緋村剣心を考える。

不殺について「逆刃刀で頭殴ったら相手は死ぬだろ!」という話じゃなく、抜刀斎も剣心も剣(暴力)によって相手を制することに大きな差はないのではないかみたいな話。
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銅折葉 @domioriha

剣心についてはこの数ヶ月わりと考えてたが、昔は(おそらく連載当時の時の和月先生も)人斬りから不殺の流浪人になったことで劇的な心情・信条の変化があったと描かれていたと思うんだけども、今読み返すと人を斬り死に至らしめる点以外は抜刀斎と剣心あまり変わらないんじゃないかと思ってもいる。

2020-01-13 11:07:04
銅折葉 @domioriha

どうにも「不殺」の言葉に引っ張られるけど、流浪人になって以降も剣心は自分の強さには全く否定的ではないし、強さをもって相手を制すること、あえて露悪的に言えば暴力で自分の意志を通すことをあまり悪いこととは思っていない。抜刀斎ではない剣心もけっして非暴力の人では無いのだ。 twitter.com/domioriha/stat…

2020-01-13 11:08:55
銅折葉 @domioriha

これはたぶん剣心も自覚的で、最後に出した人斬りの罪への答えも剣を捨てることなく闘いの人生を貫き通すことであった。自分が犠牲になれば全てが解決するのは誤りで、新たな悲しみを生む。剣を捨てて死ぬよりも戦って自分の信念を貫き道を拓く、その性格は敢えて言い方を悪くすれば人斬り的である。 twitter.com/domioriha/stat…

2020-01-13 11:14:04
銅折葉 @domioriha

だから、明治11年から5年が過ぎても十字傷は薄らぐだけで消えずに残っている。 しかし明治26年の星霜編では剣心が剣を振るうシーンがほとんどない。作中における飛天御剣流は使えなくなる説明の反映だろうが、結果、剣を失った剣心は改めて自分に何ができるかに直面していたのではなかろうか。 twitter.com/domioriha/stat…

2020-01-13 11:16:18
銅折葉 @domioriha

まあ、飛天御剣流が使えないだけで常人よりは遙かに身体能力は高かったのかもしれないが。 それまで人斬りを止め、不殺を信条としてもなお自分の意志を貫くための己の半身としていた、剣と闘いの人生を完遂するためのその「剣」を失って、明治26年の剣心はどこに立ち戻ったかという事になると思う。 twitter.com/domioriha/stat…

2020-01-13 11:18:22
銅折葉 @domioriha

そこで出てくるのはおそらく、比古清十郎に拾われる以前の心太の心根。野党含めて犠牲者全員の墓を作った、おそらく剣心が剣客になる前から持っていて、剣客として自分の意志を押し通す力をもったことでいくらかでも薄らいでいた「剣客としては優しすぎる心根」であって。 twitter.com/domioriha/stat…

2020-01-13 11:22:21
銅折葉 @domioriha

そうなった剣心が(監督が背景インタビューで答えるように)施療院を回り人々の病や苦しみに寄り添ったというのは、原作を読み込んだ上でかなり納得のいくものであるなと思うところ。 まあ少年マンガ、エンターテインメントとして描かれていた本編の結末としてはパラレル感があるのは同感ではある。 twitter.com/domioriha/stat…

2020-01-13 11:24:13
銅折葉 @domioriha

言っちゃうとアレなんだが、相手が悪徳なら警官だろうと叩きのめしに行っちゃうし、それを超法規的措置で許しちゃうのは、明治政府が近代国家を作ろうとする立場からすればまあ厄介な存在であることはこの上ないよな。 twitter.com/domioriha/stat…

2020-01-13 11:31:55
銅折葉 @domioriha

剣心も政府とは関わりたくないといってる一方で、こうした政治家・重鎮と個人的な繋がりがあって、それで恩恵を受けることを嫌ってまではいないんだよな。そうした意味で明治政府から見れば、政権に加わりもしないのに個人でえらく強く、しかも政府の恩恵を拒否まではしない剣心は扱いづらかったろう。

2020-01-13 11:33:53
銅折葉 @domioriha

剣心の暗殺を指令したのは井上馨ではないかみたいな話を和月先生がしているけれども、そういう動きが明治政府内から出てくるのはまあそりゃ当然ではあるのだろう…。 志々雄を斃すために剣心を当てようとしたのは、幕末の亡霊同士で処分してしまおうみたいな政府内の打算も、少しはあったのかもな…

2020-01-13 11:37:29
銅折葉 @domioriha

連載初期は少年漫画的エンタメ寄りではなかったので(当初の展開ではラストも剣心が居なくなって終わりという構想はあったはずだし)、正しく作品設定の根幹を捉えていくと、星霜編のような感じになるよなという気はする。

2020-01-13 11:41:38
銅折葉 @domioriha

全体的に、緋村剣心という人の人物像を素晴らしい偉人とみることもできる一方で、随所に本人の強い信条(悪く言えばエゴイズム)も垣間見えて、まさに幕末から明治の歴史の転換点を生きた人物造形だなと感じられて面白い。

2020-01-13 11:55:34
銅折葉 @domioriha

wikipediaに「業績」「人物」「逸話」みたいなのが[要出典]付きで載ってそうな感じ。#偏見 twitter.com/domioriha/stat…

2020-01-13 11:56:19
銅折葉 @domioriha

大久保利通も劇中では理想的に描かれているけど、ただそれだけの人物があそこには立てないだろうし、剣心を厄介に思っていなかったかというとそれはまた違うだろう。(志々雄をどうにかするなら他の手段があった気もするし、流石に斎藤以外にももう少しバックアップできる人材を回した気はする

2020-01-13 11:59:53
銅折葉 @domioriha

流石にこれで剣心と志々雄が共倒れになってくれればまでは考えてなかったろうけど、権力構造に組み込まれることを拒否する在野の元・人斬りが明治政府に対してどこまで有用であるか、害にならないか、脅威になりうるかを測ろうとした側面もあったんじゃないかな……

2020-01-13 12:01:49
銅折葉 @domioriha

志々雄真実というもう一人の人斬りと立ち会って、また比古師匠のところで修行をやり直して、剣心としても剣に対して思うところは多々あり、その結果、東京編と京都編以降の剣心の「力を振るう」スタンスは少し変わってる印象があるのだ。(少し枯れたというかなんとなく弱々しい印象はこの辺のものかも

2020-01-13 12:04:36
銅折葉 @domioriha

志々雄真実・前史 - Togetter togetter.com/li/1428774 @togetter_jpさんから ここでまとめた気になってたけどまとめてなかった。志々雄の言うところの弱肉強食、意味合いとしてはむしろ適者生存であり、信念を貫くには力が不可欠って思想はけっこう剣心と近い感あるんだ。

2020-01-13 13:47:52
銅折葉 @domioriha

剣心は弱者や失敗した者を虐げる相手を許さないけど、そうやって救われた弱者が自分の足で立ち上がり立ち直ってやり直すのが最善だと信じて疑わない面があり、見ようによっては逃げ出したり失敗を失敗のまま抱えて生きていくことを許してくれない節がある。#本人がやり直した体験があるからなおさら

2020-01-13 13:55:24
銅折葉 @domioriha

お前は大丈夫だきっとやり直せる、起き上がって前に進んでいける、正しい道をちゃんと選んでいける、と弱者に信頼を寄せちゃうこの感覚、生き残るためには弱者もなんらかの強さを持つ必要があると言ってるようなもので、志々雄の言う弱肉強食とあんまり違わないように思えてならない。

2020-01-13 13:57:41