映画『ドラえもん のび太のゲノム編集動物王国』(完結)by @jyouhou_syusyu

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トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「のび太さん、何をーー」 「しずかちゃん……スネ夫……君たちは不思議に思ったことはないかな。もし仮に僕の子孫であるセワシが僕のどうしようもない運命を変えるために『ドラえもん』をこの世界に遣わしたのだったら……何故、スネ夫やジャイアンの子孫たちも同じことをしないのだろうか、と」

2019-09-15 11:57:43
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「確かにスネ夫やジャイアンの子孫たちの運命がとても穏やかなもので、過去を改変する必要がなかったという可能性もある。でも、もしそうでなく、『君たちの子孫は過去改変を行うことが出来ない状態にあった』のだったとしたら?」 「野比君!」 「ふふ、どうした出来杉。ひどく汗をかいているぞ?」

2019-09-15 12:01:42
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「しずかちゃん、スネ夫。ここに○✕小学校の三年生の時の"本当の"名簿がある」 「本当の?のび太、何をーー」 「やめろ、野比ッ!!」 「ここには『出来杉 英才』なんて、名前はない。僕たちの記憶は小学校四年生の時に、一度、書き換えられていたのさ……タイムパトロールたちによって」

2019-09-15 20:15:14
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「セワシ以外は成功していない過去改変をタイムパトロールが行っていた事実……いや、そもそもタイムパトロールたちのいう『歴史の正道』とは一体何なのか……僕はドラえもんの手紙を何度も読み返して気づいたのさ、 タイムパトロールこそが最初に過去改変を行った一族の末裔なんじゃないかってね」

2019-09-15 20:22:56
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「やめろ、この『歴史の異端者』めッ!!」 「……無駄だよ、出来杉。本当の僕は此処にはいない。しかし、愚かなことを……その『歴史修正銃』は周りに影響が大き過ぎるからやめておけと言ったのに……」 「きゃあぁ!!」 「しずかちゃん!?おい、誰か!……出来杉、手をかしてくれ、早く!!」

2019-09-15 20:30:12
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「出来杉……これはお前たちタイムパトロールによって奪われたすべて人間のあるべき運命を取り戻すための戦い……わがトカゲ王国の復讐なのだ!」 映画『ドラえもん のび太とゲノム編集動物王国 Episode3 ジャイアンの帰還』に続く

2019-09-15 20:34:39

Episode 3

トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

日本最後の拠点であった九州が陥落してから一年後の世界。いまだ抵抗を続けるレジスタンスたちはタイムパトロールの援助を受け、反撃の機会をうかがっていた……。 「あなた……少しお休みに……」 「ああ、しずか。ようやく、ようやくあの魔王『のび太』に対抗出来る"武器"が完成しそうなんだよ!」

2019-09-16 07:30:05
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「ねぇ、あなた。そのことなのだけど……どうしても戦争を続けなくてはいけないのかしら?トカゲ人たちはこちらから攻撃しない限り人間を襲ったりしないという噂も……」 「厭戦派のそんな与太話を君まで!!そんなの嘘に決まってる!」 「あなた……」 「アイツは……のび太は人類の敵なんだ!」

2019-09-16 07:35:13
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「『人類の』じゃなくて、『お前たちの』……だろ?」 「スネ夫さん……」 「……何が言いたいんだ、骨川君」 「あの時……お前が自分の子供を見捨てたあの時、お前たちの異常さに気づいたってだけさ。僕はこの戦いから降りる」 「この裏切り者ッ!!」 「今度は僕ちゃんをその銃で殺すのか?出来杉」

2019-09-16 07:41:14
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

映画『ドラえもん のび太とゲノム編集動物王国 Episode 3 ジャイアンの帰還』

2019-09-16 07:44:25
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「待って、スネ夫さん!」 「しずか、放っておきなさい!……所詮、彼は郷田君がいなくては何も出来ない男……そうだ、"郷田君がいなくては"……ね」 「あなた……」

2019-09-16 09:34:46
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

『王よ』 「……『王』はやめてくれと言っているだろう?僕たちは常に対等なはずだ」 『それは……しかし、あなたはただ人間たちになす術もなく虐げられていた私たちに力と知恵を授け、導いてくれた……『王』というより他に言葉がない」 「やめてくれ、僕はただの昼寝が好きなダメ人間だよ」

2019-09-16 09:38:35
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「それで一体何の用だい?」 『南方戦線、おかしな動きがある。昨日まで連絡が取れていた一個小隊と連絡が取れない』 「タイムパトロールから奪った通信機の異常?でもあれは海底でも問題なく使えるものだぞ?」 『わからない。南方戦線、ミズオオトカゲ族の部隊、多い。彼らが負ける、想像出来ない』

2019-09-16 09:50:41
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「そんな……全滅……まだ息がある!何が……何があったんだ!?」 『お……王サマ、ゴメン。私たち、此処、守れなかった……突然、ケモノのような大きな声、聞こえて、皆、動けなくなったところに、大きな人間の群れ、やってきて……』 「一体、何が……」

2019-09-16 10:54:42
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「……そんなに知りたいかね、野比君。トカゲたちの無様な最後を!」 「ッ!? 出来杉? ……それに……そんな、馬鹿な!君は……… 『ジャイアン』!?」

2019-09-16 11:01:58
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「はははは、"ジャイアン"だって?僕の開発した『製品』を、あんな出来損ないと一緒にしてくれるなよ。郷田君の肉体と戦闘経験をもち、量産化が可能、そして何より大事なところで君に情けをかけてしまうような不要な感情を取り除いた、この『ジャイアン・クローン兵』をね!!」

2019-09-16 11:03:08
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「クローン兵だと!?」 「郷田君のゲノムは保管してあったものでね。君と同じ『全生物受精卵培養器』を使わせてもらった。それにホストとなる卵子の調達も、"身近"にあったものでね」 「出来杉……貴様、まさか……しずかちゃんを……」 「野比、貴様を倒すためだと喜んで力を貸してくれたよ!!」

2019-09-17 08:37:02
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「のび太!こっちだ!」 「スネ夫!?どうして君が」 「話は後だ。あのジャイアンたちはトカゲと人間の区別なく襲いかかってくる。急いで逃げるぞ!」 「で、でもまだトカゲ人間たちが……」 『王サマ、此処、オレタチが食い止める。早くニゲテ』 「そんなのダメだ!」 「のび太、早くしろ!!」

2019-09-17 08:41:20
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

ブラックアウトするのび太。 「……ここは?僕は確か……みんなが危ない!!」 「やぁ!一応、『はじめまして』になるのかな?『野比のび太』さん」 「君は誰?」 「ははは、酷いなぁ。映像と声だけなら"何度も"会っているのに。まだ思い出せないかな?」

2019-09-17 08:45:37
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「ごめん、僕には君が誰なのかわからないや……」 「そうか……やはりタイムパトロールの干渉外でのコンタクトとなると、こういうことになるのかもしれないね……とは言え『本当の僕』が君に会えるのも、タイムパトロールの干渉が完全に消える、つまり君の意識が失われるその一瞬しかないのだけれど」

2019-09-17 08:49:05
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「それで君は誰なの?」 「その答えを話すには、順を追って話さないとね。そう、まずはすべての始まり、2155年2月……僕が40歳の時に起きた『ある出来事』について」

2019-09-17 08:53:34
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「その日、僕と友人はある『世界にとって重大なもの』を発見する……ああ、言っとくけど、タイムマシーンとか未来道具ではないからね。それはもうすでにあったし」 (この話し方、どこかで……) 「時間旅行の途中で偶然ね。それは最初に文化的な暮しを始めた猿の群れ……『アダムの子供たち』だった」

2019-09-17 09:04:28
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「僕は興奮したさ!こんな発見、タイムマシン研究誌に発表したら、皆驚くに違いないぞ!……ってね。きっと一緒に旅をしていた友人も、同じように感じているんだろうと思ってた……少なくともこの時はね」 「……ごめん、悪いけどその『アダムの子供たち』が何でそんなに重要なのか、僕にはさっぱり」

2019-09-17 09:09:19
トクロンティヌス @jyouhou_syusyu

「ははは、やっぱり『君』は野比のび太、その人だね。ちっとも変わってない」 「……それ褒めてる?」 「もちろん。この『誰かが恣意的に歴史を変更する世界』で、万人が『変わらない』と認めるのは、それだけで特異なことなんだよ、のび太君。君が『特別』ってこと」

2019-09-17 09:14:00
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