【星を遺す者】吊るされ男は秘密と踊る

ヒポ先生（聖別）／FateESアフター @higururoll

――全ては愛のため。 ――全ては、この組織の、この星の、この自分のために。 最後の戦いを、始めよう。

銭茜／岩陰の🦀 @Zegna_red

@higururoll ｢――モニカ・モルガン・ミッターマイヤー、こちらに。これよりはあなた様の、あなた様だけが振るうことを許された剣。如何なる煉獄であろうと、屍山血河であろうと、あなた様の進む道を切り開きましょう。どうぞ、ご随意に｣ ｢わたくしの身も心も――あなた様の為だけに、お使いしますの｣

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@Zegna_red 「ああ、モニカさん。来ていたのですね」 傍らには人ならざる刃。女の形をした、美しい殺人兵器。 「ええ、ええ、使ってみせましょう。私のために働いてください、モニカさん」 逃げ出すラスキウスの信徒たちを前に、男は笑みを浮かべる。 →

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@Zegna_red ではまず、最初の指示を一言。 使い心地を確かめよう。 「では、モニカさん。彼等を死なない程度に痛めつけてくださいますか？」

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#吊るされ男は秘密と踊る 古くから続く貴族には、後ろ暗い部分の一つや二つはあるものだ。 帝国十二侯爵家の一つ、アリストクラット家とてそれは変わらない。 精強な私兵を持ち、強い権力を蔓延らせてきたこの家は、その裏で政敵の抹殺などを行ってきたのだ。

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そんなことをしていれば、当然アンダーグラウンドな存在との付き合いも出てくる。 メムは、その『裏の伝手』を辿った。あれ以来所在の知れなくなったモニカを探した際、表の伝手では何も掴めなかったからだ。 そうして、辿って。辿って。辿って。 辿って――見つけた。

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. ――モニカ・モルガン・ミッターマイヤー。 .

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今は亡き没落貴族のミッターマイヤー家の生み出した、人工人間。暗殺だけに特化された遺伝子と技術を持つ人の形をした破壊兵器。それが彼女だった。 「どこにいるかまでは掴めませんでしたか……。とりあえず、ミッターマイヤー家の跡地にでも行ってみますかね」

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彼女の現在の居場所など、それこそ女帝でもなければ知り得ないだろう。だが、あまり彼女に頼りすぎるのも考え物だと思い、今回は自力で調べることにした。尤も、きっと彼女はそれをもお見通しなのだろうが。

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今では誰も訪れることのないミッターマイヤー家の跡地へと赴く。 原型を留めないほどに破壊された屋敷らしき残骸は、モニカが暴れた跡なのだろうか。 屋敷の間取りはなんとなくで分かる。帝国の貴族の屋敷はだいたい似たような構造で作られているからだ。

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「さて、私の勘が正しければ、この辺に隠し扉が……っ」 あちこちの壁や床を叩いて回れば、そのうちどこかでがこん、と音がした。隠し扉が開いたのだ。そのまま現れた扉をくぐって地下へと降りる。 埃を被ったまま安置されている地下空間は、研究施設のようだった。ホムンクルス精製所なのだろう。

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幾つかの部屋を見て回り、幾つもの破られた扉を通って。 八個目の扉をくぐった時、目の前に現れたのは培養槽の形をした子宮たちだった。 「これはこれは……」 既に中身のない子宮たちの残骸が雑然と立ち並ぶ空間。その美しくもおぞましい姿に身震いする。

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人が人を造り出す。それは禁忌とされてきたことだ。 「貴族というのはどこもくだらなく、おぞましいものですね」 そんな感想を溢しながら、培養槽の間を歩く。 そして。 そのうちの一つ。『Monica』と書かれたプレートの傍に、彼女は静かに眠っていた。一瞬死んでいるのかと勘違いしたほどだ。

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――見つけた。 「モニカさん、モニカさん」 触れれば、彼女はまだ温かい。生きてはいるらしい。 その頬に降り積もる雪を払いのけながら、仮初の主は声を掛ける。 「モニカさん。私です、メムです。……迎えに来ましたよ」 それは、男がラスキウス聖織軍へ謀反を起こす二日前のことだった。 @Zegna_red