- yosidagumi2025
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超時間船ナグルファル、内部施設時間神殿。ひとりの屈強なタイムスリップ者が廊下を歩いていた。その表情からは感情は窺い知れないがクリスマスソングの鼻歌をしていた。その者の前にまた別の屈強なタイムスリップ者が現れた。
2018-12-24 22:34:02二人はタイムスリップ・ラウンズ だ。『なにかようか、ヒコボシ』タイムスリップ・サダヒコは鼻歌をやめた。『単刀直入に言いましょう。今年のクリスマスは中止です』
2018-12-24 22:36:03『なぜだ?おまえの出した冬休みの課題はちゃんと終えたはず』『教団長、タイムスリップ教団の財政が苦しいのはご存知のはず』『多くの者がクリスマス会を楽しみにしているのだぞ?』『あなたが、でしょう?サダヒコ』『……。クリスマスはなんと言おうとやらせてもらう』『言葉では駄目みたいですね』
2018-12-24 22:40:22運命とはビデオテープのようなものだ。 同じ内容を繰り返し何度も再生する。 何度繰り返そうとも 同じ経過 同じ結果 同じ終わり 運命とはビデオテープのようなものだ。 上書きできる。 ───タイムスリップ聖句
2018-12-24 23:09:44『……すなわちサダヒカントとはヌーダラーを私が我々教団に扱いやすいよう調整したものだ。賢者の石とチカラ・パワー錠の相互作用により代替存在の非対話性を補っている』タイムスリップ・ヤマビコは板書を終えると室内を見渡し、船を漕いでいるモツニを睨んだ。『私の講義で寝るとは良い度胸だ』
2018-12-24 23:15:25『イテッ!……あ、あなたはヤマビコ様!なぜここがお分かりに?』なんらかの物体をおでこにタイムスリップ速度でぶつけられたモツニは目を覚ます。『まだ寝ぼけているのか?ここは冬休みの補講の教室だぞ。モツニ』『ゴワッゴワッ』周りのタイムスリップ力士達が笑う。『すいません追われていて』
2018-12-24 23:19:09モツニは夢で謎の運転手に追いかけられていたのだ。『またヨナベしていたのか?今度は私に追われてみるか?』『ヒエッ……』アゾートに追われながら追いつかれるとパンチで吹き飛ばされ更に追いかけてくるタイムスリップ訓練の恐ろしさはヤマビコブートキャンプ経験者のみが知る。
2018-12-24 23:22:29『モツニ、質問だ。タイムスリップとはなんだ?』ヤマビコが居眠りの罰だ、とばかり個人授業を始めた。『エッ……時間移動……?』モツニはブートキャンプは避けれたが意外な質問に戸惑う。『では時間とはなんだ?』『時間……時間?』モツニは更に混乱する。『良いか。時間なんてものは存在しない』
2018-12-24 23:26:45『エッ?』あるじゃんという言葉を喉元で押しつぶす。『そう、時間はある。我々の世界には。我々が教導、補正、完成させるべき3次元世界には時間は存在しない。ただただ今というものが未来を消費していくだけなのだ』『じゃあ時間の移動は……』『タイムスリップとは時間を創る事だ』
2018-12-24 23:30:01『時間を……』『そうだ、時間を創り出し俯瞰し過去と未来を行き来する超時間世界4次元に達することそれがタイムスリップだ』『なるほど』『そして筋肉覚醒を経て運命樹の外に達する事が出来るのは同じ人間の中では一人だけだ。タイムスリップのパラドックスはそれで解消される』『なるほど』
2018-12-24 23:34:46ただ一人を除いて同じタイムスリップ者は居ない。過去現在未来、平行世界において3次元的に同一人物である人間は一人だけがタイムスリップに達することができる。少なくとも二人目の同じ人間がタイムスリップに達した例は未だに無い。
2018-12-24 23:37:56『モツニ、おまえに頼みたいことがある』講義の後、ヤマビコはモツニを呼び出した。『サダヒコがおまえをクリスマスの幹事にした。是非クリスマスを盛り上げてやってほしい。そのエナジードリンクとチョコは選別だ』先程モツニのおでこに当てたものである。『それともブートキャンプが良いか』
2018-12-24 23:41:01断れない!『やらせていただきますでゴワッス』思わずフジヤマの言葉がうつった。『?まあ良い。クリスマスは特別な日だ。頼んだぞ』ヤマビコは一瞬自分の指輪を眺めた。『はい』
2018-12-24 23:43:20とんでもないことになったぜ!うちのボス、ヤンキーあがりだからクリスマスとかそういうイベント好きなんだよな。そういえば食堂にスパゲティを作る黒いローブのオバケが出るらしいしオバケにスパゲティ作ってもらうクリスマス会とか面白いぜ!食堂に着くと銀のローブが居た。なんか作ってるぜ。
2018-12-24 23:47:12よく見るとその男は片方の腕が銀色だ。高速でドーナツを作り自分で食べている。『うん?よく来たな』男がモツニの方を見た。『テメーは?』モツニの記憶に無い!『はじめまして、表の方。俺はタイムスリップ・ソラヒコと申す者です』『ソラヒコ……?』ソラヒコはフードを下げた。
2018-12-24 23:51:43金色の髪、緑の目のリジアンが姿を現した。『タイムスリップ・ラウンズ 、タイムスリップ・ソラヒコだ。よろしくお願いします』『ラウンズ ……?』モツニはラウンズ の名前は頑張って全部覚えたはずだ!『バイタルを確かめてごらん……』『あっ?……ラウンズ バイタルナンバーじゅう……18?』
2018-12-24 23:54:5818はおかしい!ラウンズ は12人なのだ!『テメー、ふざけるのも……』『おっとすまない。俺はドーナツジャンキーなのでね』ソラヒコはドーナツを頬張る。『タイムスリップ教団、教皇ソラヒコだ。よろしくな』ソラヒコは銀の腕を見せた。『エクス……サイクル?なんだそれは?』
2018-12-24 23:57:53『これか?俺の腕が気になるのか?別にいいだろう。俺は君がクリスマス会をすると聞いてきた』『お、そうだった。ところであんた、なにか妙案でもあるのか』『勿論だ』エクスサイクルと書かれた銀の腕をよく見ると黒いビデオテープを持っていた。『たのしいクリスマスビデオだ』『おお!』
2018-12-25 00:00:45空いている講義室でビデオが再生を始めた……。『エピソード2大阪財閥編』ビデオは映画らしい。大阪城で覆面の男が部下とは話している。『流離いが大阪に現れたそうです。大元帥』『モッモッモッモッ』大元帥と呼ばれた仮面の男は不敵に笑った。『横浜を我々が攻撃した復讐かと』
2018-12-25 00:07:26