山本圭『アンタゴニズムス』読書メモ集
- arishima_takeo
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「このような存在論的な関心から、敵対性についてのもっとも簡潔な定式化が得られる。すなわち、「敵対性」とはあらゆる客観性の限界である」。すなわち、敵対性とは客観性それ自体の構成を妨げる何かのことにほかならない」(山本圭『アンタゴニズムス』13p)。「すなわち」が連続する。
2020-03-11 09:14:53東浩紀が左派ポピュリズムを否定神学批判の文脈で批判していたとき山本圭は間接的に反論(?)的なことを書いてように記憶しているのだが、ここでいう「トラウマ的な核は単数ではない」、「複数の敵対性」(16p)が単数的存在論的脱構築との違いみたいな感じなんだろうか。
2020-03-11 09:19:23グローバル資本主義のオルタナティヴを提示することが難しくなるにつれて、「革命」という言葉の響きも、どこか白々しいものとなってしまった。そのためであろうか、この語は近年では紫陽花革命(日本)や雨傘革命(香港)など、より広い抵抗運動の文脈で用いられることが珍しくない。by山本圭40p
2020-03-11 09:34:53ルフォールにとって「革命」とは単一の中心をもつ「単数形で、定冠詞のついた」ものというよりは、むしろ「複数的革命」と表現すべきものである。大学、工場、街路など、革命の舞台はつねに複数であり、そのかぎりで革命は多元的である。by山本圭『アンタゴニズムス』41p
2020-03-11 09:38:56デイヴィッド・ライアンが『監視文化の誕生』のなかで、映画『ザ・サークル』を論じてるらしいが、これはいま書いてるサークル論にも役立てることができるかもしれない。上手くいけば、アレントからイリイチ(ワークからシャドウワーク)へ、も。
2020-03-11 09:46:05それでもなお問題に思われるのは、斎藤の図式では〈政治的なもの〉と〈社会的なもの〉の緊張関係が抹消され、前者は後者に飲み込まれ、彼の図式においては矛盾のない調和のようなものが目指されているということだ。by山本圭『アンタゴニズムス』56p
2020-03-11 10:00:45「このようなポスト・マルクス主義の視座は、ある意味で、ラディカル・デモクラシーが共同戦線を張ろうとするプラグマティズムのそれでもある」(山本圭『アンタゴニズムス』58p)。あ、やっぱそこ繋がってんだ。
2020-03-11 10:02:30「アルチュセールはあるところで、精神分析が社会適のための技術、つまりは自己啓発のような【商売】になっていることを批判している」(山本圭『アンタゴニズムス』67p)。へぇー。
2020-03-11 10:11:26「ベーシック・インカムやポルト・アレグレの参加型予算を支持するために、ラカンの性別化の式を持ち出す必要がどこにあるのだろうか」(山本圭『アンタゴニズムス』89p)。笑った。
2020-03-11 13:18:14「バトラーにあっては「競合する複数の普遍」が存在し、そのため複数の普遍のあいだには「文化翻訳」が必要となる。翻訳なしの普遍の拡張は、必定、植民地主義的なものにならざるをえないということだ」(山本圭『アンタゴニズムス』164p)。最近のフェミ用語ってカタカナ語多すぎやしないか問題だな。
2020-03-12 14:03:31「バトラーは同時多発テロで犠牲となった公式に嘆かれる生とは別に、その他の多くの嘆かれることなく、その喪失について絶対的に沈黙される生に注意を促している。つまり、誰が悲嘆に値するかしかいのか、私たちの感情は国家にあらかじめ規制されている」(山本圭『アンタゴニズムス』166p)。そうか?
2020-03-12 14:07:07たとえばいま私が死んだとしても誰も嘆きはしないと思うけど、それって国家によって規制されてるからなのか?(それともそういう話をしてるわけじゃないのか?
2020-03-12 14:08:16ポスト基礎付け主義と反基礎付け主義の違いは、後者があわゆる最終審級を斥けるのに対して、前者が複数の最終審級ならば許すところにある。
2020-03-12 16:31:37これこそ、左派ポピュリズム論の基本的な直感である。求められるのは、ネイションとは異なる同一化の点を創出し、備給の対象を置き換えることであり、ポピュリズムはこの課題への一箇の回答になりうるということだ。by山本圭『アンタゴニズムス』206p
2020-03-12 16:51:00ミュラーはこの発言に、トランピズムのポピュリズム的性格を認めている。それによると、ポピュリズムの核となる主張は、一部の人民でもって人民の全体に代えること、すなわちポピュリストが認めた人民のみが真の人民であるとするレトリックにある。by山本圭『アンタゴニズムス』
2020-03-12 16:53:29参加の号令には、どこか統治の匂いがする。参加はときおり階級間に流動化をもたらすことはあっても、エリートと大衆の関係を必ずしも否定しないだろう。by山本圭『アンタゴニズムス』230p
2020-03-12 16:54:54山本圭『アンタゴニズムス』読了。面白かったけど、まだ少しアンタゴニズム【ス】、複数形であることの意味が呑み込めていない。
2020-03-12 16:56:13ちょっと整理。基礎づけ主義(これが絶対正しいからこれに従え)でもなく反基礎づけ主義(そんなもんねえ共同体の偶然が決めるだけ)でもない、ポスト基礎づけ主義において複数の基礎づけが可能になる(アンタゴニズム【ス】)。
2020-03-12 16:59:25その複数の選択肢からなにを選ぶかは、真実にかなうかどうかではなく、「真実らしさ」を獲得するかどうか。だから、その過程は証明ではなく「説得」を用いることになる。「真の人民」レトリックには別のレトリックで抗するみたいな感じか。
2020-03-12 17:01:18