ハードボイルドDOOM褒め探偵ニック エターナル

アロハ天狗 @Aloha_Tengu

そして、コレは…！？下半身は武装ホバー・メック、生身部分は凶暴なデーモン、片手はチェーンソー、もう片手にはキャノン、頭には角。なんてことだ、宇宙一カッコいい…！24 pic.twitter.com/nS8mWiLpZU

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最後に、ドゥームスレイヤーと同じ意匠の鎧を身に纏った暗黒冥界戦士…　25 pic.twitter.com/Kan82dV6Zw

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その時だ、俺の視界がホワイトアウトする――これは――未来の記憶…！？――　26

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≪このマローダーとかいう奴はカウンター以外でダメージが通らず事実上のタイマンを強制してくるのでゲームのリズムから浮いていて海外とかだとめちゃ不評だが、俺はカウンターでショットガンで殴るのが結構楽しかったので特に不満はなかったが文句言うやつの気持ちもわかる……≫ 　27

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「ニック、どうしたの？」 「…！いや、なんでもない…。それよりどうやら、俺が間違っていたようだな。これほどファッキン・ヘヴィ・メタルな敵が現れるゲームがハードコアでない訳がない、いや、ウルトラ・ハードコアでも生ぬるい。だとしたら君の悩みは…？」　28

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「わかってもらえたようね。でも、実際の映像を観るのが一番よ。」 ステイシーは胸元から携帯型のデジ・ＰＤＡ端末を取り出した。最新型だ。動画もフルカラーで再生できる。民間人に手が出せる代物じゃない。この女、何者だ？　29

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「こんなＰＤＡになんかすぐに関心がいかなくなるわよ。私の胸にもね」 ステイシーはそう告げると、ＰＤＡのキーボードを操作して動画を再生した。30

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youtube.com/watch?v=qgvV4G…

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見終わって暫くの間、言葉を発することができなかった。 なんてことだ…あまりにもハイスピード＆ウルトラバイオレンスすぎる… 「こんなゲームが発売されたら…人類は…！」　31

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「そう、余りにも超戦闘的なゲームプレイによってTOSO=HONO（訳注：闘争本能）が刺激されすぎて、プレイした人間は良くて廃人、恐らくはゲーミング・サイコキラーが街に溢れかえることになる。そうなったらこのネオ・サンフランシスコは…いえ、世界は終わりよ」　32

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「なんてことだ…これほどULTRA-VIOLENCE（訳注：ウルトラバイオレンス）でハイ・ヴォルテージなゲームはもはや人間の手には追えない…クソ、イカレ科学者どもめ。好奇心に任せてこんなものを発明しやがって！」 俺は引き出しからスコッチのボトルを取り出し、グラスに注ぐと一息に飲み干した。 33

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その時、妙な違和感に気づいた。 「ステイシー、待ってくれ、このスクリーンショット…プレイ動画…何か変じゃないか…？プレイヤーの所持弾数が妙に少ない」 34

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「確かに…！！何故…設定ミスかしら…？でもニック、これなら弾が少ないからゲームのバイオレンス度合いも大分減るわ！だって撃つ弾が無いんですもの！人類は助かったかもしれないわ！…ニック？」　35

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思考が凝縮し、意識が内側に閉じていく。アルコールとニコチンとアドレナリンが脳の淀みを取り去っていく。 この違和感…その先にあるもの…答えは既に手の中にあるはずだ… 少ない弾薬…チェーンソー…高まった機動性…強力な敵… 次の瞬間、全ての点と線が繋がる。まさか…いや、間違いない。 36

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俺はステイシーの両肩に手を置いた。 「ステイシー、違う。所持弾数の少なさこそが奴らの最後の１ピースだったんだ！」 「どういうこと、ニック？」37

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「所持弾数が少ないから、すぐ弾切れになる。そこまでは確かにそうだ。じゃあ弾を回収するには？チェーンソーが今作では時間チャージ性になって使いやすい。だから、強化された空中ダッシュや二段ジャンプで敵に素早く近づき、チェーンソーで残虐に殺し弾丸を強制ドロップさせる」38

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「それではむしろ弾が余るか？いや、今回の敵はどれも凶暴で凶悪なブルータル・デーモン揃いだ。弾をケチる余裕なんてどこにもない」 「ちょっと待ってよニック。貴方の話は矛盾だらけよ」 「そうか？」　39

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「そうよ！いい？敵に近づかなきゃ弾は手に入らない。でもその凶悪な敵に近づいてたらライフやアーマーがいくらあっても足りない…待って…ああ、わかったわ！」 「そうだ。そこで、瀕死の敵に残虐なトドメをさすことでライフを落とさせるグローリーキルだ」　40

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「つまり貴方はこう言いたいのね…？DOOM ETERNALは、ありったけの弾丸を敵の大群に叩き込み、そのまま高速で敵に近づいて残虐キルで弾薬とライフを補給。攻撃・移動・回復の全てが暴力と殺戮の超高速エンドレス・ワルツに繋がるハイパーアドレナリンゲームだと…」41

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「そういうことだ。そして恐らく、音楽は全部超 HOTでハードなヘヴィ・メタル・サウンド…これはまだ証拠は無いが、な」 「こんなゲームが本当に発売されたら、街は脳をアドレナリン漬けにされたジャンキー達で火の海となるわ…ニック、流石ね。貴方に依頼して良かったわ」42

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「待つんだ。依頼を受けるとは言ってないぜ、これはただの世間話だ」 「ニック…」 「この事件はデカすぎる、世界を救うのは過ぎた仕事だ、一介の探偵にはな」 「ニック、お願い…」 「お帰りはあちらのドアからどうぞ」43

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ステイシーを見送ると、俺は窓のブラインドを閉め、二杯目のスコッチに口を付けた。 DOOM…彼女の話が真実なら…いや、この件にはもう首を突っ込まないと決めた。キャサリンの死に顔を思い出す。スコッチを喉から流し込む。　44

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その時だ。 窓の外から乾いた銃声。三発。くぐもった唸り声。45

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クソ、俺は大間抜けだ。引き出しからS&W M36を取り出し、雑居ビルの階段を駆け下りる。 赤のキャデラックが猛烈な速度で走り去っていく。ナンバーは死角に入って読み取れない。ああニック、この街一番の名探偵め。　46

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俺は歯噛みしながら、街路灯の側に倒れるステイシーに駆け寄った。胸に三発。致命傷だ。 だが、その銃創から血は流れず、緑色に光る粒子が零れる。 「ステイシー、君は…！？」　47