夕立は収まらなかった。 まるで俺達の行為を完全に世界から遮断するかのように、ずっと、世界を打ち鳴らしていた。 当り前にそいつは初めてで、すぐには解れなかったが、俺のモノを根元までくわえてくれた。 雨の音に混じって聞こえるそいつの声は、どこか切なさを帯びていた。
2010-04-18 01:44:05俺もアイツも、夢中で行為に励んだ。 腰を下ろす度にあいつは喘いで、鳴いた。 頬を紅潮させて、忘我していたあいつは、やっぱり凄く綺麗だった。 それでいて、哀れだった。
2010-04-18 01:48:57行為は緩やかに進行して、緩やかに終わった。 あいつの中にたっぷり、長い時間をかけて俺は射精した。 しばらく余韻に浸った後で、俺はペニスを抜いて、あいつを見下ろした。 あいつは泣いていた。
2010-04-18 01:52:00悲しい泣き方だった。 芸術的と言っても良いくらいだった。 あいつは手で顔を覆って、小さく嗚咽を漏らして泣いていた。 結局、あいつは親に心配してほしかっただけだったんだろうな。 俺みたいな奴に連れていかれて、変なことされるかもしれないのを心配してほしかったんだ、アイツは。
2010-04-18 01:54:15俺は、抱きしめてやった。 それが正しかったかどうかはわからないけど、俺はそうするしか頭に浮かばなかった。 今でもそれが正しいのかはわからない。 あいつは大きな声で泣き始めた。 あいつの悲痛な叫びは、雨のせいで外には伝わらなかった。
2010-04-18 01:57:26それからの記憶はひどくぼんやりしている。 あいつを家に連れていってやり、体を洗ってやった。 俺たちは一言も口を聞かなかった。 体は繋がったのに、俺達の心はどうしようもないくらいに千切れ合ったような気がした。
2010-04-18 02:02:40俺は……なんて言えばいいのか上手く表現できない、多分不適当だとは思うけど……悲しい気分になったんだ。 心が離れた事が悲しかったんじゃない、心が離れたのにも関わらず、それほど気にならなかった事が悲しかったんだ。
2010-04-18 02:08:28俺は、そんなにあいつを愛していなかったんだ。 そしてそれはあいつも同じだった。 当り前だ、どちらも相手を利用することしか考えていなかったんだからな。 俺は性処理がしたかったし、あいつは親の愛のためだった。 そしてあいつの欲求だけは満たされなかった。
2010-04-18 02:10:25今日は有難う。アイツは静かに笑って言った。その時のあいつの笑みを、俺はどこか自嘲気味て感じた。いや、実際あいつは自分に対して嘲笑を浮かべていたんだ。 俺は義務的に気にするなとか、楽しかったとか言ったと思う。
2010-04-18 02:15:08あの時の俺ほど、無慈悲で浅慮な奴はいなかったと思う。 俺はそのまま傷ついたそいつを残して、自分の家に帰った。 それでこの話は終わりだ。 話は終わったが、俺は今でもそのことを気にしているんだ。 後悔ももちろんしている。もっとあいつに、なにか出来たんじゃないかと、未だに思う。
2010-04-18 02:18:45でも思うだけだ。 多分、自分に対しての保身なんだろうな。 あいつを心配することで、俺は俺が酷い奴じゃないと思い込もうとしてるんだ。 そうやって自分の事しか考えてない奴なんだ。
2010-04-18 02:21:09話しておきたかったんだ。 話すことで、少しでも良いから楽になりたかった。 長々と話して悪かった。 聞いてくれてありがとう。 すっきりしたよ。
2010-04-18 02:22:54