『原子力の経済学 新版』の要点 〔その4〕 原発が経済に何をもたらすか、そして事故の経過

『原子力の経済学 新版』(室田武、技術評論社、1986年、第1版1981年)の要点 〔その4〕 終章のなかで注目すべき内容を抜粋したもの。ここでは〔「原子力の平和利用」が経済に与えた影響〕および〔事故が発生した場合に辿りうる経過〕について取り上げている。特に後者は震撼させられるだろう。 関連テーマ: 〔その1〕 原発をめぐる粉飾会計の実態 http://togetter.com/li/141051 続きを読む
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Kaameen @kaameen

【原子力の経済学145】 当時でもみな自転車にのり、旅行には列車を使っていた。川も海ももっときれいだったはずである。エネルギーや国民所得が1/4だったからといって、失業者が今日の4倍もいたわけでもない。当時の完全失業率は1.0%であり、今日よりもむしろ低かった。

2011-05-31 05:05:26
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学146】 さらにいうなら、自転車、ラジオ、電車などをもたなかった江戸時代の人びとが現代人より不幸だったと断定もできないし、すべきでもない。幾つかの面では、江戸時代の人びとのほうが現代人より豊かで人間らしい生き方をしていたことが、歴史や民俗の考証から知られている。

2011-05-31 05:05:36
Kaameen @kaameen

【kaameenのコメント】 ここで著者は、日本の石炭産業が原発推進者によって意図的に破壊されたことを取り上げている。

2011-05-31 05:21:57
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学147】 日本の最近のエネルギー政策の中でもう1つ注意したいのが、石炭問題である。これまで国産石炭の生産目標は年産2000万トンと固定されていたが、1986年になって、突然にこれが1000万トンへと半減された。国産石炭だけ減らされることになったのには理由がある。

2011-05-31 05:22:22
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学148】 今日の日本の原子力開発を先頭に立って推進してきた人びとの中には、1950年代後半に国内の炭坑つぶしをやはり先頭に立って進めてきた人びとがいる。…

2011-05-31 05:22:32
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学149】 …それも、イギリスや西ドイツのように、必要に応じて開発再び採炭できるような防護を施したうえでの炭鉱閉山ではなく、九州ではヤマを放棄するという乱暴なやり方で閉山したのである。このため、鉱道には雨水が流入し、地下水湧出、有毒ガス発生などがこれに加わり、…

2011-05-31 05:22:42
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学150】 …掘ればまだ石炭があるのはわかっていても、あまりに巨大な投資が必要なので再開発できない状態にある。そして、数十万人の炭鉱労働者が失業させられ、なんとか満足できるような転職先を、今日に至るまでみつけることができないでいる人びとがたくさんいる。

2011-05-31 05:22:50
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学151】 このような失業創造の責任者が、実は日本の原子力開発に大きな影響力をふるってきた。そして原子力開発のためには石油や石炭がたくさん必要であることがわかると、石炭については輸入を急増させ、他方で国産石炭をいっそう切り捨てようというのである。

2011-05-31 05:23:04
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学152】 こうした場当たり主義の経済政策・エネルギー政策に、もし私たちがついていったら、九州の炭鉱閉山のときと似たようなひどい目にあう恐れがあり、しかもその規模は石炭の場合よりはるかに大きなものになるであろう。

2011-05-31 05:23:57
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学153】 実際、放射性毒物の捨て場がない以上、早晩、原発開発は厚い壁にぶちあたる。そうなってからではもう遅い。原子力関連業界で大量失業が発生するようになる前に、大きな方向転換を図られなければ、私たちの生活が脅かされるばかりでなく、日本経済が大混乱に陥ることになる。

2011-05-31 05:24:07
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学154】 日本開発銀行の調査によれば、1986年度の日本の民間設備投資計画額17兆7681億円のうち、電力業界の投資額は21.3%を占め、7.9%で2位の自動車業界や、7.2%でで3位の電気機械業界を完全に圧倒していた。この電力投資の主体は原発である。

2011-05-31 05:24:17
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学155】 そして、日本経済全体がこの原発を中心にみかけ上強固に編成されるとき、その開発が、核燃料の供給停止、あるいは破局的な大事故、あるいは水俣病をはるかに上回る汚染と病弊等々によってストップせざるをえなくなるとき、経済の歯車はバラバラに折れてしまう。

2011-05-31 05:24:30
Kaameen @kaameen

【kaameenのコメント】 まさにそれがいま起きていることだね。  それにしても、後戻りできないようにと、国産燃料として機能してきた炭坑をわざわざ破壊してまで原発を推進しようとするなど言語道断。しかもアメリカが何とかして日本に原発を導入させようとしていた状況を思えば、なおさら。

2011-05-31 05:30:11
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学156】 ウラン鉱山には、有毒な放射線源であるラドンガスなどがそれ以外の場所よりもたくさんある。アメリカでは、ウラン鉱山の労働者の間に、他の場所で働く人びと以上に白血病やガン患者が多いことが最近よく知られるようになっている。

2011-05-31 06:01:19
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学157】 鉱内だけでなく、ウラン含有量の多い部分を運び去った後の残滓も他の岩石以上の放射線量をもっている。鉱石から天然ウランを分離・抽出する精錬工場も、他の工場に比べて放射線が多く、…

2011-05-31 06:01:30
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学158】 …天然ウランが100%も抽出されるわけではないから、この工場から排出される残滓も一般の岩石より高い放射線量をもっている。同様に、ウラン235の濃度を高めるための濃縮工場も一般の工場よりは危険であり、その他の加工工程を扱う工場も比較的危険である。

2011-05-31 06:01:43
Kaameen @kaameen

【kaameenのコメント】 ちなみに、このあたりは核兵器の安全性について議論されている。

2011-05-31 06:01:55
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学159】 核兵器は、その爆発実験および戦争時の使用という意図した時と場所以外のときに意図せざる暴発をしてしまったら、一般国民はもちろん軍隊そのものにとっても困る。

2011-05-31 06:02:14
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学160】 したがって、ふつうの銃の保持者がふだんはそれに安全装置をつけておき、発射の直前にそれをはずすのと同じように、軍隊は種々の安全装置をつけて核兵器の暴発がおこらないよう細心の注意を払っている。問題は、それにもかかわらず、…

2011-05-31 06:02:34
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学161】 …あわやという核兵器事故がひんぴんと発生していることである。1980年9月15日には、アメリカのノースダコタ州グラウンドフォークス空軍基地で、核兵器を搭載したB52戦略爆撃機が炎上し、核爆発には至らなかったものの、核兵器そのものが損傷をうけた模様である。

2011-05-31 06:02:53
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学162】 さらに、そのわずか5日後の9月20日には、アーカンソー州ダマスカス近郊にあるICBM(大陸間弾道弾タイタンⅡ型ミサイル)の地下貯蔵庫で、ロケット推進燃料の爆発事故が発生し、核弾頭は数百m先まで吹っ飛んだ。

2011-05-31 06:03:04
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学163】 このため19人が重傷を負い、半径8~16km以内の住民に避難命令が出た。死者も1人でた。この場合も、核爆発そのものは免れたものの、いつでも不発という保証があるわけではない。

2011-05-31 06:03:12
Kaameen @kaameen

【原子力の経済学164】 アメリカでは、米ソ間の冷戦以来1976年までだけとってみても核兵器にからむ事故が97回発生し、そのうち27回は大事故であった、と報じられている。

2011-05-31 06:03:24
Kaameen @kaameen

【kaameenのコメント】 さて、いよいよここから「全世界が隠してきたソ連・南ウラルの核災害」について語られる。この内容をご一読戴けば、今後福島で起こりうる最悪の状況がどのようなものであるか、ご理解戴くことができるだろう。それはもう衝撃的なシナリオという他ない。

2011-05-31 19:24:02
Kaameen @kaameen

【kaameenのコメント】 しばしば「最悪の事態はもう起こった」などと希望的観測が伝えられているが、それが誤りであるどころか、ほんの序の口に過ぎなかったという事態にも至りうるということだ。対応を誤れば日本にに決定的な危機がもたらされる可能性も否定できない。

2011-05-31 19:24:23
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