サイコパスってどんな人?【映画のキャラクターから観る心理解説】

世の中に実在するであろう「サイコパス」キャラを映画中心にまとめました。
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惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

続いてのサイコパスは『エスター』(2009)に登場する孤児の少女エスターだ。 一見すると聡明で素直な愛嬌ある少女に見えるエスターだが、ソレは人を騙す事に長けた狡猾な裏の顔を隠す仮面に過ぎない。 養子を求める夫婦に取り入り自らのポジションを手に入れる事に成功してからが物語の恐怖の始まりだ。 pic.twitter.com/pahmTlVYFm

2019-12-29 00:15:40
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エスターのサイコパスとしての大きな特性は自身を偽る詐欺師としての能力に加えて他者の領域、環境に上手く「寄生」する事だ。 他人を利用し養分とするのはサイコパシー特有の習性でもある。 そしてそういった人間は最初は順調でもいずれは綻びが出てくるのが常だ。 pic.twitter.com/IkhrJ6gQjL

2019-12-29 19:32:08
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エスターはある「秘密」を抱えているのだが、その秘密が漏洩する危険性が出てくると躊躇いもせず殺人を犯す。 そしてその成り行きを目撃させ手伝わせた人間を「共犯」として心理的に追い詰め自らの為に利用するのだ。 こういった他者の心の隙や弱点を突くのが狡猾なサイコパス特有の常套手段である。 pic.twitter.com/YzhZVRIFhj

2019-12-29 19:46:16
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その狡猾さに加えエスターは凶暴性もかなり強い。 自分の思い通りに事が運ばない時に癇癪を起こすシーンはかなりインパクトがある。 この欲求にしろ怒りにしろ、感情衝動を抑えられない傾向は多くのサイコパスにも見られる典型パターンだ。 pic.twitter.com/aflArq30jh

2019-12-29 19:57:26
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エスターが他のサイコパスと違い一番厄介なのは自分が子供だという立場を利用し、その騙す事に長けた能力で周りを味方につけて自身の敵を精神的にも追い詰める事だ。 サイコパシーな特性と、その無害だと思わせる風貌が合わさるとコレ程恐ろしいと思わせるものは無い。 pic.twitter.com/VEmGanQPgG

2019-12-29 21:38:20
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次は1962年に公開された『ニッポン無責任時代』の主人公、平均(たいら ひとし)だ。 今まで紹介したサイコパスは悪役が多かったが、この平均はれっきとした主役だ。 人情喜劇のイメージが強いシリーズだが初期二作品は風刺映画の側面があり、その中でも「平均」のキャラクター性が重要な役割を持つ。 pic.twitter.com/aXbnX2gPs7

2019-12-29 21:52:25
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まずその平均のサイコパスとしての特徴だが慢性的にすぐウソをつく。 身分を偽り初対面の相手に酒の支払いを任せて帰る図々しさなどがあるが、他のサイコパスキャラの描写と決定的に違うのは、そんな平均の行動を観ている映画の「観客」達がソレを痛快で魅力的と思ってしまう事だ。 pic.twitter.com/bGIJZHtT85

2019-12-29 22:02:45
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行き先々でウソを吐きながらお偉方に取り入り役職を手に入れて行く平の姿は確かにコミカルで面白い。 だが其の行動パターンや心理もまた実にサイコパス的だ。 葬式の香典泥棒を働き、ソレを人に疑われたら瞬時に否定する図太さは並みの人間の神経では真似出来ない。 pic.twitter.com/HPqPDGC0dk

2019-12-29 22:26:19
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快活で魅力的なオブラートに包みながらも平の行動自体には狡猾さが目立つ。 若いカップルの駆け落ちを支援する為に協力して人情味がある様を見せたかと思ったら、裏ではその有力者な親に居場所を教える取引を持ち掛けて利己的な目的を優先させたりもする。 この観客に錯覚させるバランスが実に巧みだ。 pic.twitter.com/yOjKkLmUtp

2019-12-29 23:08:53
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平均は詐欺師としての高い特性、口の上手さに後先を省みない無茶苦茶なやり口などお馴染みのサイコパス描写が凝縮されているキャラクターだ。 植木等が演じるクレージー映画の主役は基本人情味のあるキャラが多いが、この一作目と二作目に関しては作品の内容と共に非常にブラックな作りとなっている。 pic.twitter.com/LPCMjHclEI

2019-12-29 23:33:16
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続いて同年に公開された無責任時代の続編『ニッポン無責任野郎』の源等(みなもと ひとし)を紹介しよう 前作の平均とは別人の設定だが言動や性格は殆ど同じだ。 無責任時代と無責任野郎は前後篇の構成としても見れる仕掛けがラストにある。 この続編によって社会風刺の方向性が完成に至ったとも言える。 pic.twitter.com/nN3RSaWlcJ

2019-12-30 00:13:11
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前作よりもブラックでシニカルさが増した内容となっており主人公、源等=植木等の行動力もパワーアップしている。 まず家が無いので入社早々同僚の家へ居候する。 入社初日に貯金が得意な初対面の女性に、結婚のプロポーズをしたりと冒頭から愉快な破天荒ぶりを見せる。 pic.twitter.com/j1UcMn6pPP

2019-12-30 00:45:38
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要は他人に寄生するのが得意な男なのだが、寄生した後の行動も衝撃的だ 居候していた同僚の実家の庭の植木を勝手に切り倒して駐車場を作り、貸し賃で儲けようとする 最初は嘆いていた同僚の母親も商売にやる気を出し人生に張りが出たと喜ぶのだが、結果が手段を正当化しているクレージーな描写である。 pic.twitter.com/145DlAjr4F

2019-12-30 03:04:01
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そして物語ラストに源はクビになった会社の新社長の秘書として再登場する。 その新社長こそ前作の主役「平均」なのである。 「この会社なんちゅう会社?」と平に聞かれた源は「無責任だな~www」と高笑いをしながら映画は終わるのだが、バットマンのジョーカーみたいな笑い方で実に不吉な締めだ。 pic.twitter.com/kvljcybMUo

2019-12-30 03:18:36
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社会風刺の最大の特徴は主に此処にあり、口八丁だけで成り上がる「平均」の2号3号がこれからの日本経済を回していくという警鐘の暗喩だ。 コツコツと真面目に働く高度経済成長期の真っ只中では異端だった平と源だが、その美徳が崩壊した今の日本の事を考えれば実に鋭い先見性を備えた映画であった。 pic.twitter.com/XZUV0Y8R6s

2019-12-30 03:28:12
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次は『冷たい熱帯魚』(2010)の村田幸雄だ。 連続殺人鬼のイメージが強いキャラクターだが、強い欲望からなる行動原理は立派なサイコパスとしての基準を満たしている。 脇役を演じる事が多い役者でんでんのそのビジュアルと振舞いは多くの例の中でも、最もリアルなサイコパス像だ。 pic.twitter.com/PefziCxsf7

2019-12-30 19:44:24
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「ハキハキ挨拶、テキパキ仕事♪ 今日やることはー、今日やるー♪」 と自らの店を切り盛りする快活な姿は世の中に沢山いるであろう人物像だ。 村田が特徴的なのは愛想の良い魅力的な面や殺人を犯す暴力的な面にしろ、そのどちらも裏表の無い「素」の状態な事である。 pic.twitter.com/bnTLdPcwsq

2019-12-31 02:12:19
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主人公を巧みに丸め込み死体処理などの犯罪を強引に手伝わせるのだが、その愛嬌ある表情等はほぼ変わらないままだ。 不意に見せる凶暴性と笑顔は両方とも本性であり村田の自然体な顔なのだ。 pic.twitter.com/MnXRlmtckF

2019-12-31 02:14:44
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村田が他の猟奇系サイコパスと少し違うのは主に「純粋」だという事だ。 自身を偽る事無く欲望や本能のままに行動する。 妙に楽天的であり、主人公に人生訓の説教をしている最中に「俺も幸せになりたーい!」とおどけたりもする。 コミカルではあるがリアルでは一番お近づきにはなりたくないタイプだ。 pic.twitter.com/gWwJ1RKrDf

2019-12-31 02:18:43
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サイコパスが殺人を犯す場合、快楽の為の殺人=性的サディズムでは無く金銭目的や口封じの為の場合が殆どだ。 だから村田は殺人鬼ではあるが、サイコパスとしての効率的手順の要素が何よりも突出している。 猟奇事件の現実的な生々しさを感じさせてくれる最も「厭な」キャラクターの1人だ。 pic.twitter.com/C9ei6Aoma2

2019-12-31 02:30:57
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続いて同じ現代の猟奇系サイコパスが登場する『凶悪』(2013)から須藤純次と木村孝雄、2人のサイコパスを紹介しよう。 須藤と木村はヤクザと不動産ブローカーという持ちつ持たれつの間柄である共犯者だ。 サイコパス同士なので相性自体は良いコンビだが、それはお互いの利益が続くまでの話である。 pic.twitter.com/AAD5OgHfJq

2019-12-31 02:59:51
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須藤が土地を持った人間を殺し、木村はその土地を掠め取り金に変える事から「死の錬金術師」と呼ばれる程の手際で沢山の人の死を大金に錬成していく 借金に苦しむ家庭から家族の保険金殺人を依頼され、委託殺人を引き受ける等の裏稼業もこなす 須藤は威圧的な実行派であり木村は交渉を担う頭脳派だ。 pic.twitter.com/0QV8vCDoxE

2019-12-31 03:21:38
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須藤のサイコパスとしての特徴は自分に近しい者以外の他者に対しては徹底的に冷酷になれる事だ。 そして自ら木村と犯した事件を告発する為に主人公の新聞記者に獄中で取り入るのだが、その自身の「素」を隠したしおらしい姿の変化等にも注目してほしい。 須藤が只の直情型の人間では無い事が分かる。 pic.twitter.com/wrAZXn5EOP

2019-12-31 04:53:35
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近しい者には人情味があると思わせる描写もあるが、一度自身が裏切られたと感じるとその残虐な性を露にする。 コレは身内と思った他者に対して感傷的になるという意識の反動心理でもある。 そしてそういった心の隙が木村に騙される形となり、一番の舎弟を裏切り者と吹き込まれ自らの手で殺めてしまう。 pic.twitter.com/62K9XDNN6E

2019-12-31 04:56:38
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そして木村の場合は須藤よりも冷淡であり、かつサディスティックな悪趣味さも持つタイプのサイコパスだ。 利用する相手の弱味に淡々と付け込み、拷問している被害者の苦しむ顔を見て愉しそうに笑う。 その悪逆たる性質はサイコパスとして最も危険度が高い。 pic.twitter.com/W0QxZG1z90

2019-12-31 05:14:23
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