【竹の子書房】連続殺人～履歴（リレーショナルキラー）　第二幕！

水崎沙亜乃 @roseroserose3

@ts_p リレーショナルキラー（履歴）第33話『小梁川なつみの場合』を投下します。#tknk

水崎沙亜乃 @roseroserose3

@ts_p 1)私は普通の主婦だ。夫は地方公務員。級は低いが、収入は安定しているし、公営住宅があるから住まいには困らない。若干古めかしさが漂うし、御近所は皆夫の職場の家族だが、お金が貯まったら好みの家を建てればいい。あとは子宝を待つだけ。けれどあの段ボール箱が、私の普通を壊した。

水崎沙亜乃 @roseroserose3

@ts_p 2)それは押し入れの隅から発見された。開けてみて愕然とした。ナチュラルウッドで統一しているインテリアの中で、異質な光を放つモデルガン。気持ち悪い……。初めて夫を理解出来ないと思った。とりあえず箱を元の場所に戻し、スーパーに出かける。御近所の目が冷たいのは何故だろう。

水崎沙亜乃 @roseroserose3

@ts_p 3)夫は変だけど私は普通よ？　その後、夫が発砲事件を起こした事を知った。疲弊しきった夫が帰宅したのは数日後だった。風呂を沸し夫に入って貰った。古い公宅を頑丈に目張りし、ガス給気口にみっしりと綿を詰める。そして追い焚き。酸素が薄くなる前に家を出よう。新しい普通を探しに。

氷原公魚@竹の子書房北海道支社勤務 @Wakasagi_H

@ts_p リレーショナルキラー（履歴）第34話『竹鋸ノ里村一同の場合』を投下します。#tknk

氷原公魚@竹の子書房北海道支社勤務 @Wakasagi_H

@ts_p 深い谷底を流れる有川に沿い、小梁川なつみは木鋸ノ山の奥にある竹鋸ノ里村を目指していた。丸い眼鏡をかけたタクシー運転手が、バックミラーごしに彼女を見ている。「お客さん、竹鋸ノ里に何の用だい。何もないただの田舎だよ」「観光よ。何もないのがいいの」 #tknk

氷原公魚@竹の子書房北海道支社勤務 @Wakasagi_H

@ts_p 殺人事件の重要参考人として指名手配されることを、なつみは想定していなかった。『普通』であるために夫を殺した日から、彼女は不本意にもずっと普通ではいられなかった。司直の手から逃げ、タクシーは竹鋸ノ里で唯一の宿・民宿上原につく。前歯のかけた老婆が出迎えた。 #tknk

氷原公魚@竹の子書房北海道支社勤務 @Wakasagi_H

@ts_p その夜、なつみは布団ごと簀巻きにされていた。村と外界を繋ぐ建設中の橋脚基部で、生コンクリートを彼女の頭上に注ぎ込む準備が整いつつあった。村民二百余名を代表して、堀野村長が声をかける。「アンタは箸姫様として、神となられるのじゃ」こうして彼女は神となった。 #tknk

氷原公魚@竹の子書房北海道支社勤務 @Wakasagi_H

@ts_p 【履歴第34話補足】今回の殺人履歴は特殊なので、フォローの意味で補足を作成します。『リレーショナルキラー（履歴）』シリーズ始まって以来、初めての団体殺人犯です。殺人者は竹鋸ノ里村一同二百余名。そして、次はなんと村を一つ全滅させねばなりません。 #tknk

氷原公魚@竹の子書房北海道支社勤務 @Wakasagi_H

@ts_p レギュレーションを確認しましたが、殺人者が複数であることを禁じる条文はありませんでした。ゆえにこういう形になっていますが、以前のようにルートを複数分岐させると分岐が二百余にも増えてしまいます。恐れ入りますが、次の殺人者は村人を全員同時殺害してください。 #tknk

氷原公魚@竹の子書房北海道支社勤務 @Wakasagi_H

@ts_p 殺す対象は二百余名と多いですが、村は山間部にあり孤立しています。橋は建設中で、山道一本塞げば逃げ道もありません。村の水源である有川は、いい男尻を見ると下流域を水浸しにする暴れ川です。ウィルス、毒ガス、爆薬、洪水など珍しい凶器が使用可能です。 #tknk

氷原公魚@竹の子書房北海道支社勤務 @Wakasagi_H

@ts_p 作品中に出てきた登場人物は全て竹鋸ノ里村民です。民宿上原のオババも公魚個人タクシーも、全部グルです(笑)。なお、本作品に限り『ズルイ人呼ばわり』を認めます。また、複数犯は基本的にルート分岐の危険性が高いので、原則として今後使用しないことを推奨します。 #tknk

今度はいつドイツに行けるかな？ @junmizusawa

@tanakandesu @messpipette @Wakasagi_H @kjun23 @ts_p 【履歴更新情報】第３５話『デビッド・シンの場合』。水澤純。被：竹鋸ノ里村民二百余名全員。加：デビッド・シン。動機：軍に対する不満。方法：対地ミサイルで村ごと破壊する。#tknk

今度はいつドイツに行けるかな？ @junmizusawa

@ts_pデビッド・シンは憧れの海軍に配属されて、有頂天になっていた。これで、世界の悪を自分の力で倒すことができると過信する。嘉手納基地に赴任して三か月。訓練ばかりの退屈な日々が続く。こんな日本の果ての平和な島にいたって、悪を倒すことなどできはしない。デビッドは焦りを募らせた。

今度はいつドイツに行けるかな？ @junmizusawa

@ts_pそんなある日、友人と喧嘩をしたデビッドは、日ごろの不満とともに爆発した感情を抑えることができなくなってしまう。戦闘機の、離発着の訓練の最中、彼は堪えきれずに隊列から離脱した。こんなところで燻っているわけにはいかない。自分にはもっと力があるのだ。それを軍の皆に見せてやる。

今度はいつドイツに行けるかな？ @junmizusawa

@ts_p実弾を装備した訓練機を駆って、デビッドは本州を目指した。どこでもいい。自分の操縦技術と戦闘能力を見せるのだ。デビッドは山間部に狙いを定める。やがて眼下に小さな集落が見えた。「ここだ！」デビッドは旋回すると、その平和そうな小さな村に照準を合わせて、発射ボタンを押した。

せんべい猫 @senbei_neko

@ts_p 1)敬は「非合法員」、所謂傭兵だ。高校卒業と同時に退屈な日々と故郷を捨て、硝煙と死臭の漂う戦地を漂流した。喉を潤す水よりも、皮膚を焼く死の影を味わってはじめて呼吸が出来るような男だった。戦場も依頼主も世界中に存在する。その日も、彼の元に一本の電話が入った。 #tknk

せんべい猫 @senbei_neko

@ts_p 2)新たな戦場は捨てた故郷・日本の山奥だった。「これはあくまでも『事故』だ。日本政府（あちら）とも調整済みだ」と依頼主は告げた。現地に到着した彼は、ケースからウィンチェスターM70を取り出す。多くの血を吸って黒ずんだ木製のグリップが、しっくりと掌に馴染む。 #tknk

せんべい猫 @senbei_neko

@ts_p 3)標的は田畑に着陸させた軍用機の操縦席に身を沈め、燃え盛る村を見つめて笑っていた。敬は照準を標的の額に合わせ、トリガーを引く。銃声とともに標的の頭部が揺れ、がくりと項垂れた。最後まで標的が浮かべていた笑みは、かつて戦場で敬に向けられた笑顔そのままだった。 #tknk

せんべい猫 @senbei_neko

@ts_p リレーショナルキラー（履歴）第36話「神崎敬の場合」被害者：デビッド・シン 加害者：神崎敬 関係：遂行者と標的（かつての戦友） 動機：任務遂行のため 方法：軍用ライフルによる頭部への狙撃。 #tknk