楽器の鳴らし方(意識することの弊害、圧力のかけ過ぎについて)
- carmine_RR
- 4267
- 0
- 3
- 0
人間の行動は、意識してやろうとすると何気なくやっているときよりパフォーマンスが落ちることが多い。例えば錠剤を飲み込む。食事のときは平気でもっと大きいものを飲み込んでいる。大きな声を出すのもそう。びっくりしたときは大声が出るのに、人前で大きい声を出そうとするとなかなかできない。
2011-06-11 06:34:58その理由は、緊張して意識的にからだを操作しようとすると、間違ったところに意識が集まってしまいやすいから。本当は意識は散らばっていた方が良い。先にあげた二つの例だと、「のど」に意識が集まることで逆にパフォーマンスが落ちる。本当はのど以外のいろんな筋肉が連動して働いている。
2011-06-11 06:38:17楽器でもそう。violinで大きな音を出そうとすると、たいていは弓を押しつける力を大きくし、弦を押さえる力を強くすることで音量をあげようとする。でもそれは、大きな声を出すときにのどにだけ力を入れて怒鳴るようなもの。余計に聞えなくなる。
2011-06-11 06:41:27怒鳴り声は、ある部分に圧力がかかり過ぎている状態で、無理矢理出している。怒鳴り声は自分の近くではうるさいが遠くに行くと聞こえない。音程やアーティキュレーションが不明瞭。怒鳴り声ではハモれない。
2011-06-11 06:44:32意識するときの弊害を防ぐ方法としては、別の所に意識を置くポイントをつくる、いいときの感覚を覚えていて出せるようにする、そもそも意識しないでできるようにする(操作モードにならない)などがある。声を出すのであれば、のどではなく腹や骨を意識するとか、ハミングで共鳴する感覚を覚えるなど。
2011-06-11 06:52:36あとは反対のことを意識するのもいい。例えば、腕を速く挙げるとき。すでに挙がった状態から腕を何度か落としてやり、身体に覚えさせてから、イメージの中で腕を落としながら腕を挙げると普通より速く挙げることができる。文字で書くとややこしいが、身体を無意識に任せやすくなるのだ。
2011-06-11 06:59:40他動詞ではなく自動詞で意識するのも有効。「音を出す」ではなく「音が出る」、「動かす」ではなく「動く」。頭は良い状態、完成形をイメージしながら、身体は無意識にまかせる。
2011-06-11 07:06:03共鳴状態(良いバランス)に入るには、できるだけ自分の入力は最小限にして、まず相手からの力を感じる。操作モードではなくて、感知モード。耳をすませる。押しているのではなくて、押されているのを感じる。鳴らしている音じゃなくて、楽器が共鳴して鳴っている音、勝手に鳴っている音を感じる
2011-06-11 07:13:54バランスをさぐるためだから、小さい小さい音でいい。限りなく自分の入力を小さくして耳をすませる。良いバランスになると、ふっと質が変わる。音の響き、通り方、音色、倍音、響いている場所などが変わる。
2011-06-11 07:20:18見つけたら、その鳴り方を大きくしてやればいい。とにかく勝手に鳴るように、楽器が喜ぶように。良い鳴り方をしている元気な楽器だと、弾いている感覚としては何もしていないのに楽に音が出るようになる。
2011-06-11 07:22:40たぶん、ほとんど全ての楽器は、圧力をかけ過ぎているために鳴りにくくなっている。怒鳴りつづけるとのどが嗄れる。肩叩きを強くしないと気持ち良くないからと言って強く叩いていると不感症になり、次はもっと強く叩かなければならない。圧力の強い鳴らし方に慣れている楽器は、反応が悪い。
2011-06-11 07:31:11大きな音を出すためにもっと力をかけるため、負のスパイラルに入る。violinなら弦を擦る音ばっかりしたり、表板の一部分しか鳴らなかったりする。管楽器なら口元だけ鳴っていてあとは空気がぼおっとふくらむ音ばかりする。そういう状態だと、音程が綺麗に聞こえないし、特にピアノが鳴らせない。
2011-06-11 07:34:43どうしても発音体(弦とかリード、声帯)付近に意識が集中し、そこで音が止まってしまいやすい。楽器が鳴らない、きつい音がすると感じている人は、ピアニッシモでまず楽器の他の部分が共鳴している音を聴くといいと思う。ピアニッシモで綺麗に鳴ってくれば楽器は元気になる。
2011-06-11 07:43:10