サンキュ.リガちゃん(大いなる少女まんがな幻覚)

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

彼女と別れて傷心のガ口に付き合って、公園でいっしょに花火してブランコに座って黙って隣にいてくれて、突然鼻歌歌って和ませてくれるリ才フォーティア……はーーーーオメーーーーほんとはガ口に彼女できる前からガ口のことすきなくせに優しすぎんだろ……(幻覚です)

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

リ才フォーティア、ガ口に髪切るなら付き合うとか言うの！？！？かわいくない！？！？髪切るならガ口短髪にしない！？！？短髪ガ口かわいすぎない！？！？推しが短髪になるとものすごくコーフンするんだけどリ才は大丈夫！？！？！？！？わたしはだめ！！！！

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

サンキュ.リガちゃん、その後よく夜の公園のブランコでお喋りするようになって、お互いその時間が一日のうちでなによりも心地のいい居場所になるんだ……ガ口にとってリ才がとてもかけがえのない存在になってゆくんだけど、リ才はガ口と友だちでいるために彼女つくろうとするんだよな……(ベタ)

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

リ才が彼女つくって、夜の約束もなくなっちゃって、それでもガ口は夜の公園のブランコで待ってるんだ……冬でさぁ、寒いんだけどそれでも待っちゃうんだよな……来ないって分かってても、ここでの時間がいっとう大事だから、って……

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

そうか、オレ、リ才のことすきになってたのか……それなら、また失恋したんだな……前はリ才がいてくれたけど、今はひとりぼっちだな……ってしょんぼりしちゃう。でも花火のこと思い出して、花火しよっかな、綺麗だったもんな、って思い立って花火買ってくるんだよガ口くんは

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

冬の花火、いいよね。見上げたら真っ暗な空に銀色の星がいっぱいで、見下ろせば花火の勢いよく吹き出る色とりどりの炎。とてもきれい。きれいで視界が滲む。涙が出てきたから。きっと煙のせいだ。ぽろぽろ涙がこぼれて止まらない。これは煙のせい、言い訳しながら炎が消えてゆくのを最後まで見届ける。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

大切な時間だった。リ才とふたりで、いつものふたりらしくなくぽそぽそと言葉を交わすこと、隣あってお互いの気配だけ感じ取ること、時々ブランコをこいで何処まで高くゆけるか競争すること、ひとしきり笑ってそのあとまた穏やかな沈黙をまとうこと。ガ口にとっては何より幸福な時間だったのに。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

冬の空気は冷えていて、涙が辿った頬がつめたくなる。しゃがみこんで俯く。花火、もったいないけど、もうたぶんできないな、と思いながら、ガ口はジャケットの袖で顔を拭う。ちくしょー、立ち直るのに時間がかかるぞコレ、ってグズグズしてると突然、覚えのある馬鹿力で顔を無理やり上げさせられる。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

予想通り、視界いっぱいにリ才の顔。何故か怒ってる。なんで。どうしてここに。問おうとして、驚きのあまり声が出ない。 「この、大莫迦野郎！！」 先を越されて、つんざくようなバカでかい声で怒鳴られる。 「もう来なくていいって言っただろ！！」 言われた。でも来ちゃったんだ、しょーがない。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

「でも、お前も来てるじゃん」 「それは」 来てくれた。だって彼女とデートじゃなかったっけ？まあいいや。だってうれしい。リ才が来てくれた。うれしい。二度と、選ばれないって思ったのに。 冷えた両頬に添えられた手があったかい。うっとりと目を閉じて、ガ口はぽつりと呟いた。 「ありがとな」

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

もういいや。花火の火が消えた時、いっしょに終わりだな、って思ったけど。でもやっぱり、すきなんだ。ごうごうと強くは燃やせないけど、それでもこの想いは消せない。 誰にも知られない、ちいさな炎。終わらせなくて、いいや。リ才に彼女がいても、友だちのままでいいから、勝手にすきでいよう。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

「ガ口……もしかしてお前泣いてたのか？」 今更気付いたようで、リ才がガ口の頬を慌てて拭う。嘘みたいにやさしい手つきだ。 「リ才、オレさぁ」 ガ口はとびきりあかるく、わらった。 「すきなやつがいるんだ。失恋、したんだけど。でもたぶん、これからもずっと、すきだ」 お前のことが、ずうっと。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

ガ口にすきなやつができた。 その想いの強さは前の彼女への比じゃない。失恋したのに、前よりずっとひどく泣いていたのに、それでもこれからもすきだとガ口は笑った。その顔があまりにも愛おしくて、抱きしめたくて仕方なくなった、けれど、腕を伸ばすのを必死で耐えた。ぼくたちは友だちだから。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

お前を泣かせたやつを、それでもすきだって言うのか。 (ぼくなら) 絶対に泣かせないし、なによりも大事にするのに。お前にすきになってもらえたのに、応えないで泣かせるなんて。ふざけるな。そんなやつにお前を任せられるか。絶対に許せない。どこの女か知らないが、見つけ出して問い詰めてやりたい。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

――なんて、臆病者のぼくに言う資格、ほんとうはない。 ぼくは、ガ口に気持ちを伝えて、拒絶されたり嫌われるのが怖いのだ。だから、これはただの嫉妬からくる八つ当たりだ。ガ口のこころを奪った女への。 それでも、泣いているガ口ひとりにさせずに済んでよかった。涙を拭うことができて、よかった。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

「いや、よくないでしょ」 真正面から彼女にバッサリ切り捨てられて、ぐっと言葉に詰まる。 「バカね、何でその時キスしなかったの？」 「はあ！？できる訳ないだろ！？」 「でもあたしが思うに、ガ口くんて押せば落ちると思うわよ？」 「くっ……悪魔の囁き……」 「ひどいわね、アドバイスとお言い」

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

ぼくに無茶を言ってのける彼女こそ、ぼくの交際相手だ。ただし表向きの関係であり、ぼくらにはそれぞれ本命がいてお互いにその気はいっさいない。 よっつ年上で講師で、ぼくと同じく他人には言えない恋をしているひと。時々こうしてデートを装いカフェで愚痴を言い合っている。今ではいい相談相手だ。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

「ねえ、そろそろ時間じゃないの？」 「ああ」 伝票を持ち席を立つ。今日はぼくが支払う番だ。貸し借りなし、詮索しない(そもそも興味がないが)がぼくらの暗黙のルールだ。 「進展あったら報告してね〜」 ひらひらと手を振って見送る呑気な彼女に大きなため息ひとつ。進展なんて、ある訳ないのに。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

ガ口はなぜだか夜の公園がすきらしく、あの泣いた日以降も時折夜にブランコでぼんやりと佇んでいた。 あんな風にひとりにしたくない、ひとりで泣かせたくない。そう思う一心で、ぼくは無理やり週一で会う約束を取り付けた。今日はその約束の日だ。 ガ口に会える。そう思うだけで胸がひどく高鳴った。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

いつもどおりガ口はブランコに座っていた。寒いのにマフラーも手袋もしてない。全く、ほんとうに世話がやける。バッグの中から大判のストールを引っ張り出し、頭から被せてやった。 「おわっ！？」 「莫迦。もっと着込んでこい」 「リ才、これ」 「被ってろ。貸しにしてやる」 「……へへ、悪ぃ」

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

なぜだか知らないが、ガ口はふわふわ笑っている。くそ、意味わからんくらいにかわいいな。こいつ、自分の顔の良さは分かってるのに、自分のかわいさを全然分かってない。ああ、でもよく見ると鼻の頭が真っ赤だ。隠れてるけどたぶん耳も。かわいいというより、段々かわいそうになってきた。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

「なあ、どこか店に入らないか？まだ寒いから風邪ひくぞ」 ぼくの提案にガ口は眉を下げて困ったような、哀しそうな顔になってしまった。 「ここじゃだめか？」 「あー……いや、だめじゃない。だめじゃない、から……うん。ここでいいから」 場所なんてどこでもいいのだ。ガ口の傍にいられるのなら。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

@tos 「そういえばこの前会ったぞ」 「誰に？」 買ってきたホットコーヒーを渡すとき、ガ口が切り出してきた。 「お前の彼女。ピザ屋でたまたまだけど」 驚きのあまり、飲んでいたカフェオレを吹き出しそうになる。いつの間に。本人からは何も聞いてないぞ。 「その、彼女と何か話したのか？」

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

@tos 「いや、特には。あ、でもクーポンくれたな！」 ちょっと待て。なんでそんなにさくっと餌付け(？)されてるんだお前は。ちょろすぎるだろ。 それにしても……ガ口に彼女の話をされるとひどく居た堪れなくなる。まっすぐなガ口にしたら、偽りの恋人を作ることなんてきっと許せないだろうから。

ゆゆ蔵🔥🚒 @tsaeraf_333

@tos 「すげーいいひとだよな。美人なのに笑うとかわいいし」 「はぁ！？」 お前の方が100億倍かわいいが！？！？と、声を大にして言いたいのを必死で我慢する。こいつ、ああいう女をかわいいって思うのか。莫迦め、全っっっっっっ然分かってない。言っておくがお前の方が100億倍かわいいからな(2回目)