すいこばなし【北方謙三水滸伝・楊令伝小噺集】11/1-7

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

鄒潤「ちくしょう、この俺が喧嘩で負けるとは」 鄒淵「強かったな、あの解宝とかいう猟師」 潤「このままでは終われん…」 淵「止めの頭突きは効いたな」 潤「それだ！兄貴！」 淵「それ？」 潤「今から俺は頭突きの稽古をする」 淵「…頭突きの？」 潤「この大木を頭突きでへし折ってやる」 淵「…」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

潤「！！」 淵「止めろ、潤！正気とは思えんぞ！」 潤「止めるな！兄貴」 淵「止めない方が良識を疑われる」 潤「俺は人ではなくなる！」 淵「止めろ！本当にやめろ！」 潤「！！」 淵「大木が軋む音が…？」 潤「止めだ！」 淵「！！」 潤「…どうだ、兄貴」 淵「大きな瘤が…」 潤「独角竜鄒潤だ」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

潤「これで互角以上に戦える」 淵「どうかな？」 潤「…しかしどうも真っ直ぐ歩けんな」 淵「当たり前だ」 潤「!?」 淵「潤！」 ？「かかったな、獣！」 潤「獣ではない、人だ！」 淵(人ではなくなるって言ったよな) 解宝「人？」 潤「野郎！」 解「お前は！」 潤「勝負しろ！」 解「…その格好で？」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

解宝…とりあえず解放してもう一回喧嘩したけど、頭突きを避けたら大したことなかった。 鄒淵…俺らも猟師にならねえか、潤？ 鄒潤…この瘤を使わせねえとは…

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

金翠蓮「…よくここまで学びました、巧奴」 李巧奴「全部、翠蓮先生のおかげです」 金「文字に関してはもうなにも問題ないわ」 李「自分でも信じられない…」 金「お仕事について問題が起きたら、裴宣殿か孫二娘殿の所に、すぐ相談に行ってね」 李「…はい」 金「そこから先は、あなたとの戦いよ」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

呉用「養生所の事務局に応募者が来た？」 白勝「えらい熱心に頼み込まれて、俺も困ってるんだが」 呉「会おう」 李「…」 呉「…失礼ながら経歴について、今一度聞かせて欲しい」 李「李巧奴と申します。済州の、妓館で働いていました」 呉「…この店はもしや」 李「…史進殿の」 呉「それは面白い」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

呉「だが、李巧奴殿」 李「…」 呉「あそこは青蓮寺という組織が絡んでいる妓館だ」 李「青蓮寺？」 呉「あなたは知らないかもしれないが、私たちの敵だ」 李「…」 呉「あなたの熱意は伝わった」 李「…」 呉「しかし、そこで働いていた者に養生所の事務局、という重要な仕事を任せるのに不安がある」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

呉「ここで働くからには、身の潔白を証明して欲しい」 李「それは？」 呉「あなたがその妓館と縁を切って、金輪際関わらないことを証明するものはないか？」 李「済州の裴宣殿と孫二娘殿にご相談に乗っていただき、連名の推薦状をご用意いたしました」 呉「それがあるならば話は早い」 李「…ならば」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

呉「ここからは、白勝に話してもらった方がいいかな」 白「李巧奴さんよ」 李「はい」 白「あんたの覚悟はよく分かった」 李「…」 白「俺が教えられることは教えられるが、あいつらは何しろ口下手だ」 李「存じております」 白「あんたの思っている倍以上苦労するぜ？」 李「覚悟の上です」 白「…」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

白「あいつらは、女だからって手加減しないぞ」 李「手加減されても困ります」 白「…ならこれ以上、言うことはねえよ、呉用殿」 呉「では、行ってもらうとするか」 白「分からないことはなんでも聞け。俺も何度でも教える。しかし、同じ誤ちは二度と繰り返すなよ。命に関わることだ」 李「はい！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

李巧奴…李瑞蘭の餞別の水晶と、金翠蓮のお守りを持って、養生所の勤務を始めた。 白勝…安道全もこんなに驚くことがあるんだな。 呉用…さすが裴宣と孫二娘の仕事だ。一部の隙もない。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

史進「…」 兵「うわ、史進殿だ」 兵「目を合わせるな」 兵「尻だけは見たらいかん」 史(兵が露骨に俺を無視しやがる) 兵「！」 兵「来た！」 花飛麟「…」 史(…ほう) 兵「心が浄化されていく」 兵「男の身体も、かくも美しいものなのだな…」 兵「それに比べて…」 史(そういう事だったのか…)

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

史「花飛麟」 花「これは、史進殿」 史「貴様に浴場での一切の身体の露出を禁ずる」 花「はい？」 兵「何を言っている、史進殿！」 兵「我らの目の保養を奪うつもりですか！」 史「尻でもくらえ」 兵「目が！」 兵「吐き気が！」 史「お前が浴場で着用する着物を用意しておこう」 花「…何故？」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

花「これはなんだ、班光？」 班光「史進殿が用意されたウエットスーツです」 花「私はこれを浴場で着なくてはならないのか？」 班「史進殿の厳命です…」 花「…私が何をしたというのだ？」 班「さあ…」 花「これでは身体を洗えぬではないか」 班「工夫しろと、史進殿が…」 花「…私も、手を打とう」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

史進…これで兵どもも羞恥心を失うはずだ。 花飛麟…私もお前につくぞ、班光。 班光…花飛麟殿がいれば百人力です。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

董平「ついにネタが切れた」 鮑旭「今回は深刻ですな」 馬麟「ついに俺たちのオリジナル楽曲を」 楽和「作詞から始めるのですね…」 董「古の詩も、青蓮寺が使用料を徴収していることが発覚した」 馬「権利者保護の為などとのたまってるが、ほとんど死んでるだろうが」 鮑「無からの始まりですね」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

董「俺たちは曲がりなりにもビジュアルバンドで売っているから、あまりコミカルな作風では困る」 馬「かと言って、美少年アイドル路線では若々しすぎる…」 鮑「難しい年頃ですな」 楽「各々の表現したい単語や曲調を発言するのはどうでしょう」 董「まず隗より始めよか」 鮑「やってみよう」 馬「…」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

董「風流！」 鮑「闇！」 楽「湖畔！」 馬「…月」 董「一撃必殺！」 鮑「髑髏！」 楽「透明感！」 馬「…友」 董「一度まとめてみよう」 鮑「闇に佇む月映る湖畔の…」 馬「風流な透明感が…」 楽「友の髑髏を一撃必殺…」 董「…鎮魂歌か？」 楽「とりあえずやってみます？」 馬「…」 鮑「馬麟？」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

董平…全員のアイデアをかき集めたら出来るものだな。 馬麟…鮑旭のワードが意外だった。 鮑旭…馬麟のリアクションが気になった。 楽和…これは気持ちを込めて歌えそうです。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

阮小五「分からず屋どもが…」 阮小二「どうした、小五？」 五「兄貴…」 二「またお前の提案を馬鹿にされたのか？」 五「今のままの船では遅すぎるし、魚を下ろす要領が悪すぎる。工夫すればもっと早くできるのによ…」 二「俺に教えてくれ」 五「…だからよ」 五「こういう仕組みを作れないかな？」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

二「すまん、小五。俺はお前ほど知恵は回らんから、全ては分からなかった」 五「…」 二「だが、お前の船や漁師の仕事を良くしたい想いは、十分に伝わってきたぞ」 五「…ありがとよ、兄貴」 二「お前の船造りの案は、いつか俺が船大工になったら必ず活かすからな」 五「近々くるんじゃねえかな？」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

阮小七「またしょげてんのかよ、小五兄貴」 五「馬鹿の相手は疲れるのさ」 七「俺の相手は？」 五「どうかな？」 七「俺は小五兄貴が凄えのはよく分かってるぜ」 五「…」 七「細えことは全然分からねえけどな」 二「今はそれじゃ駄目かな、小五？」 五「…充分だ。ありがとう」 七「博打だ、兄貴！」

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

阮小二…叔父上ならお前の言うことを分かってくれるんじゃないかな？ 阮小五…近くの村に晁蓋って変わり者の保正がいるらしいぜ？ 阮小七…なんでも塔を背負って川を渡ったっていう豪傑らしい。

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

索超「林冲殿は？」 馬麟「今日は結婚記念日だから、休暇を貰ったそうだ」 扈三娘「なるほど」 索「王英との結婚記念日を覚えているか、扈三娘？」 扈「いいえ」 郁保四(即答した) 索「一体どんな過ごし方をされるのだろう」 馬「調練が終わったら覗きに行こうか」 扈「面白そうですね」 郁(王英は？)

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

張藍「林冲」 林冲「…」 張「なぜ私たちの結婚記念日の用意をまるでしていないのですか」 林「…まだ10日先だと思っていたのだ」 張「この暦表を毎日見ているのに、なぜ？」 林「…俺におやつを作ってくれる日だと思っていたのだ」 張「…」 林「…10日後に色々と記念日の代物が届く」 張「10日…」