掌小説語り~自作つぃのべる集~50

自作ついのべるのまとめです。 2017年6月分。
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リュカ @ryuka511

魔王軍が世界を侵攻する。ある者はヤケ酒をあおり、ある者は神に救いを求め祈った。またある者は果敢に戦い、ある者は地の果てまで逃げた。別の者は怪しげな護符を売り歩き、別の者は財を手放し最期を待った。人々の悲喜こもごもに魔王は笑う。かくも世界は醜く、美しい。 #twnovel

2017-06-26 00:31:12
リュカ @ryuka511

魔女の溜息を精製した秘薬はあらゆる病に効く。だが、魔女達は傲岸不遜で溜息など吐かない。やれやれと深い溜息を吐いた時、空のフラスコに白い靄が湧く。なぜ私の溜息に反応するのかと戸惑った時、一人の魔女が現れた。「やっと目覚めたか。秘薬の作り方を知っている時点で気付け」 #twnovel

2017-06-27 01:20:15
リュカ @ryuka511

ベッドに臥せってもう何日も経つ。吐血した血が宝石に変わる奇病にかかり、誰にも会う事を拒み部屋に籠る。最初は僕の病を気味悪がった連中は、宝石を目当てに群がるようになり、誰も病を治そうとはしなかった。紅い宝石に変わった血を隠す。これは誰にも渡さない。例え僕が死んでも #twnovel

2017-06-28 01:24:53
リュカ @ryuka511

「博士、こんな所でスリープモードに入られては困ります」少年は机に突っ伏している師匠に歩み寄る。起きない師匠の身体を担ぎ上げベッドへ運んだ「博士はいつも違う時間にスリープモードになる。不思議だなぁ」アンドロイドの少年は、師匠が世界で最後の人間だとは知らない。 #twnovel

2017-06-29 00:03:17
リュカ @ryuka511

ひらり、と紙一重で敵の攻撃をかわす君を見ていると、いつも不安になる。君の実力からすれば、あんな攻撃もっと余裕をもってかわせるはずなのに。「モンスターって案外弱いんだな。戦いにはスリルがないと」そう言って笑う君は、まるで死に場所を求めて戦っているように見えて。 #twnovel

2017-06-29 23:31:59
リュカ @ryuka511

宴の喧騒から逃れテラスへ出た。柵にもたれかかるとグラスを煽る。夜風が心地よい。「英雄が離席しちゃダメだろ?」振り返ると戦友がグラスを手に立っていた。「お前もな」二人で改めてグラスを合わせる。「喜んでばかりもいられないさ」「だな」この場にいないもう一人の友を偲ぶ #twnovel

2017-06-30 23:44:56