【#ロイヤルトーナメント/4月3週進行まとめ②】

クエスト進行のまとめです! 冒頭に前回文の開示情報が入っています。
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ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

キングス・クロスは混雑していた。 平時の込み具合ではない。ロイヤル・トーナメントの時節には観光客が増える。 それでも奇妙だった。時計の針は午後の頂点を回り、昼時であったが、まるで通勤時間帯のように人が通っている。 歩きづらい人ごみの中を縫うように進む。プラットフォームへ。

2020-04-12 20:09:04
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

入り組んだ構造の駅構内でも、いくつかのホームの形状は同じだ。 入った改札を抜けてすぐの機関車停留ホーム、16番線へ降りてみた。 ハイランド方面行下り線、煉瓦詰みの壁をなぞりながら歩いてみる。スタッフルームはあるが、非常口なるものはどこにもない。 売店の裏に777の落書きがあるばかりだ。

2020-04-12 20:19:33
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

引き返し、15番線へ降りた。 非常口はない。 ……奇妙な気分になりながら、14番線の案内看板を見つめる。 そこへ、駅員が通りかかった。 見上げる視界を遮るように、やや会釈しながら歩み去っていく。 その制服の肩張が、張り巡らされた直感の糸に触れて、思わず声をかけていた。

2020-04-12 20:26:50
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

「14番線の非常口はどちらですか」 聞いてしまった。 心の準備より先に言葉が出ていた。 覗き込むのをぼんやりと遠ざけていたから、入り口だけ眺めるだけでも構わないと思っていたのに。 「14番線に非常口はありませんよ。一番近いのは改札です」 駅員はしずかに言った。

2020-04-12 20:36:46
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

訝しげな表情で顔を見て、駅員は会釈して去ってしまった。 14番線の案内を見上げる。 吸い込まれるように、足がホームへの階段を下りていく。 変わらない駅の風景であるはずなのに、奇妙な違和感を感じる。 人の歩み、売店の品ぞろえ、チャイム音。 どこかで同じ風景見たことがあるような、既視感。

2020-04-12 20:43:40
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

目を向けた場所にあるものが、記憶のどこか深い淵の底にあるものと繋がっていく。 予感めいたものに手を引かれるようにして、階段の裏側へ回ったとき、それを発見した。 経年で錆びた、鉄扉。 【FIRE EXIT  Keep clear】 他のホームには何もなかった場所に、それはあった。 非常口。

2020-04-12 20:52:53
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

ピクトグラムが走る緑の蛍光看板は、ウインクするようにちかちかと瞬いている。 扉に触れると冷たい。赤錆が棘めいてざらつく。 触れたら静電気が走りそうにさえ思う、輪状のノブに手をかけてみると、何事もなく回せた。 押し開ける、勇気が来るのを待っている。 瞬間が来るのを。続きを見る勇気。

2020-04-12 21:03:15
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

微細な振動。チャイム。 次の列車が来る。 駆動しながらレールの上を滑ってくる。 重々しい蒸気の排気音が響き渡る。 ここに立っているだけで、どの位置にドアーが留まるのかすらわかる。 もはや過去を思い返すのと同じように、現在のことが理解できた。

2020-04-12 21:09:17
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

全てのタイミングが手にとるようにわかった。 発車のチャイムが鳴る。 汽笛が鳴り響く。 瞬間、風がびゅうと吹き抜けて、 思わず強く握ったノブを回していた。 重たい鉄扉が浮く。 僅か開いた隙間を見た、途端に扉を引き開けていた。 何かに背を押されるように。

2020-04-12 21:18:51
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

扉の向こう、非常口の内側、待ち合わせ場所、非日常の入り口は、自然光のない、橙色のランプに照らされた、長い長い回廊だった。 世界の裏側を覗き込むような感覚。 人影はなく、やや湾曲していて、先は見えない。 確かめるためには中に入るよりほかはない。 躊躇うより前に、反射的に足が踏み込んだ。

2020-04-12 21:25:01
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

振り向く。 不確かげに思えた鉄扉は、黙ってそこにある。 霧散して消えたりはしない。 意を決して、ぼんやりしたふりで手元に杖を転がしながら、回廊を進んだ。 静かで、遠くから列車の動く音だけが微かに聞こえてくる。 路は蛇行していて、橙色のランプだけが等間隔に追っている。

2020-04-12 21:30:19
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

壁に落書きがあった。ペンキで塗ったような…… 【Tell 713】 違和感があった。奇妙な違和感が。 けれど、それが何だったのか、思い出せない。 絶え間なく見た落書きだ。 だが強烈な違和感を感じる…… 奇妙な胸騒ぎを抱えながら、さらに回廊を行く。 もう振り向いても非常口は見えない。

2020-04-12 21:38:36
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

また落書きを見つけた。 【Tell 544】 もうどこまで歩いただろう……ほんの僅かだったようにも、遥か長かったようにも感じる。 列車の音は遠のいたり、近づいたりを繰り返している。 【Tell 511】 まただ。同じペンキで書かれている。 【Tell 476】 ここにもある。 【Tell 329】 ここにも……

2020-04-12 21:49:44
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

不定の感覚で、同じ落書きが続く。 誰かが描き残しているのか。 目印なのか、示唆なのか。 それすらわからない。 【Tell 199】 その落書きを見たとき、 突如、公共放送の案内音が響き渡った。 DING DING DONG ..... 『おはよう、お会いできて、光栄です』 合成音めいた、ノイズ混じりの声。

2020-04-12 21:59:35
黒天使✨企画 @Fuyoukikaku

@skptl この数字って規則性あるのかしら。

2020-04-12 22:00:50
ーヘwヘレーDooms-Day-Radioーヘレwヘー @stmg_QA

『私の名前は、ジーナ・スキータ』 奇しくもそれは、D.S.を探している途中で読んだあの本、「天上の海底へ」の主人公の名前だった。 そう思って聞けば、少女の声のようにも聞こえるが、ひずんでいてわからない。 『ありがとう。あなたがいてよかった。 たった一人でよかった。それで充分です』

2020-04-12 22:07:19
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