連続テレビ小説『スカーレット』とはどんなドラマだったのか?その2 芸術という側面から見た補足考察のまとめ

前回のまとめでは、余り芸術という側面からは語らなかったけど、それでは充分ではないと芸術という側面からの考察もしてみたけど、補足としてはボリュームが大きくなったので、前回のまとめとは別にまとめました。
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窪田浩一 @ko1kubota

元々喜美子は子供の頃には琵琶湖の絵を描いたり、中学生の頃に金賞を取った絵は紅葉の絵だし、大人になってからも花のスケッチをして絵付小皿の絵柄にしたりと、自然の雄大さや美しさに触発されて、それを絵に描くタイプで、完全に外からのインプットがないと作品が作れないタイプ。 #スカーレット

2020-05-06 21:43:02
窪田浩一 @ko1kubota

それも八郎の様に喜美子の太陽の様な笑顔触発されて、朱色の大鉢を作ると言った、触発されたものからイメージを膨らませて、全く異なった形の作品に昇華させるタイプではなく、直接的に花から触発されて花の絵を描くというインプットとアウトプットの差が小さいとタイプ。 #スカーレット

2020-05-06 21:46:16
窪田浩一 @ko1kubota

どちらが芸術性が高いタイプかと言えば明らかに八郎の方だと言えると思う。視聴者の中には八郎は凡人だから悩む、喜美子の様に悩まないのが天才だと思う人がいるのかもしれないけど、花を見て花の絵を描くのに悩む人はいない。 #スカーレット

2020-05-06 21:50:17
窪田浩一 @ko1kubota

また全ての芸術はそれを作った人の人間性が出るものだと思う。その人間性とはフレアの歌詞に私を作る出会いとさよならとある様に、その人の生きて来た経験。多くは他人との関わりを通して形成されるものであり、全ての芸術作品とは外からのインプットよって作られると言って良いと思う。 #スカーレット

2020-05-06 21:52:53
窪田浩一 @ko1kubota

そう言う意味で、八郎は外からのインプットがないと作品が作れないから凡人という様な評価は完全な的外れで間違っていると思う。そして、喜美子は中々自分の作品を始める事はなかったし、八郎に勧められて最初に自分の作品を作り始めた時には、僅か数作でやめてしまった。 #スカーレット

2020-05-06 21:56:02
窪田浩一 @ko1kubota

それは喜美子の中に創作衝動の様なものがなかったからだろうし、外からのインプットがなかったからでもあるだろう。それだけでなく、喜美子に女が陶芸家になんかなれる筈がないという抑圧があった事も大きい。 #スカーレット

2020-05-06 21:59:06
窪田浩一 @ko1kubota

そういう抑圧があったから、喜美子の中の芸術性というのは美しい花を見て花の絵を描くという直接的なレベルから中々成長しなかったとも言えるかもしれない。八郎が金賞を取った後、その先に進むのに悩んでいた時期に、自分も一緒に前に進む事が八郎の背中を押す事になるかもしれないと… #スカーレット

2020-05-06 22:01:41
窪田浩一 @ko1kubota

喜美子の作った作品は余り独創的とも言えないもので、喜美子の中に芸術家としての才能が眠っている様には見えなかった。しかし、喜美子が芸術家としての片鱗を見せた事が一度だけある。フカ先生の絵を語る八郎の言葉に触発されて、湖から飛び立つ鳥の絵を描いた時だ。 #スカーレット

2020-05-06 22:05:02
窪田浩一 @ko1kubota

今まで目に見たものを絵に描く事しかしてこなかった喜美子が、初めて言葉で聞いた事からイメージを膨らませて、実際には見ていないものを想像で描きあげた。それは喜美子の八郎への恋の始まりであると同時に、喜美子の芸術家への最初の一歩だったと思う。 #スカーレット

2020-05-06 22:07:25
窪田浩一 @ko1kubota

八郎はその絵に感動し、喜美子に恋すると同時に、喜美子に芸術的才能があると気付いた最初の出来事だったと思う。喜美子の秘めた才能を花開かせたのは最初から八郎だったのだ。そして八郎もまた喜美子と出会う事で芸術家としての才能を開花させて行く。 #スカーレット

2020-05-06 22:10:25
窪田浩一 @ko1kubota

八郎の新人賞受賞作は喜美子の笑顔に触発されたものだし、金賞受賞作はジョージ富士川に触発されたと思ってる人が多いと思うけど、僕はジョージ富士川の体験教室を無邪気に楽しむ喜美子の姿に触発された作品だと思う。 #スカーレット

2020-05-06 22:13:36
窪田浩一 @ko1kubota

そして金賞の次に今度はフカ先生の年賀状から触発されて作品を作ろうとするが、それは結局形にならなかった。それは今にして思えば、そのインプットは喜美子からのインプットではなかったからではないかと思う。 #スカーレット

2020-05-06 22:16:14
窪田浩一 @ko1kubota

八郎は喜美子からのインプットがあってこそ、自分の本来持っている才能以上の力を発揮してレベルの高い作品を作れるのだろう。喜美子への愛が八郎の芸術家としての潜在能力を引き出す原動力になっているのだと思う。では和食器セットはどうなのだと言う人がいるかもしれない。 #スカーレット

2020-05-06 22:18:29
窪田浩一 @ko1kubota

八郎に和食器セットを着想させたのは三津だと思ってる人が多いかもしれない。でも、僕はそれはひとつのきっかけに過ぎず、実際には八郎が和食器セットの方向に向かったのも喜美子からのインプットだと思う。 #スカーレット

2020-05-06 22:21:21
窪田浩一 @ko1kubota

先ず、喜美子は八郎が先に進めず悩んでいた時、八郎の背中を押す為にと自分も作品作りを再開するが、その時に喜美子が使った作品は、八郎が独自の造形力があると評価していた様な作品ではなく、花の絵が刻まれているなど喜美子らしさの出ている作品ではあったけど… #スカーレット

2020-05-06 22:23:13
窪田浩一 @ko1kubota

方向性としては八郎の作品の方向性に近かったと思う。それはかつて使ってくれる人が喜んでくれる事をイメージして作りなさいと言った八郎の教えを守っている様な作品で、春のお祝いでご馳走を盛り付けるのをイメージさせる様なそれを使う人の姿が見える様な作品だった。 #スカーレット

2020-05-06 22:25:43
窪田浩一 @ko1kubota

同時に喜美子は川原家で日常的に使う食器も作り始めるし、八郎にも作らせている。それまで川原家では川原工房で作った食器は使わず既製品の瀬戸物を使っていた。自分の家で使う食器を作る暇があるなら、売る為の食器を作るというくらい忙しかったのだろう。 #スカーレット

2020-05-06 22:28:27
窪田浩一 @ko1kubota

しかし、八郎が金賞を取った事で、お金にならない自分達で使う食器を作る余裕も出来たのだ。そして百合子はお茶碗が変わっただけでこんなにご飯が美味しく感じられるなんてと驚き、それを聞いて喜美子は大喜びした。自分が作った食器を使ってくれた人に喜んで欲しい。 #スカーレット

2020-05-06 22:31:46
窪田浩一 @ko1kubota

それは八郎が目指していた原点だった筈だ。そして、喜美子と一緒にコーヒー茶碗を作り、大野夫妻に喜んで貰って、それがお金に変わって喜美子は大喜びして、それを見た八郎も嬉しかった。そんな2人の陶芸家としての原点を思い出し、そこに戻ろうと決めたんだと思う。 #スカーレット

2020-05-06 22:34:24
窪田浩一 @ko1kubota

結局、八郎は常に喜美子に突き動かされて作品を作って来た。喜美子がいないと満足出来る様な作品は一度も出来なかった。だから喜美子と離れたら作品が作れなくなった。作品を作る意欲を失ったと考えれば、それは自然な事だったのかもしれない。 #スカーレット

2020-05-06 22:38:34
窪田浩一 @ko1kubota

喜美子の力がないと作品が作れない。でも八郎の中に元々芸術を愛す心、陶芸を愛す心があり、喜美子の力がなくても作品を作れる様になりたいという思いがあり、それが過去を壊して前に進むという決意に繋がったのだろう。しかし結局八郎が再び陶芸に向き合おうとしたのは武志の為だった。 #スカーレット

2020-05-06 22:42:09
窪田浩一 @ko1kubota

陶芸家を目指す武志に為に、自分が陶芸する姿を見せ、武志の為に新しい手法を一緒に考えてコーチ的な役割をして、最後は武志の為に作ってあげたかった病人でも負担が小さい軽い食器を作るという新しい目標を得て旅立って行った。 #スカーレット

2020-05-06 22:45:33
窪田浩一 @ko1kubota

結局八郎は自分にとって大切な人からのインプットがないと作品が作れないタイプの芸術家だった。それが喜美子から武志に代わっただけであり、八郎にとって武志は喜美子と同じ位大切な存在だったという事だと思う。 #スカーレット

2020-05-06 22:47:26
窪田浩一 @ko1kubota

そして、将来きっとまた八郎は喜美子に触発されて作品を作る日が来るんだろうと思う。では、喜美子の方がどうなのかと言うと、僕は喜美子も同じだと思う。あの八郎の話に触発されて絵を描いた時から、喜美子の作品作りは全て八郎に触発されたものだったと言えると思う。 #スカーレット

2020-05-06 22:49:22
窪田浩一 @ko1kubota

喜美子が自然釉の再現に向かって行った最初のきっかけは、自然釉の欠片に励まされたから、自分も誰かを励ましたいというものだった。でも、穴窯での作品作りを進めて行く過程で、それは自分に陶芸を教え、女は陶芸家にはなれないという抑圧から解放してくれて後押ししてくれた… #スカーレット

2020-05-06 22:52:27