茂木健一郎さんの「はやくとゆっくり」

脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの6月3日の連続ツイート。 蝶の飛び方を見て考えたこと。人間はどうなんだろうと・・・
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茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(1)子どもの頃から、蝶を追いかける中で、体験的に気付くことがあった。その飛び方のクセのようなものである。「蝶道」といって、ある一定のルートを通る蝶も多い。クロアゲハなど、待っていると10分くらいで再びやってきた。

2011-06-03 07:14:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(2)日高敏隆先生の名著『チョウはなぜ飛ぶか』を読んで、どのように飛ぶかということが動物行動学の研究対象になると知ったときには、うれしかった。子どもの頃から慣れ親しんだ蝶の行動から、科学への道筋が見えたからである。

2011-06-03 07:16:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(3)蝶の命は短い。羽もどんどん傷付いてぼろくなる。そんな中、この地上に与えられた時間を最大に使おうと、懸命に花の蜜を吸い、仲間を追いかけている。そんな飛び方の機微を、蝶のはばたきを見ながら心で受け止めてきた。

2011-06-03 07:17:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(4)一つ気付いたのは、環境によって飛ぶスピードが異なるということである。緑あふれる草原をゆっくりと飛んでいた蝶が、コンクリートの道の上に来ると、急に速く飛び始める。バタバタと別種のように飛び続けて、再び緑に包まれると、ほっとしたようにまたゆっくり飛んだ。

2011-06-03 07:19:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(5)なぜ、コンクリートの上では速く飛ぶのか? そこには、生活にとって意味のある情報がないから。なぜ緑の中ではゆっくり飛ぶのか? 生きる上で関わりのあるものがたくさんあるから。速くとゆっくりの緩急自在。気付くと、自分も生きる上でそんなリズムをきざんでいる。

2011-06-03 07:20:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(6)快適な環境だけにいると、発展性や発見がない。だから、ランダムに動き回る。しかし、そうそう良い物ばかりないから、速く動く。さっさと移動する。そして、自分の関心を深く惹きつけるものがあったら、じっくりと観察する。ゆっくり寄り添う。

2011-06-03 07:21:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(7)世界を移動する時は速く。そうすれば、その分、たくさんのものに出会うことができる。愛するもの、興味を惹くものがあったら、ゆっくり。向き合った時間だけ、多くの果実を得ることができる。泉は尽きることはない。

2011-06-03 07:22:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(8)はやくとゆっくり。このリズムを身体で刻むことが大切だ。時折、自分にとって快適でなかったり、意味がないものの近くでぐずぐずしている人がいる。これはダメだと思ったら、さっさと立ち去るのが良い。世界も、自分ももっと大きいのだから。

2011-06-03 07:23:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

はゆ(9)蝶たちの命は短いから、時間が濃く凝縮している。一方人間の命も本当は短いのに、私たちはつい油断してしまう。はやくとゆっくり。今年も、蝶の飛び方を森の中で観察して、いろいろなことを考え、感じる季節がやってきた。

2011-06-03 07:24:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「はやくとゆっくり」についての連続ツイートでした。

2011-06-03 07:25:01