スティーブン・トロンブレイ『優生思想の歴史』読書メモ集

スティーブン・トロンブレイ『優生思想の歴史――生殖への権利』(明石書店、2000)の読書メモをまとめました。
2
荒木優太 @arishima_takeo

「ダーウィンは、何ヶ月も続く嘔吐感に耐え、仕事は正午までしかできず、続けようとすれば目眩いを起こす体質だった」(トロンブレイ『優生思想の歴史』)。へぇー。

2019-11-17 16:14:13
荒木優太 @arishima_takeo

ダーウィンは、自分自身が生涯を通して虚弱体質に苦しみ、全身的な不健康に悩まされていたにもかかわらず、適応については頑固な見方を崩さなかった(「質の悪い動物を繁殖させておくような無知な人間はいない」)。byトロンブレイ『優生思想の歴史』

2019-11-17 16:15:38
荒木優太 @arishima_takeo

「チャールズ・ダーウィンはゴールトンの従兄弟にあたる」(トロンブレイ『優生思想の歴史』)。へぇー!

2019-11-17 16:20:35
荒木優太 @arishima_takeo

「最終的にゴールトンは、適応者はすべて子孫を残さねばならないという積極的優生学の最重要原則をも犯すことになる。ゴールトンが優生学的見地から自分を適応者とみなしていたのは間違いない。ところが彼は子どもを残さずに死んだ」(トロンブレイ)。人種不平等論者のアイツもだっけ?

2019-11-17 16:25:35
荒木優太 @arishima_takeo

「そのほかの優生学的な提案は、ゴールトンの未完のユートピア小説、『カントセイウェア』(一九一〇年)に見ることができる。これは、ある〈人口動態統計学〉の教授が数々の冒険の末に、完全に優生政策に基づいて統治されている国にたどり着くという物語だ」(トロンブレイ)。ちょっと読んでみたい。

2019-11-17 16:29:51
荒木優太 @arishima_takeo

「エリスがラフィットにつけたあだ名は、ナイアス(注:ギリシャ神話に出てくる水の楕)だった。雨の日には二人で道を歩きながら排尿して何度となく彼を大喜びさせたことを、ラフィットはアメリカ人の友人に打ち明けている」(トロンブレイ『優生思想の歴史』)。アチャー😣

2019-11-17 17:05:54
荒木優太 @arishima_takeo

「あるときには、エリスは財布を置いていけとマーガレット・サンガーをたしなめた挙句、『黄金水を置いていってくれても構わんよ』と言った」(グロスカース)。浮気ヨクナイ(そういうことじゃない

2019-11-17 17:07:00
荒木優太 @arishima_takeo

ほかの主要な優生主義者と同様、エリスは神聖なる優生学の規準を犯している。彼は子孫を残さずに死んだ。byトロンブレイ『優生思想の歴史』

2019-11-17 17:08:13
荒木優太 @arishima_takeo

エリスとは有島武郎が『或る女』を書くさい参考にし、鶴見俊輔がリスペクトしていた性科学者・ハヴロック・エリスのことなわけだが、彼らはその優生思想を知っていたのだろうか。

2019-11-17 17:10:45
荒木優太 @arishima_takeo

「精管切除法は外見からは切除されたとわからないし、性欲は残したまま生殖機能を取り除くことができ、しかも患者の健康を損ねることがない」(トロンブレイ『優生思想の歴史』)。へぇー。

2019-11-17 19:10:30
荒木優太 @arishima_takeo

強制断種法を採択した第三番目の州は、カリフォルニア州である。カリフォルニアでは、断種を支持する優生思想がほかのどの州にも増して強かっだ。一九二〇年までにカリフォルニアが実施した断種数はアメリカ全体の断種数の七十九パーセントを占める。byトロンブレイ『優生思想の歴史』

2019-11-17 19:12:34
荒木優太 @arishima_takeo

「カラーライン」という語はポペノーが生み出したもので、白人がアメリカ文化における有色人種の行動を監督するために定めた規則を指す。byトロンブレイ『優生思想の歴史』

2019-11-17 19:25:56
荒木優太 @arishima_takeo

「一九一六年、『国際倫理学ジャーナル』に「結婚と人口問題」と題した論文を発表したバートランド・ラッセルが、積極的優生政策を遠慮がちに提唱した。仕事を辞めて子どもを生むことにした女性や未婚の母に補助金を支払うとともに、離婚法の改正を求めるというものだった」(トロンブレイ)。へぇー。

2019-11-17 19:40:11
荒木優太 @arishima_takeo

「優生学が左派寄りだったことはハクスリーの講演で明らかである。まずハクスリーは資本主義を批判するために優生思想を用いた」(トロンブレイ『優生思想の歴史』)。大変なことだ。

2019-11-18 12:09:48
荒木優太 @arishima_takeo

「一九七五年のイギリスでは、四組の夫婦に一組が、妻が三十五歳になるまでに断種手術を受けていたようだ」(トロンブレイ『優生思想の歴史』)。やばい。

2019-11-20 07:45:15
荒木優太 @arishima_takeo

ナチス後、優生学は一般市民にとって恐怖に直結する言葉になっていた。一方、産児制限や家族計画という表現ならば、「あなたのためになる」と言って人々の懐に入り込むことができ、断種ロビーはこの状況を利用した。byトロンブレイ『優生思想の歴史』

2019-11-20 07:59:35
荒木優太 @arishima_takeo

「はい。喜んで断種を受けます、そうすれば家に帰れますから」(トロンブレイ『優生思想の歴史』)。強制すぎる自由意志。

2019-11-21 09:28:02
荒木優太 @arishima_takeo

強制的・義務的断種は、医業の手で実行される政治的方便である。しかし、理論上も実際上も、体制側が期待したような問題解決の手段としては効果を上げていない。優生学論争の歴史は、「不適者」の断種が、社会的、医学的問題のどちらをも解決しえなかったことを示している。byトロンブレイ

2019-11-21 09:30:19
荒木優太 @arishima_takeo

スティーブン・トロンブレイ『優生思想の歴史』読了。非常に面白かった。ちょっと分厚いが、入門者としては、これぐらいの大局感、そして雑学的な豊かさがあってくれたほうがいい。あと文体にもチャームがあって、ここ捨ておかれがちだけど、案外大事なんだよなあ。翻訳力かもしれんが。

2019-11-21 09:35:46
荒木優太 @arishima_takeo

自由意志…と見せかけての義務的断種の歴史を読むと、仮に反出生主義が諸々の反論に打ち勝ち、一般的理解を得られたとしても、国家権力が生殖にあれこれ介入することは許してはならないと思うね。絶対に悲劇的なことにしかならない。

2019-11-21 09:43:32
荒木優太 @arishima_takeo

反出生主義が通るならば、強制的断種も通ってしまいそうな感じがするが、ここは厳しく峻別せねばならない。生殖能力は生殖にとどまらず、もっと日常的な心身の健康と結ばれているのだからなおさら。

2019-11-21 09:48:12