大林宣彦監督についての極私的な覚書

大林宣彦監督についての呟きをまとめました。 (セルフまとめです)
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エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

大林宣彦ほど「作家」であり続けた映画監督を知らない。この人はシネフィル的な側面を持つ映画マニアでもあり、その話はいつも明晰で面白かった。しかし、映画は誰の影響を受けたのかさっぱり分からないほど独特だった。そのスタイルは完全に理解されたとは言えないのだが、最後まで全くブレなかった。 pic.twitter.com/nxrPniwIbf

2020-04-11 06:36:54
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『ハウス』で鮮烈なデビューをした大林宣彦は、CM出身で映像の魔術師と呼ばれた…と言うと中島哲也なんかを連想するが、少し違う。そうした時代の寵児的な側面もあったが、余りにも独特過ぎて「この人…変」という当惑があった。2作目以降その当惑は次第に広がって行き「大丈夫か?」と思われ始めた。

2020-04-11 06:58:44
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眉村卓原作、大林宣彦監督「ねらわれた学園」は今の方が暖かい目で観られていると思う。公開当時はかなりのトンデモ映画扱いだった。「ハウス」で鮮烈にデビューした大林宣彦だが「大丈夫か?この人」と思われ始めていた。次の「転校生」で逆転ホームランを放ち、映画作家としての地位を確立したのだ。 pic.twitter.com/yS79ZQ7EIU

2019-11-05 20:51:41
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「ねらわれた学園」が公開された1981年はSF映画ブームの真っ只中だったが、それは「かつてはゲテモノ扱いされていたSF映画が、特撮技術の発達で本格映画の仲間入りをした」興奮だったので「おもちゃ箱をひっくり返したようなキッチュな面白さ」は求められていなかったのでしょうね。

2019-11-05 21:03:54
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当時のSF映画ファンはマジレッサー体質だったのだね。 尾道三部作を経てから改めて観直すと、愛すべき作品に思えるのだが、リアルタイムでは反発の方が強かった。 ただ、みんな大林宣彦は嫌いじゃなかったので「ねらわれた学園」に対する反応は、怒りというより「違うんだよなぁ…」という当惑だった。 pic.twitter.com/qxkIAmM8FF

2019-11-05 21:18:56
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そんな時、大林宣彦は得意のおもちゃ箱的映像を封印して、尾道を舞台にした個人的ファンタジー『転校生』を撮り「この人、人間ドラマを作れるんだ!」と私達を感動させた。 そして、次の『時をかける少女』で、独特の映像スタイルと人間ドラマを見事に融合して、映画作家としての評価を確立したのだ。

2020-04-11 07:08:22
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『ねらわれた学園』が「今になってみれば好きだ」というのは分かるけれど、当時はもっと複雑な心境だった。決して嫌いだった訳ではなく、実際、3回くらい劇場へ観に行ったのだが、でも「これじゃないんだ」という気持ちだった。 同時代に体験しながら、その感覚がないという人は、どうも信用できない。

2020-04-19 21:41:40
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大林宣彦と友人だった映画批評家の石上三登志は『ねらわれた学園』を観た後、大林監督と一晩飲み明かしながら「この方向性は違うのでは?」と論争をしているのである。当時、石上三登志が書いていた。 大林宣彦監督を応援しているからこそ「ちょっと違う」というもどかしさが、ファンにもあったのだ。

2020-04-19 21:48:42
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勝手なファンの思い入れなのだけれど『ねらわれた学園』のキッチュさについては「いや、ウチの大林はもっと出来ますから!照れ屋なんですよ。だから、ついふざけちゃうの」と世間に言い訳したい感じだったのだ。 だからこそ次の『転校生』に「みんな見た?ホラ!やったじゃん!」と喝采したのである。

2020-04-19 21:55:37
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今や角川映画を代表する作品とすら言える『時をかける少女』は、公開当初は、当時のトップスターである松田優作と薬師丸ひろ子が共演した『探偵物語』の「おまけ」だった。 しかし、次第に『時をかける少女』の人気が高まり、公開終了の頃には立場が逆転していた。 twitter.com/woody_honpo/st…

2020-04-11 08:16:13
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公開当初はサブ的扱いだった「時をかける少女」は次第に熱狂的な支持を集め、薬師丸ひろ子に続く角川アイドル、原田知世を生み出します。「転校生」でドラマに目覚めた映像の魔術師大林宣彦は、この作品で遂に「映像とドラマの融合」を成し遂げます。 pic.twitter.com/AOSCeYz80b

2016-07-31 15:46:04
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

公開当初はサブ的扱いだった「時をかける少女」は次第に熱狂的な支持を集め、薬師丸ひろ子に続く角川アイドル、原田知世を生み出します。「転校生」でドラマに目覚めた映像の魔術師大林宣彦は、この作品で遂に「映像とドラマの融合」を成し遂げます。 pic.twitter.com/AOSCeYz80b

2016-07-31 15:46:04
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『時をかける少女』には感動と同時に大林宣彦的な「なんか変」もあった。最たるものは高柳良一の「棒演技」であろう。これは意図的に「棒読み」をさせている(その為にボイストレーナーまで付けた)のだ。「深町くん」の人間臭さを出したくないという演出意図は明らかだが、必ずしも理解されなかった。

2020-04-11 08:29:57
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

役者に意図的に「棒演技」をさせる演出は大林宣彦映画でしばしば見られる。これは、役者がいわゆる「熱演」をすることが、大林宣彦が作り出したい「映画のリズム」に合わないと考えていたからだろう。「映画はモンタージュ」と言っていたヒッチコックがメソッド演技を嫌ったのと、通じるものを感じる。

2020-04-11 08:40:53
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『時をかける少女』は余りにも非情で暗い話なのでラストのカーテンコールがないと救われないのだ。薬草を研究しに来た未来人が勝手に記憶を改竄して、人間関係を破壊する話だからね。あの冒頭のスキー場が2人の最初の出会いだったのだ。深町は殆ど現代にいなかったし、思い出なんか何もなかったのだ。

2020-04-13 11:47:35
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『時をかける少女』エンディング このエンディングがあったから観客は泣いたのだと思う。(実際、みんな泣いていた) youtube.com/watch?v=RBSozb…

2020-04-13 11:48:57
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個人的には、『時をかける少女』で作家としてのスタイルと評価を確立した大林宣彦が、自主映画に回帰した(これは自主制作映画として作られ、まともに劇場公開もされなかった)『廃市』が、彼の表現者としての一つの頂点ではないかと思う。 pic.twitter.com/avyZIjSJaA

2020-04-11 08:56:21
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大林宣彦の一貫したアヴァンギャルドさは、全盛期に東宝の「お正月映画」としてスター女優を起用して撮った(自主企画ではなく雇われ商業映画)作品が『姉妹坂』である事でも分かる。 私は1月4日に女性客で満員の映画館で観たが、終わった瞬間の周囲の「なに…これ…?」という当惑ぶりはスゴかった。 pic.twitter.com/1l7q0jOOyz

2020-04-11 09:19:25
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『姉妹坂』は相米慎二の『雪の断章』と二本立てだった。お正月公開の女性映画として大々的に宣伝され、かなりヒットもしたと思うが、こんなに観客を置いてきぼりにした過激な二本立てというのは、他にないのではないか?(普通は、少なくとも二本立てのどちらかはマトモなんだよね😅) pic.twitter.com/wTRbQga06u

2020-04-11 09:27:30
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それほど有名ではないが大好きな大林宣彦映画が『彼のオートバイ、彼女の島』。当時は片岡義男の小説が人気でよく映像化されていたが、成功した作品は少なかった。これは片岡義男・映画としても大林宣彦・作品としても上手く行った、希有な例だと思う。 twitter.com/woody_honpo/st…

2020-04-11 09:49:48
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「彼のオートバイ、彼女の島」は大林宣彦監督の作品としては知名度が低いかもしれませんが、乾いたムードと詩情がブレンドされた独特の雰囲気に溢れた、大好きな作品です。片岡義男作品の映画化としても、見事に成功しているのではないでしようか? pic.twitter.com/N0rgWOQTe3

2016-08-01 21:18:23
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

「彼のオートバイ、彼女の島」は大林宣彦監督の作品としては知名度が低いかもしれませんが、乾いたムードと詩情がブレンドされた独特の雰囲気に溢れた、大好きな作品です。片岡義男作品の映画化としても、見事に成功しているのではないでしようか? pic.twitter.com/N0rgWOQTe3

2016-08-01 21:18:23
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『彼のオートバイ、彼女の島』の映像はカラーとモノクロが混在している。よくある手法だが、この映画の場合、カラーとモノクロの切り替えに特にロジックがない(大林宣彦自身が「その時の気分でカラーにしたりモノクロにしたりした」と答えている)。 賛否はあるだろうが、私はとても心地よかった。

2020-04-11 10:04:52
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

『彼のオートバイ、彼女の島』でもう一つ心地よかったのは、この映画でデビューした竹内力の爽やかさだった。いや、当時は本当に、カリオストロの城のラストみたいに「なんと気持ちの良い青年だろう!」と思って、周りにも「竹内力ってイイよ!」と触れ回ったのだ…当時は…😅 twitter.com/woody_honpo/st…

2020-04-11 10:14:25
ブックストア ウディ本舗 @woody_honpo

「彼のオートバイ、彼女の島」で、ヒロイン原田貴和子の相手役を務めた新人の竹内力を見た時には「なんと爽やかな青年が登場したのだろう!」と感銘を受けました。まさか、後に、あんなことになってしまうとは…。 時間って、コワイですね〜。 😅 pic.twitter.com/09l0liDkFh

2016-08-01 21:31:36
エンタメ放浪者 ウディ本舗 @woody_honpo

「彼のオートバイ、彼女の島」で、ヒロイン原田貴和子の相手役を務めた新人の竹内力を見た時には「なんと爽やかな青年が登場したのだろう!」と感銘を受けました。まさか、後に、あんなことになってしまうとは…。 時間って、コワイですね〜。 😅 pic.twitter.com/09l0liDkFh

2016-08-01 21:31:36
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大林宣彦は『火垂るの墓』を公開当時に絶賛しているが、これにはある偶然が関係しているのではないか。『火垂るの墓』は制作が間に合わず、一部塗り残して線画のママのカットがあったのだが、大林宣彦はそれを意図的なテクニックだと捉えて感動したのではないかと思うのだ。 twitter.com/woody_susumu/s…

2020-04-11 10:40:37
ウディすすむ @woody_susumu

大林宣彦は、公開直後に「火垂るの墓」を観て大感動したと記しているのだけれど、その理由は内容だけでなく、線画のシーンに「(酷評された)『少年ケニヤ』の線画シーンを引用してくれている!」と感激しからではないか?と推測している。なぜなら、私もそう思ったから。 twitter.com/kentaro666/sta…

2017-04-27 11:19:42
ウディすすむ @woody_susumu

大林宣彦は、公開直後に「火垂るの墓」を観て大感動したと記しているのだけれど、その理由は内容だけでなく、線画のシーンに「(酷評された)『少年ケニヤ』の線画シーンを引用してくれている!」と感激しからではないか?と推測している。なぜなら、私もそう思ったから。 twitter.com/kentaro666/sta…

2017-04-27 11:19:42
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

「火垂るの墓」初上映時、毎日のように映画館で観ていたら、日々、線画だったシーンに色が付きアニメが完成していく過程が観られるという、珍しい体験をした。清太が西瓜を盗んで百姓に殴られるシーン、最初の数日間、線画だけだったの。私は「演出効果でわざとやってるんだろう」と気がつかなかった。

2017-04-25 12:30:36