空想の街 とある冬の一日・期間外

はなまめ @gp_c_

「言えないの」「応」なんで、の問の前に犬太郎は続ける。「後生の約束だ。」#空想の街 #巣烏記 「誓った。鷲尾の犬であった馬鹿野郎として、いや違う、俺が最後にできる事として頼まれて了承した。.......こればかりは譲らん。」青を打ち返す、鷲の羽色の瞳が光る。「俺が、俺が頼まれたんだ。」

はなまめ @gp_c_

「だから、俺からは話さない。」蓋が閉まったように犬太郎の肩から力が抜ける。大きくぶわ、と煙を吐くと残り少なの煙草を指で揉み消し、空箱にしまう。「どうしても？」ぐっ、とそのスーツの胸に花束が押し付けられる。「どうしても。」大きな手がその花束をそっと取り上げた。#空想の街 #巣烏記

はなまめ @gp_c_

ひばりはされるままに花束をその手に委ねた。もう青い目に光はあれど先程までの激情の熱さはない。支える気を失って細いその腕はたらん、と体の横に落ちた。「.......そ。なら、いいや。」#空想の街 #巣烏記 何事もなかったかのようにひばりは傘を傾けて、おいてけぼりのトランクをひっぱってくる。

はなまめ @gp_c_

犬太郎はその花束を抱えて、雨に濡れて続けている。傘をさしたひばりはトランクの音を立てて、その横に並んだ。丁度ひばりの頬に残りの花たちが当たる。「いいよ、別に。わかったからもう言わない。けど」#空想の街 #巣烏記 「もう、あんたには聞かない。」

はなまめ @gp_c_

犬太郎はその言葉にも何も返せない。ひばりは沈黙を確かめ、手を花束の中に差し込むと実のついた一枝を抜き取った。白く、淡い紅色の実。それだけを連れてひばりは犬太郎を待たずに、一人で、広場を出ていく。#空想の街 #巣烏記 騒がしい音が遠ざかり、散った花弁と残された花だけが彼の腕の中に残った

はなまめ @gp_c_

.......雨はまだ降っている。差し掛けられる傘もなく、ただ。犬太郎はただその花束に顔を埋めて、小さな声で「ちくしょう」と呟くほかなかった。#空想の街 #巣烏記

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@IrhnIhht 「わたしはカフェモカ、ララがキャラメルラテ」いいよね、とせんろがララを小突いた。ろろにあんなことを宣言した手前、その舌の根も乾かぬうちに言い返すことなどできず同意する。まあ異論などないのだが。 #さるカフェ #空想の街 #青の楽園 「そうだ。二人にプレゼントがあるんだ」→

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@nowhereao @IrhnIhht →「籠もってる花屋のおじさんから買ったんだよ。根付、キーホルダーってやつ。二つあるからさ、よかったらるるさんと二人でそれぞれ使って」鳥籠や羽の細工のあるそれを、包みごとろろに渡す。 #さるカフェ #空想の街 #青の楽園

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao 「カフェモカ、キャラメルラテ、かしこまりました。」#空想の街 「わぁ！きーほるだー！あけていい？かっこいい！ありがとう！」#青の楽園 飛んできたろろがオーダーもそこそこに差し出してきたそれに思わず声を上げる。シフォンケーキを持って席へ！#さるカフェ 「ありがとうララさん！→

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao いいの？鍵に付けるわ！」飲み物も聞いたわ。すぐ作るから待っててね。#空想の街 「せんろさん、ららさんと、せかい、行くの？」「なにになりたい？」「おはなし、ききたい」#青の楽園 「ろろー！飲み物おねがーい！」「はーい！…おまたせしました、カフェモカとキャラメルラテ、です」#さるカフェ

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@IrhnIhht 「せんろねー、にんげんなんだけどにんげんじゃないからにんげんになりたいと思ってさ。いただきます」ケーキを前に手を合わせ、事も無げにせんろはそう言った。 #さるカフェ #空想の街 #青の楽園 ララが慌ててフォローに回る。「俺たち、ろろに旅のこと話せるようにまたここに来るからな」

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao 「たびのはなし！ききたい！」「ろろも人間じゃない。とり。るるはにんげん」「違ってもだいじょーぶ。」「でも、なれるといいね！」 #空想の街 #青の楽園 「ごゆっくりー！」#さるカフェ 「るる、たびのはなし、こんどきく！」「あらそう！旅に行くのね。楽しみね」「うん！」#さるカフェ

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@IrhnIhht #さるカフェ #空想の街 #青の楽園 ろろが店主のもとへ去り、ララはせんろを軽くにらむ。とうのせんろはララのキャラメルラテをこっそり飲んでいたところで、それを見ると言いたかったことが霧散してしまう。「せんろ」「なに」「そういうときは素直に言え」「ごめん、両方飲みたくて」→

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@nowhereao @IrhnIhht それにしてもケーキがうまい。 #さるカフェ はいつでもどんな料理でもうまい。 #空想の街 #青の楽園 せんろがろろたちに声をかける。「おいしい。シフォンケーキってふわふわしただけかと思ってた、サクサクしたのいいね」 「俺、蜂蜜が好きだな」ララも店主にそう言ってみる。

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao 「「ありがとう！」」#空想の街 「そうね、表面だけサクッとしてると、ソースがよく合うわ」「さくっとしてふわふわ、いいでしょ！」美味しそうに食べる2人に癒されながら、カウンターの中から答える。#さるカフェ 「ろろ、とりでもるるすき」いきなりろろが言う。「え？！どうしたの？」#青の楽園 →

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao 「…ないしょ」え？#空想の街 「ろろ」「ん」私もろろ大好きだけど、私に内緒にするなら、他の人にも絶対言っちゃダメよ。お客様の秘密は絶対よ。 #さるカフェ いつもはしない真面目なことを言うと、「わかった」と、大真面目な顔をして頷き返してくるろろ。その顔なら覚悟はあるのね、よし。#青の楽園

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@IrhnIhht あっと言う間に食べきってしまった。楽しい時間はいつも過ぎるのが早い。 #さるカフェ #空想の街 #青の楽園 灰間から預かっていた金を出して、ララは二人に改めて向き直る。「ごちそうさま。じゃ、元気で。また」 「ろろくんろろくん」食器をしっかりと寄せ、せんろがろろに手招きをする。

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao 「お粗末様！いつもありがとう。あのお連れ様にもよろしく伝えてね！いつかもらった種、メニュー決まりそうです、って」#空想の街 ん？ろろ、呼んでるよ、行っといで。#青の楽園 「せんろさん、なぁに？」#さるカフェ

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@IrhnIhht さっきはなんだかごめんね、とせんろはもどかしそうに言う。「ぜんぜん友達とかいなかったから、うまく言えないんだけどね。それでもしよかったら、ララだけじゃなくて、わたしとも友達になってくれる？」 #さるカフェ #空想の街 #青の楽園

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao 遠目にもパァッとろろの顔が輝いたのが判る。まぁでも、ここは我慢。ろろは私の部下ではなく相棒だもの。ここから先はろろの領域ね。#空想の街 「ともだち！なる！ありがとう！」「ひみつ、ぜったい！だいじょぶ！」#青の楽園 「ららさん、あいぼう、よかったね！」ばいく、がんばって！」#さるカフェ

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@IrhnIhht 「ありがと！」 #さるカフェ #空想の街 #青の楽園 実はそんなに秘密でもないよ、とせんろは説明した。似たような人を探したいのだから隠していても仕方がないか、とララも思い直す。 「せんろがいいならいいや――るるさん、壊れた家電とかあったら俺に教えてよね。じゃあ、みんなお休み」

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao そうね、その時はぜひ頼むわ。逆に、なんかあったらよかったのだけど。今度来た時はまたぜひ顔が見たいわ。旅の話もね！。#空想の街 「…せんろ、さん。るるにははなしても、だいじょぶ？」#青の楽園 「ろろ、るるのあいぼうだから」#さるカフェ

青の楽園／「羊たち」 @nowhereao

@IrhnIhht いいよ、とせんろは返した。「わたし情報集めたくて。だからみんなに知っててもらってもいいの」 #空想の街 #青の楽園 ごちそうさまとありがとうを残し、二人は今度こそ、 #さるカフェ を後にする。

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao 「わかった！じょうほう、がんばる！」「さむいから、きんつけて！ありがとうございました！！」#空想の街 ろろが真面目な顔で戻ってくる。「ないしょ、じゃなかった」「でもるるだけにする」ろろ、いろいろ考えてがんばってるのね。姿勢を正してきく体制を整える。#さるカフェ →

ちりぬるをわか @IrhnIhht

@nowhereao 「せんろさん、にんげんだけどにんげんじゃないからにんげんになりたい」「おなじようなひとをさがしたいから、“じょうほう”ほしいって」「でも、るるだけにはなしていいって。」#空想の街 上出来ね。わかったわ。私も秘密は守るわ。何か迷ったら何でも聞いてちょうだいね、ろろ」#さるカフェ