ダークエネルギーは本当に存在するのか?

最近発表された「実は『ダークエネルギー』は存在しないのではないか」という論文、こういう内容だったようです。 この論文が正しいかどうかは、今後の研究が解明するでしょう。
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リンク Wikipedia ダークエネルギー ダークエネルギー(ダークエナジー、暗黒エネルギー、英: dark energy)とは、現代宇宙論および天文学において、宇宙全体に浸透し、宇宙の拡張を加速していると考えられる仮説上のエネルギーである。2013年までに発表されたプランクの観測結果からは、宇宙の質量とエネルギーに占める割合は、原子等の通常の物質が4.9%、暗黒物質(ダークマター)が26.8%、ダークエネルギーが68.3%と算定されている。 ダークエネルギーとは、宇宙全体に広がって負の圧力を持ち、実質的に「反発する重力」としての効果を及ぼしている 48 users 42
小谷太郎 @tarokotani

超新星の明るさを測り直したらダークエネルギーが消えちゃった件ですが、以下、解説を投下します。(長いです) New evidence shows that the key assumption made in the discovery of dark energy is in error phys.org/news/2020-01-e… via @physorg_com

2020-01-10 21:17:39
リンク phys.org New evidence shows that the key assumption made in the discovery of dark energy is in error The most direct and strongest evidence for the accelerating universe with dark energy is provided by the distance measurements using type Ia supernovae (SN Ia) for the galaxies at high redshift. This result is based on the assumption that the corrected lu 6 users 16733
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com この宇宙は膨張していて、この瞬間もどんどん広がっています。このことは100年近く前にエドウィン・ハッブルさんが見つけました。ハッブルさんはよその銀河が遠ざかっているのを観測して、「宇宙って実は膨張中?」と気づいたのです。

2020-01-10 21:18:50
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com 宇宙の膨張している「速さ」、つまり何億光年離れた天体が何km/sで遠ざかっているかという関係は、宇宙物理学においてちょう重要です。これが分かると、宇宙がどれほど昔に誕生したか、現在どれほどの大きさか、物質やダークマターやダークエネルギーがどれほど存在するか、といったことが分かります。

2020-01-10 21:19:44
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com 宇宙膨張の速さは、 1)遠くの何らかの天体の距離を何らかの方法で測定する 2)その天体の遠ざかる速さをドップラー効果で測定する という原理で測ります。

2020-01-10 21:20:46
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com これに最もよく使われている天体は、「Ia(いちえー)型超新星爆発」です。これは何億光年も離れていても見えるほど明るく、しかもその明るさが計算できる(と思われている)現象です。これを夜空に見つけて、その見かけの明るさを計算と比較すれば、距離が測定できます。

2020-01-10 21:21:51
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com 何年も前から、自動望遠鏡が夜空を監視して超新星をサーチするシステムが働いています。現在、超新星の報告のほとんどはそういう自動観測によります。

2020-01-10 21:23:04
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com そうしてIa型超新星をたくさん観測して、宇宙膨張の速さを精密に測定したところ、過去よりも現在の方が膨張速度が大きいという驚きの結果が得られました。宇宙膨張は加速しているというのです。ノーベル賞選考委員会もびっくりして、2011年のノーベル物理学賞をこの成果に与えちゃいました。

2020-01-10 21:23:24
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com 宇宙の膨張や収縮は一般相対性理論で説明されます。一般相対論の方程式にはさまざまな解が存在しますが、その中には膨張宇宙を表わす解や収縮宇宙を表わす解などが含まれています。宇宙論の一つの目標は、現実の宇宙にあてはまる解がどれなのか調べることです。

2020-01-10 21:24:15
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com そして宇宙膨張が加速するような解は、一般相対論の方程式に「宇宙項」と呼ばれる定数項を入れた場合に得られるのです。宇宙項は、この宇宙空間を満たすエネルギーと解釈されます。

2020-01-10 21:25:17
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com そんなエネルギーはこれまで観測されたことがなく、誰も存在を知りませんでした。どんな観測装置でも見えないので、「ダークエネルギー」と呼ばれることになりました。 それ以来20年間ほど、研究者はダークエネルギーの正体をあれこれ考えてきましたが、どうもしっくりする答は見つかっていません。

2020-01-10 21:26:48
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com 解決策として、「実は宇宙膨張は別に加速してないんじゃね?」というアイディアも検討されています。例えば、Ia型超新星爆発の明るさが昔と今で実は違うというアイディアです。

2020-01-10 21:38:03
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com Ia型超新星を用いる距離の測定は、それがもしも暗く見えたら遠く、うんと暗く見えたらうんと遠くにあるという原理で行ないます。これには、どのIa型超新星も(ある種の補正をした後では)明るさが同じだと仮定しています。

2020-01-10 21:38:24
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com しかしうんと遠くにあるIa型超新星は、うんと昔に爆発したものです。何十億年も昔にさかのぼると、例えば銀河内空間の物質組成が違ってきます。超新星爆発を起こす星の物質組成が違うと、明るさが違ってくるとしたらどうでしょうか。宇宙膨張が加速しているという主張の根拠が怪しくなります。

2020-01-10 21:40:01
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com 今回の発表は、「Ia型超新星の明るさが時代によってホントにずれてるっぽい!」という観測結果です。これを考慮すると、宇宙膨張は加速してないとしてもこれまでの観測結果を説明することができるといいます。 もし宇宙膨張の加速がないなら、宇宙項もダークエネルギーも必要ありません。

2020-01-10 21:45:37
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com さて今回の発表が正しくて、ダークエネルギーは一時の幻となるのでしょうか、それともやはり宇宙膨張は加速しているのが本当でしょうか。今後の観測が明らかにしてくれるでしょう。期待して待ちましょう。

2020-01-10 21:48:18
小谷太郎 @tarokotani

@physorg_com 新刊の宣伝です。 『宇宙の謎に迫れ!探査機・観測機器61』 ただいま絶賛校正中! honto.jp/netstore/pd-bo…

2020-01-11 00:17:19