クLイ・フォ一サイト変態外道テロリスト五番勝負

めでたし @astrohermes

「こんにちは、クLイさん」といつものように刑務官が挨拶してきて、「ああ」っていつものように返す。「ご挨拶が遅くなりました。私こそがテロリスト集団変態外道最後の男、五番目のワイズマンです」と微笑んで言う ワイズマンは手元にいくつかのボタンがついた小さな機械を持っているので、「それは？

めでたし @astrohermes

」と聞くと、「ええ、色々ありますが、これは熱死砲の起動スイッチです。威力が再現できなくて宇宙熱死砲というより地球熱死砲ですけど。こっちの小さい方は街の爆弾の起動スイッチです。あ、ええと、街の爆弾って言っても大したことなくて。AVの彼の置き土産ですから」って言う

めでたし @astrohermes

「熱死砲を、なぜ」と聞くと「この火山は地球のコア部分との繋がりがあるじゃありませんか。この熱死砲はですね、もう冷却装置ではありません。急速冷凍と蒸発を繰り返すことによって、甚大な気化爆発とマグマの膨張をさせることができるんです。つまり、地球をパンクさせることができるんですね」

めでたし @astrohermes

「でも、地球をパンクさせるだけじゃつまらないですよね。これはマグマを活性化させ、地球のコアに干渉して、爆発的エネルギーを生み出すんです。コアとエネルギーはパンク寸前になった時、時空間の位相にズレが発生する。つまり、人為的に時空間断裂が起こせるんですよ！」って嬉々として言うので

めでたし @astrohermes

くれほが目を見開いて、なぜ一介の武器商である貴様がそこまで知っているって唸ると「それを話すととても長くなってしまうんですが、昔、私には妻と娘がいたんです」と照れ笑いするのでエッ……って純粋にドン引きする

めでたし @astrohermes

「わかります。私のような奴に人の心なんてわかるわけがないでしょう？私もそう思って20代まで生きてきました。人間なんて塵に等しい存在です。私にとって生きて喋る人間と、路地裏のダストボックスの間に差異なんてものはありません。どれも等しく価値がない。全てゴミです。だが妻は違った」

めでたし @astrohermes

「妻は熱心に喋る塵でした。僅かな差ではありましたが、私を熱烈に支持していると言う点では他と違った。ですから私もその熱を返してやりたいと思って数年寄り添って、そして子供が産まれました。女の子でしてね。素晴らしいことに、私は娘を愛しました。私にも人の幸福というものが理解できたのです」

めでたし @astrohermes

「こんなに嬉しいことは無かった。私も人間になれたのだと、愛を知ったのだと感動に打ち震えました。ですがそれはすぐに勘違いだと気が付きました。あの日、妻は具合が悪そうにしていました。咳き込んだ口から赤い火が見えた時、娘が妻を心配して駆け寄りました。それからはあっという間です」

めでたし @astrohermes

「燃え盛る娘を前にして、私は何もできませんでした。そうして炎の中で泣きじゃくる妻を見たとき、私は産まれて初めて、本当に人を愛おしいと思いました。炎の中の妻は美しかった。私をハイブリストフィリアと分類するのは簡単なことですが、私はこんなにも鮮烈な愛情に、名前をつけたくはありません」

めでたし @astrohermes

「その後私は妻の面倒を甲斐甲斐しく見ましたが、妻は意気消沈して言葉も発せないようでした。愛しい妻は弱り切って、どんな医者に見せても心の問題と言われ、手も足も出ませんでした。そんな時ですね、ある製薬会社が妻の身元を引き受けると言ったのです。そうです。あなたの財団ですよ。クLイさん」

めでたし @astrohermes

「それから妻と一切連絡が取れなくて数年間、私は妻を探し出すためにありとあらゆる手を尽くしました。今回の遊びなど可愛いものです。全ての手を尽くしました。私があなたのバ一ニッシュ収容所を見つけ出した時には、残念ながら妻はもう灰になっていて、骨も残っていなかったんですけどね」

めでたし @astrohermes

「もちろん、それはショックでしたよ。でも私はもう新しい愛を見つけていました。クLイさん。私の愛する娘を殺した私の愛する妻を殺したあなたが、人類の大半を焼き殺し、宇宙へと飛び立とうとしているなんて。なんて、なんて……愛おしい。あなたは妻と娘の倍、私にとって恋しい存在なのですよ」

めでたし @astrohermes

ってワイズマンが優しい目でこちらを見つめて言うので、くれほが脂汗をダラダラ流していたら、「さ、前置きが長くなりましたが、そう言うわけで私はあなたの動向を誰よりも理解しているんです。プ口メアの流入が時空間断裂によって引き起こされたのなら、もう一度起こせばプ口メアが戻りますよね？」

めでたし @astrohermes

「プ口メアが戻ればこの星は再度危機に陥り、あなたの船はまた飛びます。そうすればあなたの地位も、名誉も、成功も、全てが帰ってくるんですよ！長年にわたるあなたの計画が、祈りが、とうとう結実するんです。人間は何度でもやり直せます。さ、熱死砲を撃ってください」って言ってくるので、くれほが

めでたし @astrohermes

それでは人は救えない、そんなことは意味がない……って言うと、「人を救うだなんて、お題目でしょう？あなたの望みの本質は人類を救うという栄誉にあります。綻びのない、思い通りに言う事を聞く人々で秩序ある世界を作りたいんでしょう。いいじゃありませんか。言い訳なんて必要ありません」と返して

めでたし @astrohermes

それでもうんと言わないくれほに業を煮やしたワイズマンが、「わかりました。また同じことをしても、同じ奴に阻まれるのが恐ろしいのでしょう。ほら、さっきのスイッチがあるでしょう。小さい、爆弾の方のです。これを押しますね」とポチッとスイッチを押すのね

めでたし @astrohermes

で「これは街の廃屋が燃えるだけです。でも、これを押すとある消防署のレスキュー車両に仕掛けてある爆弾も起動するんです。ただでは爆発しませんが、火災に反応して搭乗して、エンジンをかけると……どかん。確実でしょう？ 彼、もうすぐ死にますよ」

めでたし @astrohermes

そう言うとくれほが目を大きく見開いてポケットに手を入れるのね 反応したワイズマンが「おっと銃だなんてやめてくださいよ、そんなもの出されてはもっと別のスイッチを押してしまうかもしれません」と笑う そうするとくれほは足元からへなへなと崩れ落ちてしまうので、「熱死砲、乗ります？」と聞かれ

めでたし @astrohermes

こくりと頷く。テンション爆上がりしたワイズマンが喜んでくれほを装置に乗せると、「操作は？」「わかる」と最大出力で充填がされ始めるのね ドンドン上がっていくエネルギーに、ワイズマンもどんどんテンションをあげて、いいぞ、いいぞ……！ってしていると

めでたし @astrohermes

きゅーん……って、高い音がして熱死砲が沈黙してしまう。「あれ？」と様子を見にいくと、腕組みしたくれほが「限界出力まで上げることでエネルギーをオーバーフローさせて熱死砲の安全装置を起動させた。丸一日はこいつは動かない。私の設計だ」って言い放つ

めでたし @astrohermes

「え、でも、ガ口は死んだし、私の計画に賛同して……」と言えば、くれほがさっきいじってたポケットから端末を取り出して「先程爆破装置を外すよう連絡を入れた。そのスイッチのために自分で中継器を作ったんだろう？ 使わせてもらった。通報も済んでいる。他にまだ手はあるのか」と聞く

めでたし @astrohermes

「言っておくが、私は何度同じ状況に陥っても何度でも同じ選択をする。博士を撃った回数は二回だ。はじめに肩、次に頭。気分は最悪だった。それでも私の選択が最も確実性の高い道だからこそ、あのエンジンで船を作ることを選ぶ。だがお前のやり口はやり直しではない。焼き直しと言うんだ、それは」と

めでたし @astrohermes

そんなものは私の選択ではない、ただのマッチポンプだ。仮に私が栄誉と名声だけを求める人間であったとしても、お前の計画に乗るなどと言うつまらない道は世界がひっくり返ってもありえない、と言い切る。それを聞くとワイズマンはポカンとして、うーんと唸った後、「もう手はないよ」とお手上げする

めでたし @astrohermes

疑いの目を向けるくれほに、頭を振って「こっちもあのAV監督のせいで変なタイミングでバレて、いろんな計画がおじゃんになってるんだ。見切り発車したけど、爆弾とこれで私の手はおしまいです。悔しいけど完敗です。負けました」って言う んだけど、背後で熱死砲がドーンって轟音立てて爆発する

めでたし @astrohermes

ハ！！？？ってくれほが振り返るとワイズマンも一緒にびっくりしてて、貴様何か仕込んだか！？って聞くと「さぁ、雑に改造しただけだから、安全装置が万全じゃなかったのかも……？」とほざき、機械がビャッと白く光ったと思ったら火口をかするようにしてビームがズバーンと発射される