- yamatanokani
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かにぴ
@yamatanokani
うまれたばかりのそれは歴代の魔王とは違い、何も記憶を持たなかった。なのでふらふらとさまよい、はじめから備わっていた本能に知識を肉付けしていったのだ。力あるものを増やさねばならない。仲間を増やさねばならない。大きな魔力を持つものを見つけなければならない。
2019-07-07 22:14:03
かにぴ
@yamatanokani
獣は番い子は増える。なので名前のない魔王は理解した。魂が惹き合う、魔力が求め合う、そう、きっとそうなのだ。私の番いが待っているはずだ。 「わたしたちは子を成さねばならないのだなぜならばこのこころは愛と呼ぶものなのだから」
2019-07-07 22:16:39
かにぴ
@yamatanokani
本能に刻まれた憎悪を、惹かれ合う運命と誤認したまおうさまと、まだ覚醒イベントも起こってない未来のゆうしゃさま(現村人E)のはなし。ゆうしゃさま×まおうさま
2019-07-07 22:18:03
かにぴ
@yamatanokani
村にやってきた放浪者は頭が少しおかしい。何故か懐かれたし、何故かうちに住み着いた。出て行ってもらおうとした日に、村を襲うオークの集団を一人で追っ払ってくれてしまったので俺に決定権はない。好きなだけ住んでもらってあわよくばこのまま村の守り手になってもらいたい。らしい(村長談)
2019-07-07 22:20:48
かにぴ
@yamatanokani
本当になんで懐かれたのかが全くわからないが、同居人としての不満は特にない。狩りをしてきてくれるので生活も楽になった。………と、楽観視していた俺が悪いのか、「子を成さねばならないのだ」と襲われた。家主のプライドにかけて襲い返してやったが、なんで俺はあの時逃げなかったのか…。
2019-07-07 22:23:35
かにぴ
@yamatanokani
「成された、成された」と初めて見る満面の笑みで自分の膨らんだ腹を撫でる大男。たった一日で腹に子ができるわけが無い。というか、同棲では無理だ。無理だよな?無理なはずだ。昨日までなかったはずの大きなツノを揺らしながら、同居人の元放浪者は俺を見た。 「世界をおおいつくす程に子を成そう」
2019-07-07 22:27:17