TD4の歴史

ナスカ (Chiether,Nazka)／土曜日 東地区 “ミ” ブロック 10b @Chiether

川崎市の戸手にある河川敷の地区は、まあ成り立ちが非常に好ましくないので今でも揶揄されているけど。少しでも詳しい情報を書き残しておきますか。

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あそこは「民有地、国有地、私有地」が入り混じっている場所で。不法ながら最初の住民が確認できるのは、1950年頃になる。 研究者らのヒアリング調査としては「入水自殺をキメようとしたが心変わりで居ついた」と言われているが実際は不明だ。

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それから10年間。1960年頃には看過できぬ状況となって、市が撤去や明け渡しを迫って、工場を主とした多くは消えて、住居が残った。というか居座った。 それから工場も完全に消えたわけではないし。またあとで少し増えた。

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電気や水道のインフラどうなってるんだ。と言われると工場が使っていた発電機を使いまわしていたり川水を利用していたんだが。1965年頃にデモをちらつかされて、弱腰だったのかは知らないけど結果的にインフラを通している。既成事実化したのがこのあたり。

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その水道については、共同水道という形で、6つか7つほど提供していたはずだが……。たくましいことに勝手にパイプ繋いで全戸に供給されていた。 でもメーターは共同水道単位なので、繋いだ利用者で料金折半の合意がなされた。これが「班」となり、住民自治体が意識されはじめた頃のこと。

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少し訂正：川水→井戸 たしか井戸もあったはず。まあ川水も使っていただろうけど。一応井戸があった。

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そろそろ隠しても仕方がないので白状すると。もちろん朝鮮総連も関わっている。 というかインフラ整備に尽力したのが、1950年頃に住民となった朝鮮人（と。1960年頃に住民となった日本人夫婦で）である。この人物はリーダー格のようなもので。遅くとも1965年頃には朝鮮総連社会部長を務めている。

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まあ。その人物が直接交渉したり。共産党議員の支援を得てあれこれしたりと。まあその是非についてはここでは扱わないし。感情的に扱ってほしくもない。 この話は、あくまでも「あの地区の歴史」を知るための話だ。

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ちなみに。このインフラ整備活動は、後の共産党からのアプローチとして「川崎守る会」につながり（先の日本人夫婦に持ちかけられている）。当時の生活保護では認められていなかった洗濯機などの利用が認められる機運となったとされている。 実際の影響度は私は知らないけどね。

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あｓて。朝鮮総連の存在が面白い影響を及ぼした大きな転機が1966年のことである。 大地主であった国際石油株式会社（記憶に間違いがなければ社長は、後に経団連会長も務めた稲山嘉寛氏）が土地の訴訟を起こしたのだ。

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先の川崎市による提訴の対象は20棟程度であったが。これはそういう規模の話ではない。 この訴訟は最高裁まで持ち込まれたが負けてしまい、朝鮮総連に土地を一括で売却。朝鮮総連はこれを世帯に分割売却した。これが1969年のこと。 もちろん。この裁判でも先の朝鮮総連の関係者が顧問をつとめている。

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（ところで。弁護士として古紙回収業者の顧問弁護士がついたという話を耳にしたことあるんだが。この古紙回収業者って、たぶんあの会社だよな……） ともあれ。この騒動によって、民有地だった部分の多くは法的解決されることになる。

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ちなみに。戸手教会は、この騒動のあとに購入され建てられたものである。なぜここで戸手教会が出てきたかというと。まあここから少しだけ。ほんの少しだけ面倒な話になる。

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それからしばらくは、地元民ですら「近づかない」「なんか近寄りがたい」という感じで扱われていた場所であるが（私は小学生のころに古紙回収業者を社会見学しにいったような気がするが……かなりうろ覚え） 再び大きな転機が訪れたのがスーパー堤防化である。

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スーパー堤防化が現実味を帯び始めた平成入って間もないころ。先ほどの「民有地だった人たち」と「未だ公有地（国有地、市有地）に残る不法占拠」の人たちの間で少しだけ温度差が産まれた。

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当初は「ここを守る会」みたいな感じのグループが教会を中心に作られていたのだが。公有地の払い下げを希望するグループと。補償を求めるグループとで別れてしまった。 このあたり。会の存在が出来ては壊れてとなっていて、私も完全に追い切れていない。

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まあ結果的には、前述する朝鮮総連の有力者が2000年前後に亡くなられて、そのあと組合会長をめぐるドタバタがあって（会長が土地売却しちゃうとか）、 再びここでインフラ事業に協力していた日本人が会長に収まって、そこからは再開発イケイケだったと記憶している。

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住民らによる法人格（中間会社）がつくられて、土地建物売買契約が締結されたのが2005年だったかな。 払い下げによって土地の権利関係がクリアになったうえで、改めて優良建築物等整備事業としてスーパー堤防が川下のほうから行われた。

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ところでツイートを探していると「優良建築物等整備事業で立ち退いたんじゃなかったのかよ」という意見をみかけた。 なるほど。なぜ今なお残っている部分があるのか。 それはだな。あの残っている地域が参加しなかったからだ。

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スーパー堤防化自体が大がかりなので。まず合意のとれたここをやって、次期として対応しましょう。と。まあそんな感じ。 今の残っている彼らが今後応じるかは知らない。少なくとも表向きは「次期対象として取り組む」というだけである。なので既遂の優良建築物等整備事業とはあまり関係がない。

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さて。ところでそんな朝鮮色の強い地域であるが。 住民はあまり朝鮮色が強くない。地権者は朝鮮色なんだが住民としては間借りしている日本人も多い。1997年時点で半々ぐらい。それと川崎市が国籍豊かな環境もあって、フィリピン人などもいる。 なので住民の人種を何かしら言うのはなかなか難しい。

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それから戸手教会は戸手教会で。地域活動や就職差別の相談など。まあ「いわゆる牧師なこと」をしていたのは間違いない。大学の勉強会とかにも参加していたと記憶している。

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あの地区は、50年もの歴史があって、50年かけて朱を消す努力をしてきて、わりと他の事例に比べれば解決していってる地区なんですわ。 もっとも。地元住民、川崎市民ですら。そんな歴史を知らない人のほうが多いんですけどね。「関わる必要もないし。関わりたくもない」という無関心ってやつです。

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無関心なら無関心でいつづければいいのにね。 多くの人は無関心でいるけど。なぜか一部は歴史や経緯も知らず。フィーリングで騒ぐんだ。 何事も一部ってのはいるからね。仕方ないね。

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以上は、私の幸区民時代に年配から教えていただいたことと。住宅総合研究財団研究論文集のいくつかを参考にして独自に調査した「語り」です。 これらの情報は「今は古い」ということもありますし「結果的にはそうだが裏では」というのもゼロではないでしょうから。詳細はご自身でお調べください。