アームヘッド、デイ・オブ・カタストロフ16

みぐだしょ @yosidagumi2024

『ウォッチャー・ウォッチング・ユー』

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唐突だが紹介しよう！タイムスリップ教団、ラウンズの一人タイムスリップ・アキヒコはウォッチャー三名一般構成員一名からなる取り巻きを持ちそれは俗にアキヒコの四天王と呼ばれている！『アキヒコ様、報告があります』赤めいたウォッチャーが口を開いた。『ラウンズバイタルの消失か』

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タイムスリップ・アカヒコは休暇に入っていたゲルヒコのラウンズバイタルの消失を報告していた。『ゲルヒコ様に続き、コツヒコ様のラウンズバイタルが消失しました。考えにくい事ですがゴルゴタが破壊されたのではないかと思われます』『どう思う？』アキヒコは別のウォッチャーに尋ねる。

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左肩に『悪者だよ』と書かれたウォッチャーが答える。『コツヒコ様はV捕獲作戦の途中でした。メカヒコ様もおられましたから単純に失敗されたのなら致命傷を負う前に撤退なされるはずです』『というと？』『電撃作戦を教団に仕掛けている者がいそうっすね』土下座ウォッチャーが割り込む。

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『おっとすみません。悪いっすね、割り込んで』意味もなく土下座をするソリヒコがヘラヘラ笑いながら続ける。『俺もソリヒコの考えが正しいと考える』『ほう、ではアキヒコは誰が無謀な電撃作戦を仕掛けているかわかっているわけだ』この場唯一の一般構成員がラウンズに逆質問した。

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『もちろんだ、アルプスよ』アキヒコはその者の不遜な態度を気にも止めない。タイムスリップ・アルプスがなんの地位を持たぬのは無能力からでは無いからだ。『礼三郎だな』『その名を騙る紛い物だ』アキヒコはアルプスの言葉を訂正する。『随分と拘るな』『当然だ』アキヒコはアカヒコを一瞬見た。

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コンコン、ノックの音がする。『誰だ』アキヒコが尋ねる。『ここにアキヒコさんはいませんかね』ノック者はやや失礼だ。『礼三郎が来たのかな』それは無いと理解しつつアルプスがつぶやく。『ノリヒコですね』アカヒコがアキヒコに伝える。『ウォッチャー位階の者か、俺に何の用だ』

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ドアが開くと調子に乗っているようなウォッチャー、タイムスリップ・ノリヒコが姿を現した。『ラウンズにして四天王のアキヒコさんですね』『そうだが、俺は今忙しい。ラウンズに更に2名欠員が出た。俺は見た目以上に不穏だぞ、俺を怒らせないでくれ』『ラウンズが更に減るとしたら？』

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『ふははは！』アキヒコは怒りのあまり爆笑した。『成る程、よく見ている！俺が先輩、いやサダヒコ様との付き合いの長さだけで不似合いな地位についている無能だと言いたいわけだな！』『アキヒコ様』悪者ウォッチャーワルヒコが嗜める。『良い、俺を試し倒してラウンズにでもなって見せよ』

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アキヒコが指を鳴らすとナグルファルの暗い一室は一転！銀色のタイムスリップ空間に変貌！『おまえのアームヘッド を出すが良い。そしておまえたち手は出すなよ』『当然じゃん』アルプスがそっけなく言う。『出でよ！エッケザックス』タイムスリップ教団『四天王』アキヒコ強襲！

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ノリヒコのライドフラガラッハはタイムスリップ拳を飛ばす！エッケザックスの性能を見定めようとしている！エッケザックスは愚直に直進するのみ！ラウンズを意味するラウンズバイタルナンバー10の反応が光速で接近する！だが光速よりもタイムスリップの方が速い！『貰ったぜ！』

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だがタイムスリップ拳はエッケザックスを通過する！『！？』ノリヒコは不審な反応に判断が遅れる！『よく見ておけ！』エッケザックスがライドフラガラッハを轢く！そして更に巻き込み型タイムスリップ！時間母艦ナグルファルから別時間に移動！廃墟ビル群！潜むエッケザックス！

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ノリヒコは訝しむ。エッケザックスの十八番は異常な高速性能では無いのか？なぜそれを活かせないような障害物だらけの場所へ？ふと上を見るとビルを光速で上に向かって側面走行するエッケザックス！本質的な恐怖を感じたノリヒコはタイムスリップ拳をエッケザックスに目掛け放つ！

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エッケザックスはコンマ秒のやりとりの中、振り向いてタイヤめいた腕を向けた。それがタイムスリップ回転しライドフラガラッハのタイムスリップ拳を弾く。タイムスリップ拳は虚しく罪なきビルを抉るのみ。『俺たち四天王はサダヒコ様と最も拳を交えている。その意味がわかるな？』

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エッケザックスが拳をビルに下ろした。一瞬で灰燼と化すビル！『我が時間早送りの前にはこんなものは無意味だ』耐久年数を一瞬で経過させられたビルは消失した。『おまえには俺の成果を見せてやろう。これがサダヒコ様が俺にもたらしたものだ』エッケザックスが加速する！光速を超え、そして……。

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ライドフラガラッハはタイムスリップ脱出をしようと試みる！『俺には見えてきたタイムスリップの更なる先が……。見てみよ我が新たなるタイムスリップ、それが二重タイム……』その恐るべき単語を聞く前にノリヒコはタイムスリップ脱出していた。

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『ハァ、……ハァ……』ノリヒコは辛うじて恐るべきタイムスリップ奥義を受けず無傷でライドフラガラッハを別時間に脱出させていた。『こ、これがラウンズ……四天王……』ノリヒコも調子に乗るだけあってウォッチャーでは中間クラスにはあった。ラウンズやそれに肉薄する上位ウォッチャー……。

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それほどの実力はなかった。だがタイムスリップ四天王は自分たちと同程度の存在では無いかと油断していたのだ。ふとノリヒコは恐ろしいことに気づく。ライドフラガラッハにダメージが与えられている！『いつの間に！』『攻撃が当たったという過去を刷り込んだのだ』エッケザックス！

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いつの間にかエッケザックスが追いついている！『では覚悟は良いか？』謎多き二重タイムスリップを再び仕掛けるつもりだ！ノリヒコは覚悟した！『冗談だ』アキヒコは拳をおさめた。『元はと言えば俺の情け無さが招いた問題だ。おまえはただ職務に忠実だった。それだけだ』

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『アキヒコ様……』『ふん、それにしてもよく見ている。ハルヒコは俺のように優しくは無いしナツヒコは俺のように器用では無い。人選が完璧だ』『……フユヒコ様は？』『……聞かん方がいい』ノリヒコはゾッとした。『おい、調子に乗るより俺に乗ってみんか？倒すべき相手がいる』

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『……誰ですか？』『先輩の名を騙る不逞の輩だ』アキヒコが腕を上げた！『ワルヒコ！アカヒコ！ソリヒコ！アルプス！ノリヒコ！これより先輩の名を騙る者を始末しに行くぞ！』

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『ウォッチャー・ウォッチング・ユー』 終わり

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『シップ・オブ・テセウス』 に続く