ワクチンの有効率の計算法:HPVワクチンを例に

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(解説)

峰 宗太郎 @minesoh

ワクチンの有効率についてちょっとだけ呟いておきます👶HPVVの有効率について。あとに備えてね。さて、有効率というのはどういうことか触れる前に、バズフィードの記事にも書いたんですが、HPVVのカバーするHPVについてみておくのが大事です。buzzfeed.com/jp/soutaromine…

2020-02-08 01:49:13
峰 宗太郎 @minesoh

HPVは200種類あまりあるウイルスですが、このうちの15種類ぐらいには高い発癌性が知られています👶これらをハイリスクタイプのHPVと呼んでいます。 さらに、そのうち9種類が9価のワクチンでカバーされ、それらのうちさらに重要な2種類については2価・4価のワクチンでカバーされます。 pic.twitter.com/mnRrI6zuM7

2020-02-08 01:49:13
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峰 宗太郎 @minesoh

4価については、16・18型のハイリスクの2種類にくわえて、癌は起こさないローリスクの6・11型もカバーしますので先の図ではうまく表現できないのですね👶

2020-02-08 01:49:13
峰 宗太郎 @minesoh

さて、これらのHPVのうち、子宮頸癌(扁平上皮癌)に実際になった人に、どのぐらいの割合でこれらのHPVが悪さをしているかを調べたデータがあります👶日本人の割合はこんな感じになります。 pic.twitter.com/KZjxj7Y278

2020-02-08 01:49:14
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峰 宗太郎 @minesoh

「子宮頸部の扁平上皮癌」から「検出された」、つまり「癌を起こした」タイプは、16型が49%、18型が15%程度であるんですね👶これはあくまでも癌を起こした割合であって、感染の割合ではありません。

2020-02-08 01:49:14
峰 宗太郎 @minesoh

感染の割合と一致しない理由は簡単で、タイプごとに癌になりやすさや癌になる速さがことなるからです👶ここは重要なポイントその一ね。 さておき、この円グラフから分かるように16型・18型は重要なターゲットであることがわかりますね。

2020-02-08 01:49:14

(↑HPV=ヒトパピローマウイルスの200種類あまりの型のうち、感染からがんの発症に至る確率が最も高く、時間が一番短いのが16型と18型なのです)

峰 宗太郎 @minesoh

16・18型で起こる子宮頸部扁平上皮癌は全体の65%程度を占めているわけです👶とても重要ですね。

2020-02-08 01:49:14
峰 宗太郎 @minesoh

先のバズフィードの記事にも書きましたが、HPVVは「限られたハイリスクタイプ」に対してターゲットを絞り、それらのタイプによる子宮頸癌を減らすことを目的としたワクチンです👶buzzfeed.com/jp/soutaromine…

2020-02-08 01:49:15
峰 宗太郎 @minesoh

さて、ではワクチンの有効率、本題に入りましょう👶ワクチンの有効率というのは定義しておかねばなりません。一般的によく用いられる定義を紹介します。 ( 1ー接種者感染率 /非接種者感染率 )×100 こうなります。

2020-02-08 01:49:15
峰 宗太郎 @minesoh

さて、大事なことは当然、ワクチンの感染率の検討というのは、ワクチンのカバーする対象についてのみ検討するわけですよね👶 pic.twitter.com/XddxcdBwko

2020-02-08 01:49:15
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峰 宗太郎 @minesoh

反ワクチンの人は意図的に、それに騙される人はノータリンのため、よく混同している人がいるのですが、HPVの検出割合などはこの式には関係ありません👶なぜならワクチンのカバー対象ではないからです。 pic.twitter.com/L8ODtTh0Dq

2020-02-08 01:49:15
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峰 宗太郎 @minesoh

たとえるなら、インフルエンザは上気道炎を起こしますね👶さて、インフルエンザワクチンの有効率を考える際に、インフルエンザワクチンを打った人と打っていないひとで「上気道炎」の割合を比べるかということです。比べないですよね。風邪などもあるんですもの。

2020-02-08 01:49:15
峰 宗太郎 @minesoh

インフルエンザワクチンを打った人の有効率をしらべるなら、「インフルエンザ」への感染を調べて比べますね👶これと同じことです。HPVVの有効率、というときには、カバーするHPVの型について、感染率をまずは調べるのです。

2020-02-08 01:49:16
峰 宗太郎 @minesoh

このように計算すると、HPVVの有効率は90%以上です👶これは様々な研究で明らかになっています。論文はこの記事にも引きました。 buzzfeed.com/jp/soutaromine…

2020-02-08 01:49:16
峰 宗太郎 @minesoh

ワクチンの子宮頸癌全体への「インパクト」ということであれば、先に示したこの円グラフは重要になります👶ただし、繰り返しますが、ワクチンの「有効率」とは何の関係もありません。 pic.twitter.com/OyEIMAm9AP

2020-02-08 01:49:16
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要は「有効率」と「インパクト」は全く意味が違う言葉であって、両者を混同してはなりません。青山氏は「インパクト」の意味で「有効率」という言葉を使ってしまったから「有効率」の定義を知っている人に注意されたのです。正確な意味や定義を知らないで間違った言葉の使い方をしてしまったのなら、指摘に感謝して訂正し、以後は間違った使い方をしないように気をつければいいだけの話です。

峰 宗太郎 @minesoh

変な計算をするのが反ワクチンで、ここで65%ぐらい、ワクチンが9割効くとして(これが有効率ですが…💦)5割ぐらいの子宮頸癌にしか効かなーい!だから有効率は5割ぐらいだー!👶となる人がでちゃうんですね。間違いです。

2020-02-08 01:49:16
峰 宗太郎 @minesoh

バズフィードの記事でも述べましたが、まずは重要な子宮頸癌のリスクファクターである16・18型からカバーして癌を減らしましょう、が2・4価のHPVVなんですね👶ワクチンは有効率90%以上でめちゃくちゃ効きます。

2020-02-08 01:49:16
峰 宗太郎 @minesoh

さらに9価も有効率は高く(タイプにより多少異なりますが)、「インパクト」としても先の円グラフのかなりをカバーすることがわかりますね👶

2020-02-08 01:49:17
峰 宗太郎 @minesoh

HPVVは有効率の極めてたかい優秀なワクチンです👶さらに、感染の有効率以外にも前がん病変の予防率としての有効率も定義できますね。そこに対しても有効率は極めて高いです。 sciencedirect.com/science/articl…

2020-02-08 01:49:17
峰 宗太郎 @minesoh

これらの有効率については、最近になって、自然排除をモデルに組み込んでいないので過剰評価であるという論文もあります👶一部一考でき合理的なのですが、全体へのインパクトは疫学的にすでに証明されており、やはり有効率は90%以上であるというのが明らかですね。

2020-02-08 01:49:17
峰 宗太郎 @minesoh

大事なことは、基礎的なことをしっかり知ること👶テクニカルタームは正しく、定義づけをして用いること。数字の見方をしること、しっかりした専門家に習うこと、理解していないものを受け売りしないこと、嘘を平気で言う人を見抜くこと、など…いろいろ含まれていることが分かると思います。

2020-02-08 01:49:17

(↑共通の定義から出発していない限り、議論が噛み合うことは望めません)