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アニメ『けものフレンズ』1期 完成されたエピソード構成と作品テーマを分析&解説(ネタバレ有り)
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kyobyobyo2
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『けものフレンズ』1期が恐ろしく周到なのは、こうした関係性の偏りを視聴者にそれと気づかせることなく、コメディとして見せていることだ 序盤3話の時点で、すでに最終2話への「振り」が配置されている
2020-03-14 03:57:24![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『こうざん』というエピソードは、単体の短編として観ても、シリーズ中の1話として捉えても、非常に傑出している 内側と外側に張り巡らされた物語の網の巧みさを、ご理解いただけただろうか
2020-03-14 04:00:17![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『けものフレンズ』1期は、第11話『せるりあん』と第12話『ゆうえんち』をもって、物語を結論づける 「優しい世界」を描きつつも、その内部にある力強いテーマを伝えるための巧みなストーリーテリングの技術の結実が、この2話には表れている 今回は第11話について、その構成を分析してみよう
2020-03-19 01:17:48![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
まずはシーンを分割してエピソードの全体像を確認する 第11話『せるりあん』は、解説とED、予告を除くと21分24秒のエピソードである ①ハンターたちとの出会い(0:00 - 3:54) ②山へ ハンターと巨大セルリアン(3:55 - 5:11) ・解説(5:12 - 6:10)
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③五合目 ミライによる巨大セルリアン情報(6:11 - 8:01) ④山頂 アライグマ一行と合流(8:02 - 10:13) ⑤ミライの情報 四神の位置(10:14 - 11:46) ⑥巨大化するセルリアン(11:47 - 12:38) ⑦四神発見 かばんの決意(12:39 - 14:17) ⑧作戦会議(14:18 - 16:53)
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⑨夜 作戦開始(16:54 - 18:15) ⑩捕らわれたサーバル(18:16 - 19:38) ⑪救出(19:39 - 22:22) シーンごとの切れ目は若干曖昧だが、三幕構成で分割すると 第一幕:①② 第二幕:③ ~ ⑧ 第三幕:⑨ ~ ⑪ となり、こちらはかなりはっきりしている
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ミッドポイントは13分30秒ごろ、かばんが「僕はお客さんじゃない」と宣言し、羽が2つになった帽子をかぶるシーンだろう エピソードの中央からはやや後ろにずれた時点だが、この宣言と「完全になった帽子」がもつ重要性を考えれば、ミッドポイントはこの場面以外にはありえない
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第11話と第12話はシリーズ全体の「第三幕」にあたり、物語の結論部分だ (ちなみに第一幕は第1話のみ、あるいは第1話から第3話と考えられる) この2話における物語の重点を読み解いていけば、『けものフレンズ』がどのような物語であったか、そしてファンが何に魅了されていたのかを理解できるだろう
2020-03-19 01:48:25![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
結論から述べてしまうと、『けものフレンズ』は「自立」と「再生」を描いた物語だ まず「自立」については、主人公かばんの肉体的な成長という要素が最もわかりやすいものだろう 『せるりあん』においては、⑪における木登りの描写で、そして③の山登りの場面においてもさりげなく描かれている
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③の描写はヒトの特長である持久力において、かばんはサーバルに優っているということの表れでもある しかし言うまでもなく、山登りと木登りは第1話において「主人公劣位」がはっきりと示されていた(ただし持久力については、同時にかばんの長所としてサーバルが洞察している)
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かばんのこうした持久力という特長、そして旅の過程で身につけた木登りという技術は、パークとフレンズの危機において、つまりは仲間を救うために発揮される これは第1話においてサーバルを救うために「知恵」と「器用さ」という特長を発揮したこととの類似であり、そして同時に相違をも示している
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相違点は、仲間を救うために行動するかばんの態度だ 第1話では体を張るサーバルの後方で草むらに隠れていたうえに、自身への攻撃には為す術もなく、間一髪のところでカバにかばわれていたかばんである それが第11話では独力で、自らの肉体的な行動によってサーバルを助けようとする
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このように「自立」は主人公かばんの成長において最もわかりやすく描かれているが、実際には物語全体で強く主張されているテーマでもある その一つの表れが「ヒトの残した遺物を運営するフレンズたち」というモチーフだろう
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これはほぼすべてのエピソードを通じて描かれているモチーフだ カフェ、図書館、ライブ、温泉、ロッジといったわかりやすい施設運営から、単純な人助けをするジャガー、知識を探求するツチノコや博士たち、「巣」ではなく「家」づくりを試みるビーバーなどにも「自立」の一端が見られる
2020-03-19 02:20:41![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ただ遊び、楽しんでいるだけのように思われるコツメカワウソやカピパラも、「客」としてこうした施設運営の「自立」を完全なものにしていると見ることもできる 「好き勝手に楽しむ」というのも立派な「自立」である 一方のかばんは、このように「客」の地位に安住することを拒否し続けてきた
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各エピソードにおいて、かばんは常に「運営」に関わろうとする それはヒトとして「知恵」という特性をもつがゆえでもあるが、フレンズとしてのかばんがパークガイドである「ミライ」に由来していることから理由を見出してみると、様々な点でしっくりくるだろう
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第1話冒頭で示される「自分の素性を調べる」という大目標は、物語を通じた大目標として機能していないように見える 図書館に到着する第7話を待つまでもなく、多くの視聴者、かばん本人やサーバルたちにまで、かばんが「ヒト」であることは予期されているからだ
2020-03-19 02:40:50![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし実際に、かばんの素性において最も重要な点は、「フレンズたちを助け、導こうとする」という性格そのものだ 助け合いはフレンズに共通した特性であるために見えにくいが、かばんが自身に宿命づけられた「ガイド」としての役割に自覚的になることこそが、物語の裏にある真の目的だったとも言える
2020-03-19 02:46:46![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
『けものフレンズ』のもう一つのテーマ、「再生」がここに立ち表れてくる 「再生」の意味の一つは「過去のもの、失われたものを甦らせること」だ 「ポスト・アポカリプス(文明崩壊もの)」としての側面をもつ『けものフレンズ』において、重要な要素である
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そして「再生」には、「再びこの世に生まれる」という意味がある ただ生まれるだけでなく、より高次の存在として、苦難を乗り越えた成長の証として「生まれ変わる」ということだ
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セルリアンに呑み込まれたかばんは、文字通り一度「死ぬ」 そして他のフレンズたちとは異なり、過去の記憶をもったまま「再び生まれる」 第12話において描かれるこの一連の「再生」が、この物語の「世界」である「ジャパリパーク」の新たなる出発を暗示している
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第11話と第12話においては、物語の中心にいたかばんとサーバルのお互いの成長が明確に描かれている かばんの肉体的な成長と態度における成長は前述した サーバルはかばんの救出時において、火のついた紙飛行機を投擲している 自らの欠点であった思慮の浅さや不器用さを克服している描写だ
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大口を叩いては肝心なときに失敗を繰り返していたボスにおいても成長は同様だ サーバルやボスもまた一度「死に」、そして「生まれ変わった」存在なのだ (ボスについては形態自体が変化し、他のラッキービーストたちとの差別化までがなされている)
2020-03-19 03:09:04