茂木健一郎さんの連続ツイート 「世の中は無答がいい」

脳科学者・茂木健一郎(@kennichiromogi)さんの5月23日の連続ツイート。 ユダヤ系のノーベル賞受賞者が多いことから考えたこと。 テストの点数重視の日本では・・・
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茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(1)昨日、ご飯を食べながら内田樹さんとお話していた時に、ユダヤ人の話になった(内田先生のご専門)。イスラエル政府のホームページには、ユダヤ系(定義:母親がユダヤ人)のノーベル賞受賞者のリストがあるが、そのペースだと、日本人は550人受賞していなければならない。

2011-05-23 08:25:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(2)なぜ、ユダヤ人はかくも優秀なのか。内田先生曰く、タルムードには二系統あり、ラビもいつも二人いる。何が正統なのか、答えなのかわからないままに、延々と議論を繰り返す。それがいいのであると。

2011-05-23 08:26:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(3)なるほどと思った。答えがわからない、宙ぶらりんの状態に耐えられるかどうか。リヒャルト・シュトラウスの『サロメ』にも、ユダヤ人たちが延々と弁ずるシーンが出てくるが、あの執拗に議論する精神の強度が、数多くの天才を生み出してきたのだろう。

2011-05-23 08:28:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(4)飜って日本のことを考えると、ペーパーテストの点数で大学入試が決まるという旧態依然たる制度のために、世の中のすべてには「答え」があると思う傾向が強い。だから、事故の検証でも、誰が何をした、何が正しかった、などと点数装置が稼働する。無答精神に欠けること甚だしい。

2011-05-23 08:30:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(5)脳科学に対する質問もそうで、「英語はどう勉強するのがいいのですか」と来る。答えがあると思っているのである。そんなことはどうせわからないのだから、とっととやるのが良い。答えを聞いて安心したいという気持ちが、強すぎる。子どもの頃から洗脳されているのである。

2011-05-23 08:32:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(6)ぼくもペーパーテスト万能の日本の教育を受けたから、「世の中の殆どのことには答えがないんだ!」と気付いたのはだいぶ遅かった。二十歳過ぎていたかな。不忍池を歩いていて、「本当のことなんかわかりゃしないんだ」とはっと気付いた。木枯らし吹いていたな。

2011-05-23 08:33:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(7)よしんば、答えがあるとしても、往々にして、答えを見つけることよりもその質問をする人の方が偉いことも多い。フェルマは偉かった。ポアンカレも偉かった。長い間人間を無答の宙ぶらりんにする人は、とても偉いのである。

2011-05-23 08:35:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(8)内田樹さんもきっとそうだと思うが、答えがわからない宙ぶらりんの状態が、決して苦ではないし、むしろ楽しい。早急に答えを求めるのはやめた方がいい。どうせ、安物の答えをつかまされて、使いものにならないだけだ。

2011-05-23 08:37:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

無答(9)もともと脳の働きというのは、オープンエンドで「終わり」がないのだから、安易な「答え」で成長をストップさせない方がいい。本当は大学入試を変えちまった方がいいけど、日本では無理だろうね。

2011-05-23 08:38:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

缶コーヒーは無糖よりも砂糖が入っていた方がいいけれども、世の中は無答がいい。以上、「無答」についての連続ツイートでした。

2011-05-23 08:39:30