【wlw】クエララとゲイレットのお話【会話式SS】

童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

明日からまた新カードが来るらしいな。 散々言ったし、つい最近も言ったが私はオズの魔法使いの大ファンなのだ。そこで私としてはこの二人を解説したい。 だが今回はちょっとだけ事情がおかしい事になってしまった。これはそんないつもの会話式SS… pic.twitter.com/qdARzzJUmc

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「なぁなぁアシェン！またワンダーランドに新しい道具と人来るらしいやん！」 「ああ新サポートか。また解説しないとな…」 「それなんやけどなんや『オズの魔法使い』出典のソウルがおるらしいんやけどよう知らんのや」 「ほほう！オズの魔法使い！(食い気味)」

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「まあドロシィは他所から来た人間だし、続編では登場しなかったりするから知らないのも無理はない。その点、私とマスターは個人的にオズの魔法使いの大ファンだからな！まあお恥ずかしながら長過ぎて全巻制覇できてないのだがそれでも分かる可能性は高い」 (メッチャ食い気味やん…)

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「それで誰だ。チクタクか？鶏のビリーナか？いやそれならドロシィも会った事ある筈。となるとドロシィの登場しない巻の…チップ君！カボチャ頭のジャック！ジンジャー将軍か！？」 「オタク怖い…キリ無いからはよ話そ。紅玉の花婿クエララと花嫁ゲイレットって人なんやけど…」 (……知らない！)

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「なんやえらい前置き長いくせに知らんのかい！」 「まあ待て！私のテイルマスターにも聞いてみる！アイツなら知ってるかも…」 「オズの魔法使いをこよなく愛しドロシィが来る前から妄想キャストとしてドロシーを想像してた頃もある俺だが知らない、そうだ」 (2人揃って前置き長いなぁ…)

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「まあ待て。こんな時こそついこないだ来たばかりのアイツの出番だろ！」 「ああウィキッドか…なんや気まずいんやけどなぁ」 「そう言うな。彼女は西の魔女。竜巻で飛ばされてきたドロシィよりも前にオズ王国にいたんだ。知ってるかもしれない」 「まあせやけど」 「行こう！私が収まりがつかない！」

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「…というわけなんだウィキッド」 「クエララとゲイレット……知っている」 「おお！さすが西の魔女やな！宝石を散りばめた帽子を持った……」 「その帽子とはコレの事か？」 「そうそう金ピカで宝石のそういう…ああああ！？なんでウィキッドがその帽子持っとんや！？」 pic.twitter.com/nefWEGnNbT

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「これも魔法の道具だ。オズ王国に住む『空飛ぶ猿』に願いを3回だけ聞かせられる」 「『空飛ぶ猿』…私は童話で読んだだけで見た事ないがオズ王国にはいるらしいな」 「そういやウチもその帽子かぶった事あるわ！」 「童話では私が倒されてドロシィの物になり、その後グリンダに預けられたものだ」

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「で、その帽子とあの2人に何の関係があるん？」 「……聞きたいのか？」 「えっ？」 「クエララとゲイレットについて。そして私がこれを持っている理由…聞きたいのかと聞いたんだ」 (ウィキッド…雰囲気が変わった？)

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「つまらん上に長い昔話だ。それでもお前達は…本当に聞きたいのか？」 (なあ、アシェン…) (答えは決まってるだろ) 「私は聞かせてほしい」 「う、ウチも…興味ある」 「いいだろう…アシェンプテルを差し置いて私が原典のお話をするのも妙だが聞きたいのなら話してやる…」

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「魔法国家オズには様々な従属国が点在しているが、北の国のにはゲイレット(ゲイエレットとも)という魔女姫がいた。ルビーでできた城に住み、良い人間を絶対傷付けない善良な姫だったそうだ」 (ほわーっ！ルビーでできた城やて！？さすがオズ王国！) (成程、それで『紅玉の花嫁』なのか…)

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「だがゲイレットにも悩みがあった。彼女は恋を知らなかったのだ。頭も容姿も良い彼女に釣り合う人間がいなかったのだな。しかしある日、彼女は男らしく知恵もある少年を見つける。それがクエララだ」 (ほぉー…えっ少年？) (げ、源氏物語みたいだな…) (古今東西、男も女も考える事は変わらんな…)

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「クエララは見立て通り、成長して国一番の美丈夫となった。ゲイレットは喜んで結婚の準備をしたが、そこにイタズラ好きだった空飛ぶ猿が現れる。彼はほんの悪戯心で立派な服を着ていたクエララを捕まえて拐った」 (それウチもやられたで！ウィキッドに！) 「む、原典(むかし)の話じゃないか…」

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「クエララはそのまま川の真ん中に放り込まれた。彼は笑って許したのだがゲイレットが黙っていなかった。せっかく結婚式の為に準備したクエララの服を台無しにされたのだからな。 当然犯人も分かっていた彼女は空飛ぶ猿を全て捕まえ、羽を縛ってクエララと同じ目に合わせると宣言した」

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「羽を縛られては泳げず溺れてしまう。空飛ぶ猿達は泣いて許しを請うた。心優しいクエララもそれを庇ったのだ」 (なんや、ええ男やん) (容姿だけでなく人間も出来ているのだな) 「ゲイレットも仕方無く許したが、代わりに『空飛ぶ猿は金の帽子の持ち主の言う事を3回聞かなくてはならない』掟を作った」

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(成程、悪戯好きな種族を抑え込む為にそのような掟を…) 「金の帽子は2人の結婚祝いとして作られた。最初の持ち主は勿論クエララだ。以来、空飛ぶ猿は忠実に掟を守り、悪さをする事は無くなったとさ……おしまい」 (ほぉ〜、長い話やったけどそんな経緯が…ん？ちょっと待って？)

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「ウィキッド、でその話にウィキッドはいつ出てくるん？」 「？？？ 私は出てこないぞ」 「はっ！？じゃあどうやってそのクエララから帽子を譲り受けたんや！？」 「譲り受けてなんかいない。長い歴史の中で周りに周って私の手元に辿り着いた。それだけだ」 「……ちょい整理させてくれ」

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「なあなあ、もしかして今のって…オズ王国に伝わる言い伝え？」 「ああ、空飛ぶ猿に教えてもらった」 「じゃあクエララとゲイレットに面識は？」 「無いに決まってるだろ。名前だけだ」 「「はあああ！？」」 「だから最初に念押ししただろう？『つまらん上に長い昔話』だと」 「いや言ったけど！？」

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「今思い出した…！1巻『オズの魔法使い』にそんな過去のエピソード話されてた…！」 「アシェンお前ェ！」 「話の本筋と関係無いんだぞ！ましてや『言い伝えに名前だけ出てくる登場人物』なんて憶えてるわけないだろ！」 【※原典に本当に書いてあります】 【※メタな話、マジで憶えてませんでした】

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「てか、それならゲイレットとクエララって…生きとん？」 「どれどれ…(ペラペラ)原典には明記されてないな。だが空飛ぶ猿は『爺さんの話』と言ったな。猿の寿命が20年〜30年。それの2代前なら…怪しいものだ」 「そもそも結婚祝いが他人の手に渡るのも考えにくい。余程大昔の人間じゃないか？」

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「…ドロシィ、ウィキッド、私が今、猛烈に叫びたい事が分かるか？」 「おう、今回だけはウチも全力で付きおーたるわ」 「いやはやオズ王国は私やオズ王にも分からない事だらけだ」 「よし！行くぞ2人とも！せーの！」 「「「こんなマイナーキャラ出すなああああああああ！！！！！！！」」」 【終】

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【冷静で真面目な解説】 オズシリーズの大ファンなのに、悔しい事に普通に気付きませんでした。 しかしオズの魔法使いはこのような本筋に関係の無い話が沢山盛り込まれてるのも特徴です。ロボットアニメの裏設定を読むような面白さがそこにあります。

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例えをあげるなら瀬戸物の国。本編ではドロシーが通りすがっただけの国で重要な場所ではありませんが、人間も動物も建物も全てが瀬戸物で出来た国は読んだ後も印象に残ります。ストーリーに微塵も関係が無いのに。

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他にも続編ではドロシーの仲間にチクタクというロボットが登場し、開発元であるS&T社なる会社も出てきます。 この会社、作中でドロシーが見つけた時点で既に経営者がいなくなり潰れているのですがチクタクの説明書に出てきたり、ドロシーが次に行く国と関わりがあったり妙に設定が凝っています。

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つまりはストーリーで関わる事のない国や組織、人物が出てくるのですね。これがひいてはオズ王国(と砂漠を超えた周辺国)の広大さを読者に印象付けさせてくれます。 主人公達の知らないところにも別の物語がある。そのワクワク感こそ当時の子供達に指示された理由の一つなのではないでしょうか。