エスケープ・フロム・ホンノウジ#5

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867,ニンジャスレイヤー,
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ミエルヨ、きっとミエテルヨ……感じてる……イヒッ……」ブレインが震え笑った。ホルヘは顔をしかめたが、クレイグは引っかかった。探知能のあるゲニンは実際存在し、ヒケシと呼ばれる。そういう連中は似たりよったりのチューニンの中からカネトを見つけ出しもするだろうか。何にせよ、急ぐが吉。19

2020-03-20 22:07:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スピーカーから勇ましい歌が流れる中、彼らは交差路を曲がり、ドンブリ食堂「だのや」の前に差し掛かった。「……!」彼らは急ブレーキじみて立ち止まり、角の家の陰に身を引いて、覗き込んだ。人だかりができている。辻サイネージの群衆ではなかった。今まさに何かが起こっていた。 20

2020-03-20 22:11:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

手を後ろで組んで直立するゲニン達が壁をつくり、その手前に民衆が集まっていた。「だのや」の前には……クレイグは目を剥いた……車輪付きの絞首台が設置されており、そこに3人が繋がれていた。「アイエエエ……」「アイエエエ!」「ヤメロー!ヤメロー!」店主、働き盛りの跡取り、そして、レザ。21

2020-03-20 22:15:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何……あんたらのアジトか」カネトが青褪めた。「バカな!早過ぎる」トムが呻いた。ジェフは首を振った。「いや待て。今の件じゃない。きっと……」「ああ」クレイグは頷いた。「カネト=サンではあるまい……!つまり……」「突っ込もうぜ!全員ブッ殺してやる!」ホルヘがいきり立った。 22

2020-03-20 22:19:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「待機だ。構えて待て」クレイグはしゃがみ込んだ。「敵の数が……」ジェフは素早くゲニンの数を確認し、ハンドヘルドUNIXを通してレーダーのカラテ反応を確かめた。チューニンが拡声器に叫んだ。「この者はUCAのスパイだ!そして店主以下2名!スパイ蔵匿罪、インターネット罪を犯した大罪人也!」 23

2020-03-20 22:23:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

見物人がどよめいた。チューニンは罪状書を読み上げる。「ホンノウジのヒケシ部隊は、かねてより、この店付近でのインターネット行為を警戒していた。今回のあらためによって、多数のインターネット関連機器を押収したのみならず、UCAの惰弱なスパイすらも発見せり!」絞首台でレザは瀕死だった。 24

2020-03-20 22:27:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クソッ!アジトでの通信ログか……!」ジェフはギュッと目を閉じた。「俺のファイアウォールが足りてなかったッてのか!?」「今起きている事だけ考えろ」クレイグは言った。突入タイミングはいつだ。チューニンは演説しながらテンションを上げた。「これがインターネットが害悪である証左也!」25

2020-03-20 22:31:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

市民は不安そうに囁きあう。チューニンは続けた。「インターネットは選ばれたセンシが適切に用いる為のもの。惰弱な市民が用いればたちまち魂を囚われ、このように、堕落した文明社会に憧れ、あらゆる犯罪の呼び水となる!最終的にはこうして敵スパイと心を通わせる!これがインターネットなのだ!」26

2020-03-20 22:33:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「チョットスミマセン」建物の陰にいた彼らに、注意深い見回りのゲニンが接近してきた。彼らはチューニンとボンズという畏れ多さから、慇懃に申し出た。「こちらが、見ての通り、ヘヘ……インターネット野郎の処刑で通行を止めちまってるんで。迂回路を案内しま……ン?」ゲニンは眉根を寄せた。 27

2020-03-20 22:38:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「カネト=サン……?いや、カネトの野郎」彼はカネトを見た。「わかる!俺はコイツがチューニンになる前から知ってるぜ!間違いねえ!さっき放送し……」「イヤーッ!」「グワーッ!」クレイグは腹を蹴り破り、首骨を折った。もう一人をトムとホルヘが片付けた。事態を動かすしかない。「行くぞ!」28

2020-03-20 22:41:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らは飛び出した。ホルヘが空に威嚇射撃した。BRATATATATATA!「アイエエエエ!」「アイエエエエエ!」群衆が四方八方に乱れ逃げる!処刑台のチューニンは演説を終えたところだったが、襲ってくるUCAの集団に驚愕した。「なッ!?え、ええい、やれッ!」絞首台管理ゲニンに即時命令!「イヤーッ!」29

2020-03-20 22:44:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゲニン達がカラテ姿勢でファイアストーム隊に突進してくる。「喰らいなァ!」アシュリーは小型ガトリング砲を構え、踏ん張った。BRRRRTTTTT!「グワーッ!」「グワーッ!」倒されるゲニン!クレイグは走り出る!チューニンが阻む!「イヤーッ!」「グワーッ!」 30

2020-03-20 22:46:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

チューニンはクレイグのチョップを防ぎきれず、脇腹を破られて身体を折り曲げ、嘔吐した。さらに一撃入れて止めを刺しながら、クレイグは叫んでいた。BRATATATA!トム達が横から回り込む。ゲニン達が屋根から飛び降りる。そして、ガターン!絞首台が起動し、三人は吊るされた。 31

2020-03-20 22:49:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」クレイグはスリケンを投げた。スリケンは絞首ロープをいちどきに切断し、三人は落下した。BRATATATATATA!BRATATATATATA!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」銃声、カラテシャウト。クレイグの隣にはカネトがおり、カラテをふるった。彼はクレイグと共に戦うしかないのだ。 32

2020-03-20 22:51:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドッソーイ!」KRAAASH!家屋を破壊し、スモトリゲニンが飛び出した。逃げ遅れた見物人何人かを踏み潰し、部隊に向かってくる!アシュリーはガトリングガンを容赦なくスモトリの巨体に叩き込んだ!BRRRRRRTTTTT!「アバババーッ!」トムがその後ろをスライディングし、絞首の3人のもとへ! 33

2020-03-20 22:53:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クレイグはゲニンを倒しながら、横目で彼らを見た。ナムサン。店主とセガレは既に首骨折れ、事切れている。トムがレザを助け起こした。一瞬のタイムラグで、彼は命拾いしたようだった。「レザ=サン!起きろ」「ア……アバッ……!すま……ん……!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」襲い来るゲニン! 34

2020-03-20 22:56:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」クレイグは正面から向かってきたゲニンの顔面を叩き割り、ジツを発動した。超自然のタタミが地面からせり上がる。だが……ナムサン……その、ほんの数瞬前だった。ホルヘがトム達の前に庇い立ち、アサルトライフルを乱射しながら、スリケンを受けて倒れ込んだのは。 35

2020-03-20 22:59:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」立ち上げたタタミを前へ向かって跳ね飛ばすと、ゲニン達がまとめて吹き飛ばされた。「「グワーッ!」」クレイグは路地裏への逃走を指示した。「動け!動け!動け!」トム達は即座に従い、走り去る。「ウオオーッ!」しんがりのアシュリーがガトリング威嚇乱射! 36

2020-03-20 23:02:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カカカカッ……カカカッ、ガトリングの弾丸はゲニンを何人かなぎ倒したが、奇妙に届かなかった影があった。アシュリーはそのままトム達の後を追った。クレイグの足元では、喉や胸をスリケンに貫かれたホルヘが徐々に痙攣の頻度を減らしていった。「隊……長」瞳孔が散った。 37

2020-03-20 23:04:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

血煙の中を、ゆっくりと進み出るニンジャがあった。クレイグのニューロンが強烈に駆動し、時間感覚がゆっくりになった。タタミを打ち立て、その者を遮る。挑戦的な眼差しが、クレイグと……その後ろで驚愕するカネトを捉えるのがわかった。……ドーンブレイド……! 38

2020-03-20 23:07:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……イヤーッ!」クレイグは下から上へ両手をすくい上げ、超自然のタタミを出現させて、ドーンブレイドを遮った。今はまだ相手にする時ではない!「行くぞ!」クレイグは踵を返し、走り出した。「あ、ああ……!」カネトが後を追った。2人は部隊を追い、うらぶれたネオン飲み屋街に走り込んだ! 39

2020-03-20 23:10:15