繋ぐ本、繋がった君

目立たない文学少年と人気者美少女との、とある恋のお話
0
@Oboro_sakamichi

26 菜:なぁ〇〇、〇〇は好きな人とかおらへんの? 〇〇:…いるよ 菜:え!? 〇〇:なに、僕に好きな人ができたのがそんなに変?

2020-05-11 11:18:55
@Oboro_sakamichi

27 菜:そうじゃないけど…その人って菜緒の知ってる人? 〇〇:うん 菜:そっか… 〇〇:ねぇ小坂さ 菜緒:じ、じゃあね! 〇〇:えっ、ちょっと…!

2020-05-11 11:21:35
@Oboro_sakamichi

28 〇〇が言い終わる前に、菜緒は出ていってしまった。 〇〇:…言いそびれてしまった ー菜緒の家ー 菜緒:はぁ… 菜緒は1人、椅子に座ってため息をついた。

2020-05-11 11:23:54
@Oboro_sakamichi

29 菜緒:〇〇に好きな人、か…一体誰なんやろ…菜緒の知ってる人って言ってたけど… 菜緒は心がもやもやして、とても本を読む気にはなれなかった。 菜:でも、せっかく選んでくれたのに読まないのは〇〇に悪いし…

2020-05-11 11:27:24
@Oboro_sakamichi

30 そう思い、本を開く。 菜:あれ、この本…うちが最初に借りた本やん そう、〇〇が貸したのは一番最初に菜緒が借りた恋愛小説。 その中には

2020-05-11 11:29:42
@Oboro_sakamichi

31 「今日で100冊目だね。たまには昔読んだ本を振り返ってみたら?今読んだら、新たな魅力に気づけるかもよ。〇〇」 菜:新たな魅力か… 菜緒は再びその本を読み始めた。 菜緒:(最初はストーリーの展開だけ読んでたけど、改めて読むと、登場人物の細かい気持ちの変化が分かる…)

2020-05-11 11:33:27
@Oboro_sakamichi

32 そして物語は、女子が男子に勇気を持って告白し、めでたく恋は成就して終わる。 菜:うちも、この子みたいに… 菜緒は、ある決意を抱き、本を閉じた。

2020-05-11 11:36:24
@Oboro_sakamichi

33 次の日、〇〇が本棚の整理をしていると、菜緒がやってきた。 菜:〇〇、これ そう言い、本を差し出す。 〇〇:どうも 〇〇が本を開くと、そこにはいつもあるはずの紙がなかった。

2020-05-11 11:38:02
@Oboro_sakamichi

34 菜:なぁ〇〇 〇〇:なに? 菜:今日、一緒に帰らへん? 〇〇:どうしたの急に 菜:お願い 菜緒の目は真剣そのものだった。

2020-05-11 11:40:45
@Oboro_sakamichi

35 〇〇:…分かった 〇〇は早々に図書室に鍵をかけ、菜緒と共に昇降口へ向かった。 菜:あ、雨… 外はぽつぼつと雨が降り出していた。 菜:どうしよ…傘持ってへん…

2020-05-11 11:43:37
@Oboro_sakamichi

36 〇〇:…入る? 菜:え? 〇〇:だからその…傘、一緒に 菜:ありがとう…// あの時とは違い、〇〇から差し出された傘に入る菜緒。

2020-05-11 11:45:34
@Oboro_sakamichi

37 〇〇:久しぶりだね 菜:そう…やね… 帰り道、菜緒はなかなか自分から話を切り出せずにいた。 〇〇:それにしても、どうして今日は何も書いてくれなかったの? 菜:それは…

2020-05-11 11:48:03
@Oboro_sakamichi

38 菜緒は口ごもり、突然立ち止まった。 〇〇:おっとと…どうしたの?突然立ち止まって… 菜:…この気持ちは、文字じゃなくて直接言いたかったから… 〇〇:え?

2020-05-11 11:50:27
@Oboro_sakamichi

39 菜:あのな、〇〇…うち、〇〇のことが…好き、やねん 〇〇:えっ… 菜:本を貸し借りして、やり取りしてる内に、〇〇の人柄に惹かれてる自分がおってん… 菜:〇〇に好きな人がおることは聞いた…でも、自分の気持ちを諦められへん…

2020-05-11 11:56:29
@Oboro_sakamichi

40 〇〇:小坂さん… 菜:ごめんな〇〇…突然こんなこと言われても迷惑やんな そう言う菜緒は泣いていた。 〇〇:小坂さん、泣かないで 〇〇は持っていたハンカチで優しく菜緒の涙を拭った。

2020-05-11 11:59:16
@Oboro_sakamichi

41 菜:〇〇… 〇〇:小坂さん、好きだ 菜:…え? 突然の告白に驚きを隠せない菜緒。 〇〇:僕も、このやり取りをしてる内に、だんだん小坂さんに惹かれてる自分に気付いたんだ 〇〇:でも、君は可愛くて人気者だし、僕なんかとは釣り合わない…そう思ってた

2020-05-11 12:17:19
@Oboro_sakamichi

42 〇〇:だから、今小坂さんが好きだと言ってくれて凄く嬉しかった そう言って菜緒に微笑みかける〇〇。 〇〇:小坂菜緒さん 菜:…はい 〇〇:僕の彼女になってくれますか?

2020-05-11 12:18:55
@Oboro_sakamichi

43 菜:…はい! 再び涙が溢れる菜緒。 〇〇:小坂さん、また泣いてる 菜:ちゃう…これは嬉し涙や… 〇〇は優しく菜緒の涙を拭った。

2020-05-11 12:22:33
@Oboro_sakamichi

44 菜:じゃあ、せっかく付き合ったんやし、「小坂さん」って呼ぶのなしにしよ! 〇〇:え、じゃあ…菜緒? 菜:…// 〇〇:あ、照れてる笑 菜:う、うるさい!ほら行くで!

2020-05-11 12:25:19
@Oboro_sakamichi

45 〇〇:ちょ、菜緒!待ってよ! 慌てて追いつき、並んで歩き出す2人。 さっきよりも肩を密着させて歩く。 もうすぐ雨は止みそうだ。 ーfinー pic.twitter.com/Up5kQMYJ9z

2020-05-11 12:27:56
拡大