クラスター対策と積極的疫学調査。クラスター対策班がとった戦略からPCR検査数抑制の理由を検証(2020.4.22作成) #新型コロナウイルス

flurry @flurry

今さらですが、クラスター対策と積極的疫学調査についての、とても大事な話をします。結論から言うと、クラスター対策班がとった方法では、保健所が濃厚接触者の範囲を狭めたりPCR検査を抑制したりするのは必然だったのではないかという話になります。1/

flurry @flurry

最初に参考文献として、感染研の「積極的疫学調査実施要領（2020年3月12日暫定版）」（現在の1つ前のバージョン） niid.go.jp/niid/images/ep… クラスター対策班の押谷仁氏らによる『クラスター対応戦略の概要（2020年3月10日暫定版）』を示しておきます。 jsph.jp/covid/files/CO… 2/

flurry @flurry

さて、保健所による「積極的疫学調査」ですが、見つかった感染者に対して2つの方向で調査を実施します。1つは「前向き」の調査、もう1つは「後ろ向き」の調査と呼ばれます。 「前向き」の調査は、最初の感染者の周囲に他の感染者がいないかどうかを調べるものです。 3/

flurry @flurry

「前向き」の調査はどちらかというと「感染者が他人に感染させているかを調べて封じ込める」調査と言えるでしょう。 「前向き」の調査ですが、感染者本人の発症日までの行動（最近、「発症2日前まで」に変更されました）を調べて、濃厚接触したひとを確認して自宅待機を要請します。 4/

flurry @flurry

自宅待機中の濃厚接触者に対しては保健所から毎日電話をかけて健康状態を問い合わせます。発熱などが見られるようであればPCR検査を実施します。 5/

flurry @flurry

そして、もう1つの「後ろ向き」の調査ですが、感染者の行動を遡って調べることで、「感染者がどこで感染したか」（スポーツジム、「夜の街」などなど……）の目星をつけるための調査だと考えられます。 感染研の「調査票（案）」によると、発症14日前まで遡って行動調査を実施するようです。 6/

flurry @flurry

さて、この「前向き」「後ろ向き」の2つの調査、ここからが重要なのですが、クラスター対策班は「後ろ向き」の調査について重点的に実施するよう指導する一方で、「前向き」の調査については、調査や健康確認の手間を少なくするため、できるだけ対象者を絞り込むようにと書いているのです。 7/ pic.twitter.com/erjGzsOkW1

拡大

拡大

flurry @flurry

「後ろ向き」調査を重視する一方で「前向き」調査を制限した理由ですが、1つには、クラスター対策班としての積極的な判断があると考えられます。 8/

flurry @flurry

「感染者の80%は誰にも感染させない一方で、一度に多数の2次感染者が発生する状況がある」という、クラスター対策の根幹の（真偽不明の？）仮説に沿って考えると、既に見つかった感染者は80%で周囲には感染させないのだから、彼の濃厚接触者を厳密に調べる必要性は薄いと考えることもできます。 9/

flurry @flurry

その代わりに、「後ろ向き」調査によって彼がどこで感染したかの目星をつけて、そのような場所（スポーツジム、「夜の街」……）を潰したほうが、感染拡大を防ぐ上では効果が高いというのがクラスター対策班の主張になるわけです。 10/

flurry @flurry

そしてもう1つとして、消極的な理由もあるのではないでしょうか。「後ろ向き」の調査は感染者1人と話をすれば済みますが、「前向き」の調査は多数の濃厚接触者を調査して、健康確認の電話を毎日実施する必要があるので膨大な手間がかかります。保健所の人数が少ない日本では大変です。 11/

flurry @flurry

そして、何よりも「後ろ向き」の調査では、PCR検査を実施する必要がないのです。 12/

flurry @flurry

このような積極的、消極的な理由によって、保健所は濃厚接触者を絞り込み、感染者の周囲に対するPCR検査を抑制してきたのではないかと考えられます。 13/

flurry @flurry

クラスター対策班の「後ろ向き」調査によるクラスター対策にどの程度効果があったかは、現状では不明だとしておきますが、「前向き」調査を制限したこと、感染者の周辺への検査を抑制したことで、封じ込めの効果が少なくなった影響についても検討が行われる必要があるのではないでしょうか。（了） 14/

flurry @flurry

とりあえず皆さんは、私を大いに褒めてくれると同時に、間違っている場所があったら指摘してください。