麻疹(はしか)について・ワクチンについて

まとめました。
社会 免疫 リスク ワクチン 麻疹 ウィルス 感染 病原体 抗体 はしか
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なまもの @nama_books
新しいものを書きました。お時間のございますときにどうぞ。 主なテーマは ・麻疹について ・ワクチンについて です。 twitter.com/nama_books/sta…
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はしか感染で免疫システム「リセット」、米研究で明らかに headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191101-… #高校生の皆さんにはお手元の教科書を開いていただいて ,生物基礎で学ぶ「免疫」について,今一度復習をしておきましょうね。
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元論文はこちら Measles virus infection diminishes preexisting antibodies that offer protection from other pathogens (麻疹ウィルスが感染すると,はしか以外の病原体から身を守ってきた獲得済みの抗体が減少する) science.sciencemag.org/content/366/64…
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まずは「麻疹」という病気について知るところから。参考にしたいのは国立感染症研究所HPより「麻疹とは」のページ。こういうときは個人のブログ等ではなくて,こういうところから探しましょうね。 niid.go.jp/niid/ja/kansen… 硬い表現が多いのですが,まずは読み取れるところから拾っていきましょう。
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以下,一部省略等の改変をしつつ抜粋します。 >38℃前後の発熱が2~4日間 >高熱が出るとともに、特有の発疹が出現 このあたりは,皆さんも広くお持ちの「麻疹のイメージ」だと思います。 問題は次の部分。 >免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫機能抑制状態を生じる
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免疫機能抑制?そう免疫の抑制です。「熱が出て,赤いぶつぶつができる病気」という認識は間違ってはいないのですが,それだけではありません。麻疹の怖いところは,免疫の抑制が起こるという点です。端的に言えば,麻疹にかかった後は,麻疹以外の病気にもかかりやすくなるということです。
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それでは,今回はどんなことが分かったのでしょうか。yahooニュースの記事では,「免疫がリセットされる」という,ややセンセーショナルな表現がなされています。しかし,それでは何のことか分かりません。教科書には,「リセット」という用語がないためです。
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このニュースを聞いて,「麻疹って,免疫がリセットされるんだって!」ってオウム返しするようではヒネリが足りません。「は?どういうこと?」と突っ込むくらいでちょうどいいと思います。「感染によって影響を受けるのは,記憶細胞?抗体産生細胞?どこ?」と突っ込むのですよ。
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敢えて煽るような言い方しますけど,高校の生物基礎の教科書程度の知識で,そのくらいは突っ込めるはずですからね。
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国立感染症研究所のHPにあるように,麻疹の感染によって一過性の免疫抑制状態になることは既に分かっていました。1908年には,ツベルクリン反応(結核菌への感染歴もしくはBCGワクチンの接種歴を示す反応)が,麻疹の感染によって消失することがあることが報告されていました。
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しかし,どの病原体に対するどの抗体が,どのように減少するのかという網羅的な解析は,これまでされてこなかったようです(aasj.jp/news/watch/116…)。今回,研究者の皆さんは,VirScanという手法で,血液中の様々なウィルスに対する抗体が,麻疹感染前後でどのように変化するかを調べました。
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(注:VirScanという手法は,ファージの殻(タンパク質)に様々なウィルスの一部を発現させたものを,被験者の血液に曝すことで,それら組換えファージと抗原抗体反応を示す抗体を血液中から割り出す手法のようです。2015年に開発されたばかりの手法で,安価でスグレモノなんだとか。)
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さて,血液の成分からおさらいです。血液は有形成分(赤血球など)と液体成分(血しょう)に分けられ,後者には抗体などのタンパク質が含まれます。血液検査をすると,血液中にどの種類の抗体がどの程度の量あるかを調べることができます。血液中には,常に何らかの抗体があるのです。
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「ある病原体が体内に初めて侵入し,適応免疫が成立すると,二度目以降の侵入時に速やかに対処できる」これは二次免疫応答という用語と共に学習しましたね。私達の身の回りは多種多様な病原体だらけなので,基本的に,常に「二度目以降の侵入」のリスクに曝されていると考えて差し支えありません。
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ですので,様々な病原体は今も私達の体内に侵入し,それに対して今も,私たちの体内では,様々な抗体がつくられています(血液検査で様々な抗体が検出されるということは,そういうことですよね。)。そしてその状態は病原体の排除後もしばらくの間続き,体を病原体から守ります。
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今回の研究で明らかになったこと―それは,麻疹に感染すると,その人の血液中の抗体のレパートリーが激減するということ。「免疫抑制が起こる」というのは既知でしたが,その中身―すなわち,様々な病原体に対抗する様々な抗原抗体反応が一度に減衰するということは分かっていませんでした。
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さらに,分かったことがもう一つ。麻疹に対して効果のあるMMRワクチンの接種は,この抗原抗体反応の減衰を引き起こさないということ。麻疹にかかると起こる免疫抑制は,麻疹ワクチンでは起こらないということです。ますますワクチンの有効性が強調されることでしょう。
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考えてもみましょう。免疫抑制が起こると言うことは,様々な病気にかかるリスク(それも,今まで感染したことのある病原体によって引き起こされる,本来はもう自然と発症が抑えられるはずの病気にかかるリスク)を増加させるということです。繰り返しますが,私たちの身の回りは病原体だらけです。
なまもの @nama_books
ワクチンが有効であることは論を待ちません。自分が麻疹にかかる確率を下げるために接種する―これはもっともな動機です。しかし,ここで皆さんには,「集団免疫」という言葉も同時に学んでおいて欲しいと思います。
なまもの @nama_books
例えば,妊娠中の方は風疹含有ワクチンを打つことができません。そして,風疹に限らず,様々な病原体に対する抗体は,体内から検出されなくなることがあります(ワクチン接種後の経年等がその理由です)。この場合,妊娠中の方で風疹の抗体を持たない方は,風疹への感染リスクが高い状態を維持します。
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このとき,その妊娠中の方の周囲の方が,風疹の抗体を持っておけばどうです? 風疹ウィルスは増殖する場を失います。そして,妊娠中の方が風疹に感染するリスクは下がります。このように,人間の集団におけるワクチン接種率の向上によって病原体を封じ込めるという考え方を,「集団免疫」といいます。
なまもの @nama_books
あなたがワクチンを接種することで,あなたにもメリットがあるし,あなたの大切な人を守ることになります。「僕は妊娠しないし」という方,もしあなたが風疹に感染し,風邪だと思い込んでいるとき,たまたま電車の隣の席に妊婦の方が来られたら―と思うと,ぞっとしませんか。
なまもの @nama_books
また,麻疹にかかった方は免疫機能が抑制されていますから,普段よりも他の病原体に感染し発症するリスクが高まっています。そういうときにも,その周囲の方がワクチンを打っておくと,集団免疫によって,麻疹にかかった方を重篤な感染症から守ることのできる可能性が高まります。
なまもの @nama_books
さて,麻疹の話でしたが,風疹と共に例に挙げたのには理由があります。 妊婦の方の麻疹感染は,流産や死産,早産の頻度を上昇させます。そして妊娠中の方の風疹感染は,「先天性風疹症候群」という疾患を,生まれてくる子供にもたらすことがあります。具体的には,心疾患,難聴,白内障が起こります。
なまもの @nama_books
これらは,大人が注射1本するだけで防げたはずのことです。 いいですか。繰り返しますよ。 大人が,注射1本するだけで,子供たちのリスクを下げられるんです。
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コメント

病ん茶坊主@εは負の数と仮定する @yan_tyabouzu 2019年11月5日
現在40代50代くらいの男性には厚労省から風疹の抗体検査のクーポンが届いていると思います。是非検査しに行ってください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/index_00001.html
KokyuHatuden @breathingpower 2019年11月6日
まとめを更新しました。ツイートとリンクを追記しました。
病ん茶坊主@εは負の数と仮定する @yan_tyabouzu 2019年11月10日
コメント訂正。 私が貼ったリンク先にもあるように47歳以上の方は来年度厚労省から通知が来るそうです。 失礼しました。