ちいさな芽をやさしく育てましょう。

北島宏章 @yurunora

【植物】土の中で思い出す。土の中に来る前のこと。

北島宏章 @yurunora

【植物】あんなーこぉとー、こんなーこぉとーぉ、あーったぁでしょおー。 恋してました。 殴り合って 最後は撃たれた。

北島宏章 @yurunora

【植物】うっすらと顔が浮かぶ。杏仁豆腐みたいな…杏仁豆腐に、顔のパーツっぽい果物とかが装飾されてるような。彼女の顔。 アンニンちゃん。

北島宏章 @yurunora

【植物】アンニンちゃんには、エビチリみたいな兄貴がいた。 猫背だけど猫っていうよりエビで、チリっていうかピリっとした、目の黒い部分が多くて、全体的に不良っぽい。 でも色白でしっとり肌。 アンニンちゃんの兄っぽい唯一の要素。 …邪魔者だ。

北島宏章 @yurunora

【植物】アンニンちゃんは中華料理の丸テーブルに乗って、僕の目の前に現れた。誰にでも訪れますけど、気を抜いてると通り過ぎちゃう。そんな感じ。とくべつ運命的じゃない。 すぐさま キスをしました。 すると 殴られました。

北島宏章 @yurunora

【植物】勘違いしてほしくないので言いますけど、アンニンちゃんは暴力が得意な女性ではありません。 僕を殴った後、 「そんなに安くない」と言われましたが、そう思ったからキスしたのに と、思いました。 それからというもの エビチリ兄貴の野郎が、ちょくちょくでてくるようになりました。

北島宏章 @yurunora

【植物】エビチリは拳銃を隠し持っている。 という噂を、友人から聞いた。 無口で存在感のあるやつは、すぐ噂になる。 うらやましいと思って、その日は家に帰るまでずーっと、無口なキャラで過ごした。

北島宏章 @yurunora

【植物】僕には、ゴマダンゴみたいなルックスの友人がいる。 ゴマダンゴはドラクエとか出てきそうなモンスター系の外見でありながら、シャイだ。あがり症だ。 震えながら 僕に、彼宛てのかわいい丸文字の手紙を見せてきた。 二人っきりで会いたい。 だそうだ。

北島宏章 @yurunora

【植物】ゴマダンゴはようすをうかがっている。僕がこの手紙を、(今後)ラブ(が予想される)レターだと断定するかどうかを、うかがっている。 僕は キレた。 手紙の内容に、じゃない。 彼の態度に、じゃない。 差出人に、だ。 アンニンちゃんだった。

北島宏章 @yurunora

【植物】ゴマダンゴは、僕がアンニンちゃんを異性として意識してるなんて知らない。 むしろ、ハルサメばばあにメロメロだと思われてる。 だからとりあえず 忘れろ、あれはヤバい女だ。 とっかえひっかえなんだ。 すっぴんがひどい。 と言って手紙を破り捨てた。

北島宏章 @yurunora

【植物】つうこんのいちげきだった。 ゴマダンゴは自分がモンスターだって知ってたんだ。 脳が揺れた。 膝がガクッてなった。 友人がひとり減った。 ゴマダンゴはアンニンちゃんのもとへ行った。 僕は 追った。コソコソ、メソメソと無心で追った。

北島宏章 @yurunora

【植物】僕は学校に通っています。なんだか設定があやふやだったのですが、学生ってことにして、小憎たらしい友人ゴマダンゴはクラスメートで、アンニンちゃんは別のクラスの人気女子です。

北島宏章 @yurunora

【植物】百聞は一見にしかず。僕は、思い込みが激しいくて嫌われちゃう人と同じくらいか、それよりもう少し思い込み悩む人間ですが、でも上手に隠せています。ゴマダンゴはアンニンちゃんに呼び出されました。意味がわからない。なぜ僕じゃないんだ？

北島宏章 @yurunora

【植物】ゴマダンゴは足が短い。僕も短い。でも追いつけない。涙だ。涙の分だけゴマダンゴの走るスピードが増してる。僕がここ何年かで流した涙なんて、アクビとライトノベルくらいだ。…そんな風にダンゴと僕の差を考えていたら、もずくみたいな髪型の教師と鉢合わせた。英語を担当してるババアだ。

北島宏章 @yurunora

【植物】早く日本以外は沈没しろ。英語のテストの時はいつもそう思う。もずくのような髪型だと言ったが、間違いだ。このババアの髪は、もずく酢だ。そう思わせるのはこのババアのオーラなのかもしれない。ぎょろりとした目で僕を見つめた後、周りに誰もいないのを確認してから口を開いた。英語だった。

北島宏章 @yurunora

【植物】知ってる英語だった。「i love you」もずくは言った。僕が絶句していると、さらに喋った。日本語だった。「わかるでしょ？」…わからない。わかりませんよ、先生。

北島宏章 @yurunora

【植物】なんか知らないけど、年上の、熟れ気味の女に目を付けられます。もずく酢髪の婆とは授業中に何度か目が合う。…面倒だからこれからは、モッズと呼ぶ。

北島宏章 @yurunora

【植物】アンニンちゃんとゴマダンゴは、今頃どんなことになっちゃってるんだろう。人生不足の僕には、漫画的な展開の嫌な予感で、きつめの汗がでてきた。目の前のモッズは目が潤んでいて、足がガクガクしてる。

北島宏章 @yurunora

【植物】震える足がリズムを刻みだした。洋楽っぽい。さすが英語教師だ！おそらく自身を鼓舞する勇気がわいちゃうような楽曲なんじゃないかなぁ。なんて考えていたら右腕を掴まれていました。速くてぜんぜん見えなかった。

北島宏章 @yurunora

【植物】僕はクラスでいちばん動体視力が良好なハズなのに、モッズの伸びる手が見えなかった。そしてまんまと抱きしめられた。好みじゃない香水のにおいがした直後「何してるんですか。」背後から声がしました。

北島宏章 @yurunora

【植物】廊下。ここは廊下です。モッズに抱きしめられてる僕。と、そこを通りがかった女子、辛口なタンタン麺みたいなやつ。ケツまで届きそうな長い黒髪をなびかせて僕らに近づき、ジロジロと目を動かしたのち、「クソきもい」と言って去りました。

北島宏章 @yurunora

【植物】ばん。ぱぁん。すたぁん。しゅとぅん。…あの音って、口で真似できない。現実離れな妄想の色の上塗りってゆーか、重さってゆーか、そーゆーのですぐ味付けされちゃって、素材のうまみを忘れちゃう的な感じ。ゴマダンゴが向かったであろう方角からソレは鳴り響きました。THE・拳銃の音。

北島宏章 @yurunora

【植物】安全地帯を探すのが僕のやり方です。ドッジボールも！シューティングゲームも！一見、腰抜けだが、最後に必ず勝つ！ダンゴのいる所にアンニンちゃんもいる。…ヒーローになるチャンスだ！だが負けるわけにはいかない！負けない方法をじっくり考えよう！と、ウジウジしてたらタンタンが走った。

北島宏章 @yurunora

【植物】さらに言うと僕は直感を信じます。ここでタンタン女子を追い抜き、一歩先に現場で事件を解決！少し傷を負ったりしてる僕を見て、二人の女子が今までに経験したことのない恋におちる。女子2：男子1の素敵な三角が出来上がる！…という直感的な絵が宇宙の速度で広がった。「待て、俺が行く！」

北島宏章 @yurunora

【植物】全然追いつかない。ハンパなく足が速いぞあの女…。くそっ！このままでは…。…ん？…しかし…これは…非常に…安全では、ある。たとえ先にタンタンが到着しても、彼女は女。結局、女子の力ではどーにもできない状況になっちゃって、助けてーぇ、男子ぃー。となる！よし…ゆっくり行こう♪