昨日発生していたサイトログインできない不具合は修正されております(詳細はこちら)

創作32

創作文まとめ
0
前へ 1 ・・ 3 4 ・・ 13 次へ
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

去年漬けておいた梅の実の瓶を床下から出すと、梅の実と一緒に一匹の蟻が入っていた。雑菌のことが頭を巡ったが、たかが一粒、酸素の供給もなく氷砂糖で封をされた密室には雑菌の蔓延る隙はないだろう。糧を求めた虫はその坩堝で溺れ死んだ。塵のように、指の上で、体がほぐれてばらばらになった。

2020-02-20 09:42:51
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

知ってた?僕死ぬんだ、と言うとフクロウは頷いた。どうやらフクロウは知っていたらしい。さすがに森の賢者と言われているだけあって何でも知ってるな。でも早すぎない?なんとなく呆気ないものを感じて、生きる意味ってあるの?と訊いてしまった。フクロウは首を一回転させた。無いのか。やっぱりね。 twitter.com/tsukinowa_akar…

2020-02-20 02:11:46
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

船を漕いでいた手が疲れたので櫂を元に戻した。進む船が切る風は心地よく、いつしかそれが最上と、ガレー船よろしくがんばっていたらしい。船は夜の中を惰性と波で緩くうねりながら漂う。舷を撫でる波が微かに立てる音が耳に静かだ。星が水面に映りさざ波で滲む。ここには星しかない。水と星とわたし。

2020-02-20 01:45:12
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

一緒に濃い汗かきませんか、そうですか #性愛俳句

2020-02-20 01:10:22
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

有り体に言えば何でも屋だ。萬屋というほど粋でもなく、雑貨屋というと誤解を招く。しけた街の一角に昔からあるその商店は最近代替わりして若い男が店番をしている。先代は寄る年波で足腰が老いて孫に代を奪われた形になっていた。しかしガキどもの駄菓子をくすねる動きにはいまだに敏感に反応する。

2020-02-20 00:02:13
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

女の子の瞳を覗くとほんの微かに紫色が見えたので、京都へ行きたいのだとわかった。しかし京都はルールが分からないとかで嫌いなんじゃなかったっけ。その紫色は綺麗だった。朱や黒が差して紫を表に出したり引っ込めたりしている。ボクは女の子の髪をそっと撫でた。彼女は見透かされまいと目を閉じる。

2020-02-19 23:43:32
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

不機嫌な女はそれを察した男に怒りの理由を訊かれて、放っておいてくれと部屋に籠った。一人きりの狭い室内からときおり暴れる音が戸に伝わる。今夜は物を投げつけたりせず、激しく床を踏んでいる。地団駄らしい。粉末コーヒーの横にあるドリップ式のを淹れて買ってきたパイを皿に置く。「食べるー?」

2020-02-19 23:03:19
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

セージの隣にミニ薔薇を住まわせているのだが、彼女も育ちに育って1mはあるんじゃないか。すくすくと育った茎はもうそれと呼べず、幹と言っても過言ではない。話三割増しかも知れないが件の鋏をへし折ったのはこいつの伐採作業の折である。青々とよく撓る茎は古い鋏を破壊するに足りる強かさを見せた。

2020-02-19 17:25:18
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

なんていうセージか知らんが草丈の高い品種らしく、店頭で付いていた札に50〜60cmになるとあり今ではゆうに1mを超えてしまった。伸びきる前に剪定したらいいかと思ったが、伸びきった先に花をつけるので切れない。青紫の花を一斉に咲かせ風に揺れるさまは圧巻と言ってもいいだろうが如何せん長すぎる。

2020-02-19 17:16:09
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

朝出がけに玄関前の植え込みを見てしまった。そこは枯れたジャングルだった。酷い有り様だったが実は知らないわけではなかった。今年は降雪せず、例年通りであれば積雪してすっかり枯れ果てる草どもが盛りを終えきっても朽ちることなく茎を伸ばし、枯れたジャングルを形成していた。入れた鋏が折れた。

2020-02-19 17:07:21
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

#140字小説 障り女 枕き寝…まきね 同衾した際に互いにし合う 腕まくらのこと

2020-02-18 21:52:10
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

連れ帰った女を見て、不吉だから返せと老婆は男を咎める。これは害をなすような悪どさがないばかりか、物静かで寂しいほど口数が少ない女だった。 男は、その夜が明けると体が重く床に伏した。老婆はしたり顔でお前は死ぬ、女のせいだと言い去っていく。昨夜の枕き寝の一言を反芻し、男は満足した。

2020-02-18 21:52:09
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

手の影が鳥の形になり、ひとしきり囀ったり羽ばたいたりすると、胴体から離れ長い尾をたなびかせそのままどこかへ飛んでいった。 足の影は二匹の亀になり、喋りながらもつれ合い、長い尾を置いてじりじりと離れていった。 死を迎えた本体は、取り残されていた影を解き放ち嬉しそうに死んでいる。#呟怖

2020-02-18 19:06:21
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

その鍵でしか開かない錠を開けて #性愛俳句

2020-02-18 15:25:26
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

家財をすべて処分し終え縁側から庭を見下ろすと嫌な感じがした。私を悩ますものはもう何もなくせいせいするはずが、切り損ねた庭の山茶花を見て気持ちがぶり返す。氷の綿のあいだで、そこだけ火が灯ったように八重に咲く肉色の花。あの人の臟がこれでもかと咲く、庭の隅。#呟怖 twitter.com/moon04cat/stat…

2020-02-18 15:00:23
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

切なくても嬉しくてもなくの女は #性愛俳句

2020-02-17 01:20:09
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

ひとつ果て かたや果てずにさらに求める #性愛俳句

2020-02-17 01:01:31
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

音もない光もいらない温度があれば #性愛俳句

2020-02-17 00:45:42
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

あなたまでのまっすぐな道しか見えない #性愛俳句

2020-02-17 00:42:07
前へ 1 ・・ 3 4 ・・ 13 次へ