ノー・グリッター #5

提督は一体何と戦っているんだ 4:https://togetter.com/li/1488039 6:https://togetter.com/li/1488915
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劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2020-04-02 21:01:00
劉度 @arther456

《以上が現状の報告です。現在我々は未確認存在『旧支配者』との交戦を準備しています》「あ、うん……わかった」大鯨と母艦との定時報告。突然、コズミック存在に言及され、母艦の乗組員たちは戸惑っていた。「まあ、その、なんだ。不利なようなら早めに離脱しろ。巻き添えを食ってもしょうがない」1

2020-04-02 21:03:00
劉度 @arther456

《ですが艦長。敵は強大かつ未知数です。そちらから何らかの援護をお願いできませんか?》「それほどの相手なのか?」大鯨らしからぬ提案だった。《ええ。正確なデータは取れていませんが、惑星制圧艦レベルの驚異だと推測できます》「うーむ……そんな相手がこの星に存在していたとは……」2

2020-04-02 21:06:01
劉度 @arther456

「わかった。それなら、救援部隊に援護を要請しよう」艦長はこの星に向かっている救援部隊を活用することにした。デルタ級惑星の制圧部隊には、衛星軌道上から放てるバーストカノン艦や、大気圏内飛行も可能な強襲揚陸艦も多数含まれている。この星の技術レベルではまず太刀打ちできない。3

2020-04-02 21:09:00
劉度 @arther456

「原生生物1匹には過剰な戦力だが、惑星制圧の鏑矢には丁度いいだろう」制圧部隊の驚異を間近で見れば、日本軍も即座に降伏する。そうした可能性も考えた上での援護だった。「大鯨、お前は現地から制圧部隊に着弾地点を送信しろ」《了解しました》惑星制圧部隊の到着まで、あと3日。4

2020-04-02 21:12:00
劉度 @arther456

【ノー・グリッター】#5

2020-04-02 21:13:00
劉度 @arther456

「せーのっ」防空巡棲姫と金剛は、抱えていた機械を投げ捨てた。機械は水音を立てて海中に沈んでいく。「……何なんだろうなこれ」 洋上を警戒する傍ら、金剛たちはジャカルタ沿岸にいくつも罠を張っていた。機雷、防潜網、深海渦潮、その他陸軍の兵器もある。6

2020-04-02 21:15:01
劉度 @arther456

「Mr.倉田はバタビア沖棲姫を足止めするものと言っていました。陸上型の深海棲艦にも効くそうですよ」「陸上型に効くのか。めんどくせえ……」「youにuseする訳ではないから、無関係では?」「これが終わったら敵同士だろ?」「Ah, その事ですが、契約を延長することはできませんか?」7

2020-04-02 21:18:00
劉度 @arther456

「今は特別だ。契約を破るのは信用問題だけど、深海棲艦が人間の味方をするってのも、信用に関わる」同族殺しは深海棲艦もためらうものだ。しかし金剛はとんでもないことを言い出した。「じゃあ、人間の相手をするなら、いかがデース?」「……は、マジ?いや、待て待て待て」8

2020-04-02 21:21:01
劉度 @arther456

「あたしが言うのもなんだけど、お前ら日本の海軍だろ?何であたしらに人間を襲わせる必要があるんだ」「Humanは一枚岩じゃないのデース。あまり大っぴらには言ってませんが、海賊を相手にすることもありマース。そういう海域で、船団護衛に就いて欲しいのデース」9

2020-04-02 21:24:00
劉度 @arther456

防空巡棲姫は金剛をじっと見つめる。「本当にそれだけか?」「今のところは」しばらく互いに見つめ合っていたが、最終的に防空巡棲姫が折れた。「わかったよ。ここで断って面倒事になるのは御免だからね」「Thanks!」「ただ、提督の返事次第だ。お前の言葉だけじゃ信用できない」「Oh…」10

2020-04-02 21:27:00
劉度 @arther456

騒ぎはまずジャカルタ市内で起きた。「かみさまがくるよ!」提督が何事か喚きながら鈴を振り回して市内を練り歩き始めた。すると、発狂した艦娘たちも後に続いて、鈴を振って歩き始めた。鈴が見つからなかった艦娘は、タンバリンや空き缶など、とにかく音が出るものを使っている。12

2020-04-02 21:30:01
劉度 @arther456

そんな騒ぎは、すぐに陸軍と正気の艦娘に気付かれることになった。「かみさまがくるよ!かみさまがくるよ!みんなをしあわせにしてくれるよ!」「隼鷹さん、何ですかアレ」「さあ……」「何だあれは」加藤が行列を見ながら言った。「あれで儀式のつもりか?何の効果も無いぞ」「無いんですか……」13

2020-04-02 21:33:00
劉度 @arther456

ジャラジャラと鳴る金物の音が、不意に鳴り響いた大音量のサイレンに掻き消された。「敵襲!?」同時に、倉田の通信機が鳴る。「来たか?」《来ました!沖合50kmに強大な魔力反応!この魔力量は、間違いなく神格です!》どうやら提督たちは、これが近づいていることを感じていたらしい。14

2020-04-02 21:36:00
劉度 @arther456

「3日で来たか……遅かったな」「神様なんてそんなもんだよ。寿命が無いからのんびりしてるんだ」倉田たちは車に乗り込み、『鳥堀』へ向かう。「準備は十分、手筈も整ってる……後は通用するかどうかですが」「上手くいくかねえ?」「まあ、それこそ神頼み、ですよ」15

2020-04-02 21:39:00
劉度 @arther456

水平線の向こうにバタビア沖棲姫が姿を現した時、『鳥堀』を始めとする戦力は既に展開を終えていた。「目標、交戦距離に到達」「隼鷹爆撃隊、PT小鬼群、攻撃開始!」隼鷹が操る彗星がバタビア沖棲姫の頭上から襲いかかる。更に前衛のPT小鬼がバタビア沖棲姫に高速接近、魚雷を放った。17

2020-04-02 21:42:00
劉度 @arther456

巨大な水柱がバタビア沖棲姫の姿を覆う。「やったか?」《駄目だねえ》隼鷹の言う通り、バタビア沖棲姫は水柱の中から平然と出てきた。《避ける素振りも見せなかった。ありゃあやっぱり、何かおかしな手を使ってるよ》「魔力障壁などの反応は?」「ありません」「やはりか……」18

2020-04-02 21:45:00
劉度 @arther456

「隼鷹さん、お疲れさまでした。作戦通り第二次攻撃の準備を進めつつ後退を」《あいよー》隼鷹たちが後退する。「目標の進軍ルートは?」「予想通りジャカルタ湾へ向かっています。ポイントSまで、5分」「到着と同時にアンカーを起動させろ。金剛さん、防空巡棲姫さん、攻撃準備はいいですか?」19

2020-04-02 21:48:01
劉度 @arther456

《OKデース。確認ですが、それで本当にattackが当たるんですね?》「ええ。『異相』それが攻撃が当たらないからくりの正体です」強大な神や悪魔などは、存在するだけで世界を歪めるほどの力を持つ。だがそれは、存在するだけで著しく魔力を消費するということでもある。20

2020-04-02 21:51:00
劉度 @arther456

そのため彼らは自らの魔力で小さな別次元、『異相』を作り、本体をそこに置いて魔力の浪費を防いでいる。現実世界に見える姿は蜃気楼のようなものであり、いくら触れようとしても通り抜けてしまう。「ですから、敵を異相からこちら側へ引きずり込む仕掛けを、ポイントSに設置しました」21

2020-04-02 21:54:00
劉度 @arther456

5分後、バタビア沖棲姫は何の変哲もない海域に差し掛かった。「敵、効果範囲中央!」「アンカー、起動!」バタビア沖棲姫を青白い稲妻が包み込んだ。「今です、金剛さん!」《全砲門、Fireッ!》放たれた砲弾は寸分違わずバタビア沖棲姫の胴体に突き刺さり、大爆発を起こした。22

2020-04-02 21:57:00
劉度 @arther456

《Hit!? What are you doing, Mr.倉田!?》「先程、金剛さんたちに設置してもらった現実錨を起動させ、旧支配者の本体を異相から基底世界に引きずり出しました」《わかりやすく、please》「結界を張ったので、殴れるようになりました」《わかりやすい!》23

2020-04-02 22:00:03