岡山虐待死事件に関連して
このような虐待に関する報道がなされると、大抵は「何てそんなひどいことを」「許せない」という反応が返ってくる。しかし、こどもの外来では、虐待が切迫している状況でやってくるケースは非常に多い。「見ているだけで腹立たしくなってくる」「我が子を殺してしまいそうだ」など・・・
2011-05-28 05:42:46切迫虐待はそれでも医療機関を受診する例は少なく、多くが孤立し、隠蔽された状況に追い込められている。こどもが勇気を振り絞って学校教員に伝えたことで発覚することも少なくない。今回の事件もそうであった、が、しかし・・・救われなかった。
2011-05-28 05:48:03「何を言っても全くいうことをきかないんです、もう・・・嫌」虐待のリスクファクターとして、母の著しい不安緊張の持続と孤立化。こどもが言うことをきかない、それ自体が虐待を引き起こすというより、言うことを聞かないのを外から「あんたのしつけのせい」と責められるのでは、という不安にある。
2011-05-28 05:54:16「恥ずかしくて誰にも相談できませんでした」こどものことを対外的な視点で”恥”と感じていたり、自らが子にしている言動そのものを”恥じて”いたりすることは多い。これは状況の孤立化と隠蔽化を一層強化していく。助けられるものが助けられなくなる、徐々に進行、悪化していく。
2011-05-28 06:00:41こどもに発達障害がある場合、親に対する周囲よりの風当たりが強いのを肌で感じており、多方面で頭を下げて回っていることもしばしば聞く。「うちの子がまた人を叩いた」「店からものを勝手にもってきてしまった」など、親が謝罪する場面が圧倒的に多い状況も、診察で得られる情報である。
2011-05-28 06:06:11特に母親は、様々な場所、場面で頭を下げ回っている自分自身に、徐々に情けなさを感じ始める。こどもを育てているという実感は、いつしか底をつく。追い打ちをかけるように、夫や親より「おまえがちゃんと見ていないのが悪い」とまるで鋭利な刃物で突き刺されるような言葉・・・
2011-05-28 06:10:49虐待は複雑な事象である。様々な要素が構成要因となって、最終的にこどもが追い詰められてしまう。岡山の事件の報道をみると、保護しなかった理由として「逃げることも可能だった」とあるが、虐待は圧倒的な無力感を引き起こし全面降伏せざるを得ない状態にさせる。逃げられることはごくわずかである。
2011-05-28 06:20:04特に、発達障害をもつ子の場合であれば、「逃げる」という選択肢をすぐさま抽出することが困難であることは、障害の特性について、少しでも理解していれば想像できただろう。児童相談所が、それを想像しなかったとすれば、罪は重い。
2011-05-28 06:22:35虐待は、一般の人々が想像するよりはるかに多く、そして、誰もが関与すべきことでもある、ということを現場から声を上げたい。児童相談所だけが虐待対応をするのではない。誰もがそれに対応し、そして、誰もができるはず。少しでもいいから苦悩の理解と、その後の温かいまなざし。それが必要です。
2011-05-28 06:26:58圧倒的な虐待環境っていう支配下で「逃げればいいのに」なんて、こっちから言わせて貰えばそれこそ「どこのファンタジーだ」に尽きる。
2011-05-28 06:47:25すんません、昨日のモヤモヤをまだ引き摺ってます。だってあの言葉は悔し過ぎるんだもの…!!死んでまで逃げられなかった状況がどんだけ異常で、かつそれをどんだけ圧倒的な力で「普通」と押し付けられていたか、何でわかんないんだ…!!!涙
2011-05-28 06:51:57わたしだって逃げられなかった。逃げたら殺されるとしか思ってなかった。だって、逃げたら逃げた分、鬼の形相で追い掛けて来るんだ。そんなの、たった1人で逃げ切れるわけがない。
2011-05-28 06:58:59それに「逃げる」って簡単に言うけど、どこへ?もし運良く施設なり何なりに辿り着いたとして、親が追い掛けて来たら、そこは知らぬ存ぜぬを貫き通して子どもを匿ってくれる?今後一生親に遭わずに済むように子どもを生涯守ってくれる?そこでわたしは「この国はオトナの味方だ」って絶望し、諦めたんだ
2011-05-28 07:02:18逃げても連れ戻されたら、逃げる前の比じゃない恐怖が待ってる。ああ、そしたらわたし殺されるなって。わたしは生きたかったから、逃げることを諦めたんだ。それでも逃げなかったことを責められるなら、「死ねば良かったのに」って言われてるのと一緒だ。
2011-05-28 07:05:12これが「温度差」なんだよな、わたしは色んな場面でこれにぶつかるけど、何度経験しても悔しい。「虐待」のイメージが軽すぎる。ドラマみたいに単純明快なわけない。あんなキレイな解決なんかするわけない。ドラマは2時間で終わるけど、現実は一生それを背負わされるんだ。
2011-05-28 07:11:15被虐待児は、自分が「虐待されている」と自覚していないことも少なくありません。私自身もそうでした。物心ついたころから馬鹿にされ、罵られ、笑いものにされ、人によっては殴られ、蹴られ…。でも親はそれを「おまえのためだ」と言います。お前がダメだから、よい人間にしてやろうと思って、と。
2011-05-28 07:22:27子どもは親が正しいと無条件に思い込みますから、何をされても自分が悪いんだと思い、助けを求めてもいい立場などに気が付きません。知らない人が突然「助けてあげる」と言ったところで、慣れ親しんだ虐待の待つ家の方が落ち着くのです。
2011-05-28 07:27:11子どもに、子どもの権利を教育することが必要なのです。誰にも、馬鹿にされたり、殴られたり、心身ともに傷つけられない権利が、誰にもあるのだと、教育が始まった一番最初の時点で教えてあげれば、今自分がされていることが「虐待」なのだと子ども自身が理解することができます。
2011-05-28 07:31:53緊急時に親権を2週間制限できるように法律が改正されたそうですが、いったい2週間で何ができるのでしょうか。2週間で虐待していた親が虐待をしなくなるように教育できるとでも政治家は思っているのでしょうか。
2011-05-28 07:35:09この国は、まだ子どもを守れていません。そのことを、私たち大人全員が、恥ずかしいことだと思ってほしい。変えなければいけないことだと思ってほしい。少しでも、積極的に動いてほしい。
2011-05-28 07:36:54