空想の街 とある冬の一日 けさう文売り

2020.1.23~24+α #空想の街 企画様参加の、 #けさう文売り のログです
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こみや@空想の街 @Ne2_co

このひとは呼び止めくれれば恋歌を詠みます 流れ上こういうのがほしい、というのがあればそれを形にできるよう努力したいところ

2020-01-23 00:46:17
こみや@空想の街 @Ne2_co

#空想伝言板 #けさう文売り ですが、だいたい恋歌のあとに一言、短い解釈を添えてくれます。ぶっきらぼうだけど悪い人ではない。解釈は何とでも解釈できるし何なら誤解を招く。 twitter.com/Ne2_co/status/…

2020-01-23 14:00:30

一日目

こころしづかに恋ひわたるべし
空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

何処にもない、何処にでもある街。空想の街。時計塔の街での2日間。はじめましての貴方も、おかえりなさいの貴方も、街は全てを受け入れます。どうぞ、お楽しみください。 #空想の街

2020-01-23 00:00:19
こみや@空想の街 @Ne2_co

語らいすらも、囁きすらも、夜空に解けつつある暗い道を、闇に溶け込んでしまいそうな細い影が行く。彼とも、彼女ともつかない細い影。口元を覆っていた黒い布を解くと、は、と白い息が零れ出た。帽子のつばを上げて夜空を見る。 「……置く霜に、」 #空想の街 #けさう文売り

2020-01-23 00:06:25
こみや@空想の街 @Ne2_co

置く霜に踏みてはまどふ浮橋のこころしづかに恋ひわたるべし ……影はひとり、夜の橋を渡る。 #空想の街 #けさう文売り

2020-01-23 00:07:04

(おりた霜を踏んでどうしようかと迷う浮橋をわたるように、こころを落ち着かせて恋はするように)
――浮足立っては失うものもある

花の宿
こみや@空想の街 @Ne2_co

一応は私設図書館である #はなのえ文庫 だったが、決まった開館時間はあってないようなもの――だった。だが、本を読みに来るついでに読み書きを教わっていく子どもたちが来るようになってからはこの時間には店開きをするならいになってしまった。 #空想の街

2020-01-23 10:04:54
こみや@空想の街 @Ne2_co

子どもたちが顔を出す、というのは大人にとっても安心感につながるらしく、最近はちらほら大人の姿も見える。とはいえ、古書の多い図書館だ。気難しげな大人が言葉すくなに専門書を広げ、時にはこんな本はないかと尋ねに来る……というのは以前からのこと。 #空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 10:05:35
こみや@空想の街 @Ne2_co

門を開けたあゆ子は、大きく背伸びをして、力を抜いたところでやっとその人影に気づいた。その姿があまりに静かだったので――たたずまいが静かなわりに、その姿は見慣れないものだったが。人影は、頭から肩を覆った頭巾と、その上に被った帽子の合間からあゆ子を見ていた。 #はなのえ文庫 #空想の街

2020-01-23 10:09:25
こみや@空想の街 @Ne2_co

「あ、すいませんみっともないところを……!」 慌てて取り繕う。彼とも彼女ともつかないその人物は、すらりと細く背が高い。洋装の上から羽織をひっかけているのだが、ただでさえ大ぶりな羽織がひどくだぼついて見えた。 「……見ても?」 #空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 10:10:08
こみや@空想の街 @Ne2_co

低く、覆面越しの声に感情はない。でも、指さされたのが門の内側だったので、あゆ子はどうぞと庭を示す。ちいさく一礼した人物があゆ子の横を通り過ぎて門をくぐる、その時、やっとその肩に古い木の枝が担がれていることに気づいた。枝ぶりからすると梅だろう。 #空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 10:10:49
こみや@空想の街 @Ne2_co

その枝にいくつか紙片が結び付けてある。白い紙と色紙を重ねて結んだそれは、枯れ木に咲く花にも見えた。はたとあゆ子は思いいたる。 「……懸想文、」 梅の枝に恋文に似せた祝儀の文を結び、売り歩く商売があるという。この人物もそうなのかもしれない。#空想の街 #はなのえ文庫 #けさう文売り

2020-01-23 10:11:49
こみや@空想の街 @Ne2_co

街の外生まれのあゆ子には珍しい商売の人々も少なくないこの街だ。新鮮な驚きをもってあゆ子はその後ろに従う。 #けさう文売り は、中庭の梅の木の前で足を止めた。まだ開花には遠いが、「はなのえ」、花の兄の名にちなんで庭には数本が植わっている。 #空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 10:12:46
こみや@空想の街 @Ne2_co

彼(ということにする)はしばらく梅の木を、もしくは梅のある庭のを眺めていた。あゆ子がさすがにこの季節に枝はあげられないなと思った瞬間振り向いたので、少なからず驚く。 「歌の。和歌の本。ありますか」 そう問う声でも、やはりどんな人物かわからない。 #空想の街 #はなのえ文庫 #けさう文売り

2020-01-23 10:14:29
空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

特定の文字が実体化する現象が起きてるようです!対象は本・書類・看板など、全ての文字媒体です。今回は「羽根」という文字が具現化してるみたいです。具現化した文字は元の紙に押しつけば戻ります。お部屋の掃除中、本物と実体化の区別にご注意くださいね! #空想の街

2020-01-23 10:00:40
こみや@空想の街 @Ne2_co

ひとまず自分の机に向かったあゆ子がぎくりと足を止める。遠くから響くアナウンスの声。書庫の中身と #はなのえ文庫 の蔵書印のある本はいい。何かまじないでもかかっているらしく、この手のできごとの影響はあまり受けないから。けれど問題は……机の上と周囲に積まれた、未処理の本だ。 #空想の街

2020-01-23 10:23:34
こみや@空想の街 @Ne2_co

「蔵にあったハンコ捺してない分と……こないだ買った分……さっさと済ませとけばよかったな……」 ざっと一つかみはあるだろうか。とりあえず舞い散ってしまう前にどうにかしなければ。あゆ子は筆立てからピンセットを手に取ってため息をついた。 #空想の街

2020-01-23 10:27:55
つつめどもにほへる花
こみや@空想の街 @Ne2_co

どうにか羽根を本に戻し終えるともうこんな時間だ。深く息をついたその時、 「あの」 声を掛けられてあゆ子は飛び上がるかと思った。少しは飛び上がったかもしれない。部屋の入口に、遠慮がちに #けさう文売り が立っていた。#空想の街 #はなのえ文庫

2020-01-23 13:46:08
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