- ShinShinohara
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版画家として著名な棟方志功は、若い頃自分の芸術論に大変な自信を持ち、他の芸術家をこき下ろす傲慢さがあったそうです。人から教えてもらうことなど何もないと考えていました。ところがある出会いからコロッと態度を変え、芸術と無縁の素人からも話を喜んで聞くようになったそうです。
2020-02-29 17:50:13出会った人物とは、柳宗悦。柳氏は、江戸時代の農民が作った民芸品の美を再発見した人です。芸術論のゲの字も知らない庶民が、素朴で美しい民芸品を作っていたなんて!芸術は、極めたものだけがたどり着ける境地だと考えていたのに、どうやらそんな単純なものではないことを思い知ったようです。
2020-02-29 17:54:24似た話があります。モンテーニュは死の恐怖を克服しようと、過去の哲人に学ぼうとしました。衆人環視の中で自ら手首を切り、浴槽の中で静かに息を引き取ったセネカ。毒人参の汁を飲み干し、友人の見守る中で静かに死んだソクラテス。二階の窓から落とすぞと脅されても屈しなかった小カトー。
2020-02-29 17:58:40そんな、死を恐れなかった哲人たちの思想を学べば、自分も死の恐怖を克服できると考え、肩肘張って生きていました。 しかしモンテーニュは旅先で驚くべき光景を目にします。それは、農民の姿でした。当時、ヨーロッパではペストが散発的に発生し、人々の命を奪っていました。
2020-02-29 18:03:01都市住民と違い、農民は土地から離れて生きていけません。だからペストが流行してもじたばたせず、ひたすら畑を耕しました。ベストにかかっても動けるうちは耕し続け、動けなくなったら嘆くこともなく、静かに息を引き取る。哲理を極めたわけでもない農民が、ソクラテスと同じ振る舞いをしている!
2020-02-29 18:06:36それからモンテーニュは、死を考えることを止めました。哲学を極めたと目されていた人がみっともない最期を見せることも多く、何か違うと考えるようになったためです。彼の著作「随想録」には、著名な哲人だけでなく、庶民の風習もまぜこぜに同居しています。ありとあらゆることから学べるからです。
2020-02-29 18:08:58「自分は常人と違う」という傲慢さは、学びと気づきの機会を激減させます。学ぶこと、気づきは、日常の中にあふれています。高尚・低俗という価値観を持ったがために見えなくなることのいかに多いことか。気づきは日常にあふれている。そんな思枠を抱くことがイノベーションの胚珠ではないでしょうか。
2020-02-29 18:12:12そんなイノベーションのコツを33個集めてみました。よろしければご覧ください。 amazon.co.jp/%E3%81%B2%E3%8…
2020-02-29 18:13:22