ナラク・ウィズイン#5

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「正義感か」「正義……そうだな。あるいは使命」「……」「俺は隊員として、使命を引き継ぐ。それは、単にミッションを完遂して……クニに帰って終わりになるものだとは思わない」「引き継ぐ？」「……俺にはヒーローがいた」トムは言った。「彼は使命を果たす途上で死んだ。だから俺が続けるんだ」44

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「そうか」「まあ、抽象的な話だ……わからなくても、構わない。俺は俺なりの確信を持って、やっているッて事で……」「ああ。わかるさ」ニンジャスレイヤーは言った。トムは思わず前進を止め、後続の彼を振り返った。「……そうか」「ああ」「何か思い当たるのか？」　45

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「……ああ」２人は再び前進を始めた。「クニはどこだ、ニンジャスレイヤー＝サン」「ネオサイタマ」「ネオサイタマ。鮮やかだな。フィルギア＝サンの言う神話的な物事を片付けたら、ネオサイタマに帰るのか」「そうだ」ニンジャスレイヤーは言った。「おれにも……尊敬する人間が居た」　46

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「……居た、か」「彼女がやりきれなかった事を、おれが続ける」「そうか」トムは言った。それ以上、深堀りする時間はない。「……ならば、お互いここでは死ねないな」「ああ。そういう事だ」彼らは突き当りに辿り着いた。トムは屋根板をずらした。「よし。行くぞ」　47

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◆◆◆ 48

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ハンニャー……ハンニャー……ハンニャー……！ボンズのチャントはいよいよ重なり、強まってゆく。いまや焼ける石炭の上を速歩きする祈祷ボンズはほとんど走っているような速度！「アバーッ！」祈祷が追いつかず、足元から燃え上がり、崩れ行くと、すぐに次のボンズが石炭に飛び乗り走り出す！　49

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「クキキキキィーッ！い、良いぞ、凄く良い……！」クローザーは手を叩いて喜悦に震えた。「儚いなァ！」「貴様の遊びは脇に置けい！」クセツが下がり、ジョウゴ親王が進み出た。「時、来たれり！」今やギンカク・オベリスクは、セレモニーのライトアップじみて、銀の光をはっきりと発していた！　50

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リイイイン！リイイイイン！奇怪な、だが美しい周波数が放射され、ボンズが次々に死んでゆく中、オベリスクの表面に光り輝く切れ込みが生じた。まるでUNIXライトのように。「然り、時は今！」クローザーは笑った。その手にはいつしか、神秘的なボーが握られている！「クキキキ……花開くぞ……！」　51

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クセツは訝しんだ。そのボーについてクローザーが語ったことは無かったからだ。親王も無論、それを知らぬ。クローザーは頭上でボーをヒュンヒュンと振り回し、白砂に突き立てた。「エイッ！」KRAAACK……オベリスクの表面が、光り輝く切れ込みに沿ってスライドし……秘められた輝きを露出させた！　52

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「「「「「アバーッ！」」」」」円座するボンズが、内側から外へ、きれいな放射状に死亡して倒れていった！「アババーッ！」何人かのゲニンも耐えきれずに死んだ。「これは！」クセツは死者を見渡して驚愕し、そしてジョウゴ親王はギンカク・オベリスクを見つめ、震える手を伸ばした。「これは……」53

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親王の手がオベリスクの光に直に触れようとする。「この中に我がソウルが……」「お待ちなされ」クローザーはジョウゴ親王の手首を掴み、止めた。親王を見つめる彼の目は、凄まじき緋色に光っていた。「やめておけ、やめておけ。死んでしまうぞ？ジョウゴ君」「殺せ！」クセツが叫んだ。　54

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「「「イヤーッ！」」」クセツの背後に控えていた４人のニンジャが一斉にクローザーに襲いかかる！だが！「「「イヤーッ！」」」ナムサン！？彼らに対し、同様にクセツの傍に控えていた別の４人が回り込み、攻撃を阻んだのである！「貴様！」ジョウゴ親王が後ずさった。こは、何事！？　55

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「クキキキキキ……心霊コンサルタントたるもの、リスクヘッジは極めて大事でありまして」クローザーは目を細めた。攻撃を阻んだ４人のニンジャ達は彼を守るように立った。クローザーはオベリスクを背に、悠然と見渡した。「当然、野心と向上心に燃える者達を、ヘッドハントして臨んでおるとも！」　56

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ナムアミダブツ！何たる根回し！ジョウゴ親王のこめかみが裂け、血が噴き出す！「貴様ーッ！」「殿下！」クセツが進み出た。両手にネザーカトンを漲らせる。手勢のニンジャ達も凄まじい怒気とカラテをはらんだが、クローザーは勿体つけてオジギをするのだった！「ドーモ。ケイトー・ニンジャです」 57

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而して、その時だ！KRA-TOOOOOM！突如、東の五重塔が爆発し、崩壊を始めたのである！ジョウゴ親王とケイトー・ニンジャは同時にそちらの方角を見た。「……ンン……？」ケイトー・ニンジャはほんのコンマ数秒、奇妙な表情をよぎらせた。KRA-TOOOOOM！次に、北の五重塔が……爆発したのだ！　58

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【続く】