東方SS:01「僕のかぐや」

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lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

【連続ツイッター東方小説】【タイトル:僕のかぐや】【第五話】【ハッシュタグ:#thbk】【過去ログ:p.tl/UjtS】

2011-06-29 12:43:45
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk 「お帰りなさいませご主人さま」散歩からの帰り。甲斐甲斐しくお辞儀をする慧音。胸が強調されたコスチュームに目を奪われる。たわわな胸が身体の動きに併せて激しく上下する。ドスッ。かぐやの肘鉄が脇腹にクリーンヒットする。「いくわよ!」強引に掴まれた腕に柔らかい胸の感触が残る。

2011-06-29 12:43:59
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#thbk 「なんで君がここにいるんだ!寺子屋はどうした?」控え室。僕と慧音の二人っきりだ。「辞めてきた」「な、なんで!」「何よりお前が大切だからだ!」ふわり。慧音の柔らかい髪が頬を撫でる。「行かないでくれ」僕の胸で泣きじゃくる慧音。僕は何も答えらず、その頭を撫でるしかなかった。

2011-06-29 12:44:09
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#thbk 「それで何ができるの?」かぐやは尖った口調で慧音に言う。「家事全般なら…」「じゃあさ、草毟りしてくれない?」「この庭全部をですか?」「ええ」無茶だ。「僕もやるよ」「あなたは私の相手をして頂戴」「がくや!」僕は睨んだ。かぐやは少し動揺して「好きにしなさい」とだけ言った。

2011-06-29 12:44:20
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk その日からが大変だった。なんとか割って入ろうという慧音に、かぐやの嫉妬光線、永琳間接的な嫌がらせなどなど…僕は胃がキリキリした。でもこんなにもかぐやのふくれっ面を見たのは初めてかもしれない。どこか生きる事に虚ろなかぐやの本心に迫れた様な気がした。そんな矢先の事だった。

2011-06-29 12:44:29
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk 事の発端は村長からの手紙からだった。「活発化する妖怪に対抗するために二人に村の警護を頼みたい」という事らしい。慧音は青ざめていた。彼女にとって選べない選択を僕は強いてしまっていたのだ。「僕もやめるよ」それが僕にできる全てだから。そして僕らは永遠亭を去った。

2011-06-29 12:44:43
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【連続ツイッター東方小説】【タイトル:僕のかぐや】【第五話】【ハッシュタグ:#thbk】【過去ログ:http://t.co/W7D9GwX

2011-07-13 21:36:36
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#thbk ジーウージー。虫の鳴き声。夜風が心地よい。僕は村の警備のため村の門にいる。こうしていると思い出す。殺戮に明け暮れた300年を。あの暗い淵から救ってくれたのは慧音だった。「どうかしたか?」「慧音は変わらないな」「そうでもないぞ?」「変わらないさ」君は僕の目標なのだから。

2011-07-13 21:36:49
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#thbk 「なあ、もこう」慧音が寄り添ってくる。「私はこうしているだけで幸せなんだ」いつも手の届かなかった背中がこうして近くにある。トクン…トクン。胸が高まる。「ぼ、僕は」身を乗り出そうとし、もつれ彼女を押し倒す。彼女の唇がこんなに近くにある。目が潤む。「僕は」その刹那だった。

2011-07-13 21:36:51
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#thbk ズシャ!舞い散る鮮血。僕をかばったその背中が音を立てて軋む。深く抉られたそれは僕に事を理解させるのに十分だった。「けいね?」忘れていた…ここは幻想郷…力がすべてを支配する世界。妖の身で妖に敵対するその意味を。「グルルゥ」魔獣の群が僕らを取り囲む。世界が赤く染まった。

2011-07-13 21:36:55
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#thbk じりじりとした蒸し暑さが肌を伝る。「何で…僕ならいくらでも死んだのに」泥と血と汗の混じった手で彼女を強く強く抱きしめる。「…」「なぁ何か言ってくれ…慧音」僕は彼女を抱きかかえる。「待ってろ、すぐに診てもらうからな…」彼女の身体は怖いほど軽かった。僕は竹林を翔った。

2011-07-13 21:37:03
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【連続ツイッター東方小説】【タイトル:僕のかぐや】【最終話】【ハッシュタグ:#thbk】【過去ログ:http://t.co/Y2KyyZBN

2011-09-26 23:15:36
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#thbk じんわりと滲む液体の感触。背中の慧音の息遣いが弱っているのが肌を通して感じられる。「頼むからもってくれ…」僕は迷いの竹林をまっすぐに進む。「なぁもこう」後ろから慧音が囁く。「私はお前の何かになれたか?」「何を言ってるんだ」「教えてくれないか?」僕を握る手に力がこもる。

2011-09-26 23:16:43
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#thbk 「慧音は…慧音は僕の家族だ」僕がすべてに絶望していた倦怠の300年から抜け出せたのは慧音のおかげだ。恩人とか友人とかじゃない。もっともっと大切なものだ。うまく形容できないけども。「そうか」とだけ慧音はつぶやいた。明かりが見える、もう少しで永遠亭だ。そうしたら慧音もー

2011-09-26 23:16:46
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk 僕たちに対して永琳はさめざめといった。「ダメね、諦めなさい」「何故ダメなんだ!」僕は問い詰める。「病ならいくらでも治すことはできるわ。でも寿命や致命的な外傷は私でも覆すことはできないの」と目を逸らす。「嘘だ!だってお前たちには蓬莱の薬があるじゃないか」

2011-09-26 23:16:58
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#thbk 「そんなの姫が許さないわ」部屋の隅でこちらをみつめるかぐやを見やる。「がくや?」「できないわ」「ぇ?」「あなたの大切な人に永遠を与えるなんて酷いことできないわ」「何を…言っているんだ?」「今まで何を見てきたの?人は移ろいゆくもの、一時の感情で人を縛るのは愚行だわ」

2011-09-26 23:17:11
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk 「僕は…!」「偽善よ」かぐやが言葉を遮った。「人の感情なんて移ろいゆくもの、一時の感情で永遠を選ぶなんて間違ってるわ」キッと睨みつけるかぐや。僕は思わず激昂して、パシン、殴った。「お前にだけは言われたくない」声が震える。「私だから言えるのよ」その目は僕を見据えていた。

2011-09-26 23:17:27
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#thbk 「僕はそれでもこの想い、この一瞬を大切にしたい!」「今は無限にやってくるのよ!そんなのできっこない!」ぎゅ…。慧音が力無く僕の裾を握る。「もういいんだ、もこう。私は十分に生きた。」「慧音…」「人は生きて愛し愛され死んでゆく、私がそう人を見て来たように私もそうなる」

2011-09-26 23:17:41
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk 「だから もこう、今度はお前があの子に伝えるんだ。生きることの素晴らしさを」優しく頭を撫でる慧音に「おいていかないでくれ…」僕は縋る。「お前はいつも泣いているな」慧音は柔らかく笑った。「ありがとう、もこう」慧音の手は僕の頬を触り、そしてー

2011-09-26 23:18:04
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk ーザーッ。一面の雨。僕はいつも様に空を眺めていた。「大丈夫か」その声は聞いた。「ボロボロじゃないか」そいつも大概にボロボロだった。「これか?ちょっとこの辺りは不案内でな、道で躓いてしまってな」こいつは嘘が下手だ。「お前は妖怪か?」しばらく経ってそいつは聞いた。

2011-09-26 23:18:19
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk 「さあな、どうでもいい…」鬱陶しさを振り払う様に答えた。そいつはキョトンとした表情をしてやがて笑った。「ははは。そうか。そうだな。」何かを吹っ切った様に「ならばゼロからはじめよう」僕の手をとった。「今日から私たちは家族だ」カゾク…思い出せないけど暖かいその言葉に僕はー

2011-09-26 23:18:36
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk 赤い夕日を背景に墓標が佇む。「慧音…行ってくるよ」僕は立ち上がる。そうだ、今度は僕の番だ。僕がかぐやに伝えるんだ。本当の優しさを。だから今は「絶対に許さない」全力でアイツにぶつかる。分り合える日はきっと来るから。朱色に染まる道端に、名も無き花が寄り添う様に咲いていた。

2011-09-26 23:18:53
lahalt@Illustrator🎨 @lahalt

#thbk 【後書き】タイムリープしてぇ…。過去に戻って書き足りないエピソード書き足したい。そもそも、こんだけ各話の間隔空くのってコンテンツとしてどうかのかと。140字の呪縛はあるけども、そこはever noteに一旦書き出すなりして、定量的に小説を提供したいなぁ、と思いました。

2011-09-26 23:19:48