アペリティフ・ブックトーク第22回『小説は、真実を語る?;経済小説の‘虚実皮膜’』
今回のブックトークのテーマの概要のさらに抄録『小説は虚構で真実では無いが,私たちが好んでそれを読むのはなぜだろうか?「嘘と真は紙一重」で,創作だがそこに事実や真実が現れているからではないか。小説がどのようにして真実を伝えているのかを,経済小説等を中心に考察します。』#6649bt
2011-06-08 22:54:10今日は六本木ヒルズ49階のアカデミーヒルズ六本木ライブラリーにて19:15から,澁川雅俊フェローによるブックトークの日です。テーマは『小説は、真実を語る?;経済小説の‘虚実皮膜’』http://bit.ly/mU0OSN #6649bt #academyhills
2011-06-09 18:04:19今日のタイトル『小説は,真実を語る?! 経済小説の虚実皮膜』虚実皮膜という言葉は,芸術は,虚構と事実との微妙な間にあるとする,近松門左衛門の論説から。#6649bt
2011-06-09 19:23:30「読者は小説を読んで真実を知る」 → 小説読者にとって,読んで楽しいことが第一だけど,そこから一種の真実を感じ取っている。なお,「読んで楽しい」とは「おもしろい」ということ。ただし,「おもしろい」の中身にいろいろある。#6649bt
2011-06-09 19:28:46「おもしろい」と感じる → 滑稽なとき,心地良く癒されたとき,興味をそそられたとき,肯定され満足を感じたとき,自分自身の変化を自覚したとき。では,「おもしろい」を創りだすのは? #6649bt ※前のツイートと前後しました
2011-06-09 19:34:45おもしろいはどうやって創りだされるのか → 日常性と結びついたテーマを自らの動機で選択,他の人はどう感じているのだろうかと考える,テーマに関して過去の事実を徹底的に調べる,事実を多角的に検討し独自の見解をつくる。 #6649bt
2011-06-09 19:34:10「おもしろい」を創りだすのは,独創性と時代感覚が必要だけど,重要なのは「優れた読者との出会い」。おもしろいと思ってくれる読者がいてこそ,成り立つ。#6649bt
2011-06-09 19:36:30佐高信『経済小説の読み方』http://amzn.to/iWpFbF →『経済小説はマクロの国際情勢からミクロの業界事情まで,さまざまな「知識の読み方」も教えてくれる。』#6649bt
2011-06-09 19:38:45経済小説のはじまりは,城山三郎「総会屋錦城」(59年)http://amzn.to/lW181l これ以降,600点ほどの経済小説が書かれている。ダイヤモンド社は04年に城山三郎経済小説大賞というものがあり,新人小説家を発掘し始めた。 #6649bt
2011-06-09 19:44:19初期の経済小説:『兜町の狩人』(安田二郎80年)実は,著者と澁川フェローは大学の同期生。その時からから株取引をしていた。『一騎当千』(源氏鶏太59年)『大番』(獅子文六)#6649bt
2011-06-09 19:48:14実名(企業と起業家)小説:安田善次郎の前半生を描いた江上剛『成り上がり』(10年)。終戦直後の復興初期には成り上がり的人物が少なからずおり,そのような人物を描いた小説が多い。#6649bt
2011-06-09 19:51:21巨大商社だった鈴木商店の栄枯盛衰を描いた実録小説である玉岡かおる『お家さん』(07年)。山崎豊子も実録小説やモデル小説をよく書いている。『花のれん』『白い巨塔』『華麗なる一族』#6649bt
2011-06-09 19:54:20「経済小説は,男のロマンの世界」か?『本当に生きた日』(城山三郎 07年)は,ビジネス界で成功した普通の家庭の主婦の葛藤を描く。『日銀券』『カーボンコピー』『バイアウト』(幸田真音)も女性が主人公。 #6649bt
2011-06-09 19:58:27資源でビジネスをすることをテーマにした経済小説もある。梶山季之『赤いダイヤ』では小豆相場で成功した男のサクセスストーリー。富樫倫太郎『いのちの米』は江戸時代の大阪堂島で米相場に命をかけた男の話。では,最近の資源商品をテーマにした小説は? #6649bt
2011-06-09 20:01:31代表的な資源商品の石油を扱う小説:高杉良『虚構の城』(81年),黒木亮『エネルギー』(08年)。最近では水がテーマ:江上剛『渇水都市』(09年),真保裕一『ブルーゴールド』(10年)原子力発電もテーマになっている:真山仁『ベイジン』(08年)#6649bt
2011-06-09 20:06:55話は変わって,経済小説には様々なレパートリー(素材)がある。すなわち,舞台となる業種はたくさんある。『業種別にわかるオススメ経済小説』には51種類の業種がある。経済小説の中心は,銀行を含む金融関連分野の作品。→消費者金融,ノンバンク等。著者は元銀行員などが多い。#6649bt
2011-06-09 20:16:02江波戸哲夫(1946〜)は,10数点の作品の大半が銀行,金融がテーマ。幸田真音(1951年〜)は,元債権ディーラー・元外国債券セールス担当で,多作な作家で20点以上の金融小説を執筆。#6649bt
2011-06-09 20:21:26江上剛(1954年〜)は,77年以来銀行勤務で02年に小説家デビュー。非常に多作で30点以上の経済小説を執筆。黒木亮(1957年〜),細野康弘,相場英雄,などの経済小説家がいる。#6649bt
2011-06-09 20:27:59相場英雄は,最近旅情ミステリーを書き下ろしている。『奥会津三泣き因習の殺意』など。ちなみに『奥会津・・』は私の故郷が舞台で,とっても興味深い。虚実皮膜を実感しました。#6649bt
2011-06-09 20:32:18