- tukumo_fast
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ムキになった所で 拉致が明かない 噛み砕いて説明してみたら 耳は傾けるが目は玩具を見ている 早く終わらないかなと口をモゴモゴさせ 留守になった心は 聞き入れる隙は無い #村上春樹で語る育児 (違う
2019-08-28 13:57:46#村上春樹で語る育児 もう、この台詞を言うのは何度目だろう。聞き入れてもらったことなどないというのに。 「明日の準備、終わったの?」 彼、もしくは彼女の耳は、その台詞をまるで葉っぱの上の水滴のように転がして音符にし、そして今夜も踊るのだ。
2019-08-28 16:52:16「これはとても個人的な話なんだけど」 ファミリー・レストランのテーブル席で彼は言った。 「そろそろ彼をあの台に連れて行ったほうがいいんじゃないかな」 あの台というのは、ふだん壁に向けて折り畳まれている、ぶっきらぼうなおむつ替え台のことだ。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 17:42:21「そんなのってないわ」 まだサラダだって食べてないのよ、と私は抗議した。 「これはもう起こってしまったことなんだ。僕たちにはもうどうすることもできない。まっさらな、新しいオムツを用意するほかにはね。」 彼はそう言って、唸り声をあげている息子を抱き上げた。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 17:44:12これはいけない、と直感した。壁時計はパスタを茹で始めてから五分経ったことを容赦なく伝えている。あと一分半。その女は、茹で過ぎたパスタで作るペペロンチーノと、回りくどく冗長なオペラを最も嫌っていた。あと一分。その瞬間、糸が切れたように赤子が泣き出した。やれやれ。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 18:08:27#村上春樹で語る育児 目を閉じなきゃいけない。それも決まりなんだ。目を開けてても、ものごとはちっとも良くならない。目を閉じて何かが消えるわけじゃないんだ。それどころか、次に目を開けた時にはもっと良くなっている。私たちはそういう世界に住んでいるんだよ、息子くん。 #寝かしつけ
2019-08-28 18:37:55離乳食で先に食べたのが素麺だったか、それとも うどんだったかなんて僕に言わせればたいしたことじゃない。 材料が小麦粉だという点から考えれば、そのふたつの間に明確な違いはないからだ。 わかるかい?大事なのは彼の様子、そこから我々が何を学びとれるかということだ。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 18:46:57#村上春樹で語る育児 彼女は頑として口を開けなかった。何か不愉快なことがあったような表情だった。 「食べないの?」と僕は訊いた。 「今日は大好きな豆腐に野菜の餡をかけてみたんだ。豆腐はスプーンで潰してある。そうすると食べやすいだろう?新しくカブも加えてみたよ」
2019-08-28 20:07:10#村上春樹で語る育児 どれも理解できないようで理解できる。 そう、完璧な理解などといったものは存在しない。 完璧な文章が存在しないようにね。 やれやれ。オーケイ。わかったよ。 僕はそっといいねを押していこう。 こうして広がるのだ。 神のことばたちはみな踊る。
2019-08-28 20:39:03#村上春樹で語る育児 「ねぇ、高校行きたいと思ってる?」 「勿論。」 「勉強する?」 「今、すぐに?」 「夕食の後によ。」 「勿論勉強する。」 「でも私が訪ねるまでそんなこと一言だって言わなかったわ。」 「言い忘れてたんだ。」 母はコーヒーで口の中のパンを嚥み下してからじっと僕の顔を見た。
2019-08-28 21:22:08「できる事ならそうしていたさ、もちろん。」 僕は言った。その声は自分のものとは思えないほど疲れ切って聞こえた。 「けれど、売り切れていたんだ。夏の働きアリのようにそこらじゅう探したけれど、どこにもなかった。」 特売の粉ミルクなんて最初からなかったのかもしれない。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 21:25:59ワンオペより辛いことは何か。旦那がいるのに家で仕事してるときなんだ。結局のところ私が一人でやるしかないんだ。それは砂漠にひとりきりでいるようなもので、ときとして、とてもさびしいことなんだって思うようになった。 #村上春樹で語る育児 #村上春樹で語る神の子たちはみな踊る
2019-08-28 22:07:1810時に寝るよりは、9時に寝る方がいい、というのが私のモットーです。そしてもし時間さえ許すなら、9時に寝るよりは、8時に寝る方がいい。早く寝てください #村上春樹で語る育児 #村上春樹で語る育児神の子どもたちはみな踊る
2019-08-28 22:12:48視界から消えた影を、二人は同時に追いかけていた。絵画から天使を抜き出したかのような無邪気な笑みが、いつの間にかソファの裏で歪んでいる。明らかに何かが入った形をしているが、彼はそれを認めようとしなかった。 「ウンコね」女は言った。 「ウンコさ」男は答えた。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 22:28:01「靴下?」 僕はびっくりして聞き返した。 いきなり見知らぬ通行人に話しかけられ、大きなハンマーで殴られたように混乱していた。 靴下?この炎天下で? 「よく分からないな」 #0歳育児 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 22:30:31「悪いけど、今プラレールを組み立てているんです、あとにしてもらえないかな?」 「プラレール?」 彼女はあきれたような声を出した。 「あなたは朝の6時半にプラレールを組み立てているの?」 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 22:33:50夏休み。 いったいこれでもう何日私は子供達とこの家にいるのだろう? 日にちの観念と言うものが、頭のなかから完全に消滅していた。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 22:40:42夏休み。 「どうしたものかな?」と私は思った。頭のねじが緩んでいる。緩みきっている。 素麺とEテレの日々。 それはそれで悪くない、そのおかげで私は今こうしてピニールプールに足を浸して薄いカルピスを飲みながらパプリカを聴いている #村上春樹で語る育児
2019-08-28 22:48:29うどんが完成してからあと少しで4時間が経とうとしていた。 それでもまだ彼女たちの奇声はおさまらないし、日常のなすべきことは終わりなくこちらへとなだれ込んでくる。 とうとう彼女は私のもとへ来て「ぱいぱい」と呟くと私のシャツの裾を捲り上げた。 やれやれ。 私は授乳した #村上春樹で語る育児
2019-08-28 23:02:21彼女は柔らかな敷物の上で裸足になり、くるりくるりと廻った。何度も何度も廻った。 「目が回らないの」 私は彼女に問う。彼女の細い髪がふわりと舞って私の視界をけぶらせる。 「廻っているのは世界なの」 そんな笑顔を私に向けながら彼女は机に体をぶつけて泣いた。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 23:10:26深夜2時、僕はひどく腹を立てていた。 言葉にならない言葉で捲し立てる。 「どうしたの…?」 懇願するような、或いは全てを諦めたような顔をして、彼女は僕を抱きしめた。 違う。結局のところ彼女は何もわかっちゃいなかった。 縦だ。横ではない。ーー縦抱っこだ。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 23:12:32「もう一回見たいな」 暑さ和らぎ日も陰る頃、テンポよく包丁の音を立てていた彼女に僕は言った 「また?」 「そう、まただよ」 彼女は一瞬迷いを見せながらも僕に近づき、もう少しでできるからねとボタンを押した 彼女は戻り僕は青い機関車の登場に心地のいい高揚を感じていた #村上春樹で語る育児
2019-08-28 23:16:49#村上春樹で語る育児 なにしろ夏休みの時間はたっぷりあったし、大抵はよく冷えたコークを飲みながらYoutubeを眺めて過ごした。 「ねえ、明日が何の日か気付いてる?」 「さあね、正直僕にはよく分からないんだ。」 母は気の毒そうに僕の顔を覗き込んでため息をついた。 「明日から学校よ。」
2019-08-28 23:19:23「オーケー、つまりあなたが言いたいのはこう、『俺は金を稼いでる、育児は全てお前の仕事』、そうよね? ねぇ、あなたはそのお金を稼ぐのにどれだけ私に依存してきたのかしら? 『ワンオペさせるやつは・みんな・糞食らえ』よ」 そうして私は夫を家からつまみ出した。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 23:31:04結局のところーと私は思うー2歳児の不完全な行動を察するには、不完全な会話による不完全な予測に頼るしかないのだ。何故彼が風呂上がりの一糸纏わぬ姿でリビングへ飛び出し、「ママ。びちゃびちゃ。」と言ったのかその理由も今の私には分かる。気の赴くままに放尿したのだ。 #村上春樹で語る育児
2019-08-28 23:35:50