脅迫の要件のみが障害となって処罰されていないという状況にあるということについては、これは一概には言い難いということでございます。

 ということで、適切な検討のために、他方で刑法一部改正法の附則においては、広く性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方に関する検討が求められておって、現時点で検討の対象として具体的にどのような施策を取り上げるのかについて確たることを申し上げることはできませんが、適切な検討を行うことができるよう、まずは性犯罪被害の実情の把握等を着実に進めてまいりたいと考えております。

日本弁護士連合会は”推定無罪の原則”、”疑わしきは被告人の利益に”、という原則を次のように説明しています。


日本弁護士連合会 刑事裁判のルール
https://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/becoming/mind.html

■ 無罪の推定
「無罪の推定」とは、犯罪を行ったと疑われて捜査の対象となった人(被疑者)や刑事裁判を受ける人(被告人)について、「刑事裁判で有罪が確定するまでは『罪を犯していない人』として扱わなければならない」とする原則です。
「無罪の推定」は、世界人権宣言や国際人権規約に定められている刑事裁判の原則であり、憲法によっても保障されています。

■ 疑わしきは被告人の利益に
すべての被告人は無罪と推定されることから、刑事裁判では、検察官が被告人の犯罪を証明しなければ、有罪とすることができません。
被告人のほうで、自らの無実を証明できなくてもよいのです。
ひとつひとつの事実についても、証拠によってあったともなかったとも確信できないときは、被告人に有利な方向で決定しなければなりません。
これを「疑わしきは被告人の利益に」といいます。


共産党の”性犯罪の刑事裁判での立証責任を被告に負わせる”という公約は、刑事裁判の大原則である”無罪の推定”、”疑わしきは被告人の利益に”を否定する、極めて問題のある公約だといわざるを得ません。