村上春樹の原発事故に関するスピーチ(東京新聞より)

Seigo @say_go_it

村上春樹、スピーチ要旨

Seigo @say_go_it

東日本大震災で全ての日本人は激しいショックを受けた。今なおたじろぎ、無力感を抱いている。だが、われわれは精神を再編成し、復興に向けて立ち上がっていくだろう。われわれはそうやって長い歴史を生き抜いてきた。

Seigo @say_go_it

日本は唯一核爆弾を投下された国だ。放射能が世界や人間の身にどれほど深い傷痕を残すか、われわれは被爆者の犠牲の上に学んだ。福島第１原発事故は日本人が体験する２度目の大きな核の被害だが、今回は爆弾を落とされたわけではない。自らの手で過ちを犯した。

Seigo @say_go_it

理由は「効率」だ。原子炉は効率が良い発電システムだと電力会社が主張し、政府も国策として推進した。地震国の日本は世界第３の原発大国となり、原発に疑問を呈する人には「非現実的な夢想家」というレッテルが貼られた。だが原発は今、無残な状態に陥った。

Seigo @say_go_it

原発推進派の「現実」とは「便宜」にすぎなかった。論理をすり替えていたのだ。、（福島事故は）すり替えを許してきた日本人の倫理と規範の敗北でもある。われわれは自らも告発しなければならない。

Seigo @say_go_it

日本人は核に対する「ノー」を叫び続けるべきだった。技術力を結集し、持てる叡智を結集し、社会資本を注ぎ込み、原発に代わる有効なエネルギー開発を国家レベルで追求すべきだった。それが、広島、長崎の犠牲者に対する、集合的責任の取り方となったはずだ。

Seigo @say_go_it

損なわれた倫理や規範は簡単に修復できないが、それはわれわれ全員の仕事だ。新しい倫理や規範と、新しい言葉を連結させなくてはならない。

Seigo @say_go_it

夢を見ることを恐れてはならない。「効率」や「便宜」という名前を持つ災厄の犬たちに追い付かせてはならない。われわれは力強い足取りで前に進んでいく「非現実的な夢想家」でなくてはならない。

Seigo @say_go_it

以上村上春樹スピーチ要旨（東京新聞より）