- RiverInWestern
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「あの部屋にさえ……あの部屋にさえ行きさえすれば……!」エコロジストの呟きは追跡者には届かない。そのまま彼女は廊下突き当たりのフスマを開けて中へ!「待て!」「どこへ逃げても無駄でゴザルよ!」ガーネットとチキンハートらも迷わず突入!スターン!48 #4215tk
2019-10-14 21:37:13「「バカな……行き止まりとは……!」」彼らが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれには、ロータス、孔雀、嵐、月の見事な墨絵が描かれていた。49 #4215tk
2019-10-14 21:40:05もはや先へ進むためのフスマは見当たらない。では、エコロジストはどこへ消えたのか。「スー……ハー……用心しましょう……」この謎を解くべく、ソウカイニンジャたちは四方をカラテ警戒し、物音ひとつ立てぬ精緻な足運びで、部屋の中心部へと進んでいった。額の汗を右手の甲で拭った。50 #4215tk
2019-10-14 21:44:10…その時!四方の壁が回転し、中からエコロジストと銃を構えた男たちが姿を現した!「死ねーっ!自然破壊者ども!死ねーっ!」「「「革命!闘争!行使!」」」四方からの一斉攻撃!「シマッタ……!」チキンハートが呻く。ガーネットが冷たく目を細めた。51 #4215tk
2019-10-14 21:48:06「チキンハート殿。赤い連中をお願いするでゴザル」「……ハイ!」二人のニンジャはすぐに動いた、ガーネットのドレスの裾から這い出た蛇めいた尾が、バイオ器官からなんらかの毒液を分泌させて迫っていたエコロジストの脚に絡みつく。「エッ」「イヤーッ!」「ンアーッ!?」52 #4215tk pic.twitter.com/SIrHPow3wD
2019-10-14 21:52:16そのまま投げ飛ばされたエコロジストは、ウチコワシ構成員たちの射線に割り込むよう吹き飛ぶ!BLAMBLAMBLAM!「アバババーッ!?」ナムアミダブツ!フレンドリーファイア!「イヤーッ!」「「「グワーッ!?」その間隙を突き、チキンハートがスリケンで構成員無力化!ゴウランガ!53 #4215tk pic.twitter.com/kt6e9ETZzg
2019-10-14 21:56:15「て、転回!」「後進!」「接収!」ウチコワシ構成員たちが回転する壁から続々と逃走!取り残されたのは床に倒れ伏すエコロジストのみだ。バイオサイバネの恩恵か、彼女にはまだ息がある。ガーネットはするすると死にかけのニンジャの元へと近寄った。54 #4215tk
2019-10-14 22:00:08「アバッ、たす、たすけ……」「オヌシは」命乞いを遮り、ガーネットは問うた。両の目を薄く開きながら。「自然に回帰した、と言っておったでゴザルな」「エ」「なれば自然においてもっとも根本にある掟も理解しているでゴザルな?弱肉強食を」「エ……」55 #4215tk
2019-10-14 22:04:23「これはオヌシの選んだ道。それがもたらしたインガオホー」ガーネットの呟きが虚しく流れる。チキンハートはその横顔に、どこか超自然的なシンピテキを感じ取った。「故に、大人しく受け入れるでゴザル!イヤーッ!」「アバーッ!?サヨナラ!」尾が叩き込まれる!エコロジスト爆発四散!56 #4215tk
2019-10-14 22:08:11ファンファンファン……立ち尽くす二人のニンジャの耳に、外から近づいてくるサイレンの音が届く。チキンハートは溜息をつき、言った。「任務は達成しました。イッキ・ウチコワシの連中は後回しにして、帰還しましょう」「ヨゴザンス」ガーネットが頷く。57 #4215tk
2019-10-14 22:12:30……隠し通路。するすると進むガーネットは「フム?」ふと動きを止めた。「クルルルル……」ミニバイオ生物監禁部屋より、喉を鳴らしながら現れた小さな影を見つけたからだ。「おお、トラネコ」「……ミニバイオ虎だと思いますよ、ガーネット=サン」チキンハートが苦笑する。58 #4215tk
2019-10-14 22:16:20トテトテと歩み出てきたミニバイオ虎は、ガーネットのドレスの裾に身を擦りつけた。「フムー?」「ああ、懐いてしまったみたいですね……あなたが解放した檻にいた子ですから」チキンハートが屈み込み、ミニバイオ虎の耳を覗き込む。「ペットショップの子か。どうします?」59 #4215tk
2019-10-14 22:18:37ガーネットはチキンハートを見た。その瞳から、質問の意図を汲み取る……「フムムー……」ガーネットは屈み込み、手を差し伸べる。ミニバイオ虎は嬉しそうにその腕の中に飛び込んだ。「ひとまず、これにて」「そうですか」「……チキンハート殿には後でお力添えをお願いするかと」「?」60 #4215tk
2019-10-14 22:21:06……トコロザワピラー!チキンハートとともに帰還したガーネットは、ミッションの報酬を彼と山分けした。電算室で抜き取ったゴイリヨウ化学とビミヨの通信ログも同様に引き渡し済み。よいカネとなった。61 (【万札】22と【余暇】2を獲得) #4215tk
2019-10-14 22:24:20「で?」まず口を開いたのはぶかぶかの迷彩ミリタリーコートを着込んだ少女である。彼女こそオーキッド。いろいろあってガーネットを拾い、預かっているソウカイニンジャだ。無表情な視線に、チキンハートは冷や汗を掻いた。「エート、ですね。つまりミッションで、その、この子が懐いて」63 #4215tk
2019-10-14 22:28:56チキンハートが示したのは、その横でしおらしくとぐろを巻いているガーネットと、その尾の上に乗ったミニバイオ虎だ。自分が話題になっていることを察したのか、ミニバイオ虎がミャーと鳴いた。「ここまで懐いてしまうと、ペットショップに引き渡すのも難しく……その……」64 #4215tk
2019-10-14 22:31:24自分はなにをやっているのだろうな。チキンハートはふと思う。ガーネットの頼みは、主人たるオーキッドにこのミニバイオ虎チャンを飼う許可を得るために協力してほしいというものだった。なんでも元危険生物ハンターらしく、いろいろあってバイオ生物に厳しいのだとか。65 #4215tk
2019-10-14 22:34:15オーキッドは半眼でミニバイオ虎を見やる。ミニバイオ虎はミャーと鳴いた。「これは」「は、ハイ」「なにを食べるの。肉?」「アッ、ペット用のバイオインゴットがあるので、それです!ミニバイオ生物はおおよそそれさえあれば生きていけます」「ふぅん」オーキッドはガーネットを見やる。66 #4215tk
2019-10-14 22:36:55「……フンの始末とか、ちゃんとできる?」「は、ハイ!」「これが病気になったら、ちゃんと私に言える?」「勿論でゴザル!」「ふぅん」オーキッドは頷き、ミニバイオ虎へ視線を合わせるように屈み込むと、その頭を無造作に撫でた。「じゃあいいよ」67 #4215tk
2019-10-14 22:40:00ガーネットの顔がパッと明るくなった。チキンハートも思わずほっと一息つく。「その、俺もミニバイオ生物を飼ってるので。もしわからないことがあれば聞いてくれたら」「助かるでゴザル……!アリガトゴザイマス、チキンハート殿!」ガーネットが頭を下げた。68 #4215tk
2019-10-14 22:42:49