サンキュ.リガちゃん(大いなる少女まんがな幻覚)
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@tos 込み上げる想いを押し込め、ぼくはガ口のすきな相手について聞き出すことにした。 「んー、そうだなあ……金髪でちいさくて、すげぇ美形だな」 またか。こいつ結構面食いなんだよな。前の彼女も金髪で小柄で端正な顔立ちだった。 「性格は?」 「言わなきゃダメか?」 「聞いちゃダメなのか?」
2020-05-18 17:49:19![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tos 「そんなことねぇけど……」 渋々と、それでもガ口は語り出す。 「その、見た目から想像できないくらい芯が強くて、面倒みがよくて決断力があって、でも愛情深くてやさしくて……うん、オレはすごく尊敬してる」 口元は綻び、目はきらきらしてる。ガ口にこんな顔させてここまで言わせるなんて。
2020-05-18 17:53:33![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tos (ほんとうに、すきなんだな) 自分から聞いたのに、勝手に嫉妬して傷ついてしまう。 「リ才?どした?」 「いやなんでもない。それで?」 「え、まだこの話すんの?」 「当たり前だ。お前が振られるなんておかしい。原因が分からないと納得できない」 ガ口はきょとんとして、少し笑った。
2020-05-18 17:57:24![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tos 「リ才ってそんなにオレのこと買ってくれてんだな」 「まあな」 買ってるって言うか、すきなんだがな。 「……見る目がないんだな、お前のすきなやつ」 嫉妬を抑えきれずに見苦しく吐き捨てると、ガ口はぼくの鼻をぎゅっとつまんだ。 「なにする!?」 「そんな風に言うなよ。リ才らしくねぇぞ」
2020-05-18 18:03:02![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tos 静かな忠告に叱られた子どもみたいに固まってしまう。 「……すまない」 情けない。ガ口に想われている女が羨ましくて、みっともないことを口にしてしまった。 それなのに、ガ口の手はぼくの髪をやわらかく乱す。やさしい感触にほっとする。 「なぁ、別の話しよ?」 ガ口はふんわり笑ってくれた。
2020-05-18 18:10:50![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tos ――ああ。ガ口がどうしようもなく、すきだ。 眩しい微笑みに照らされて、何百回も飽きるほど実感したはずの感情が、また胸を熱く新鮮に埋めてゆく。 妬みを、怯えを、安堵を、慕情を、ばらばらの感情をほんのひとときで味わわせる。ぼくの感情を鮮やかに動かすのは、いつだってガ口だけなんだ。
2020-05-18 18:15:14