- Banira_moutui
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1 ☆:はぁ...はぁ... 学校まで全速力で走った僕。思い返してみれば、賀喜さんに失礼な対応をしてしまった。 ☆:やってしまった... 女性恐怖症とはいえ、言い過ぎにもほどがある... ☆:朝から最悪だ... 憂鬱な気持ちでとぼとぼと歩いていると...
2020-05-16 15:46:112 〇:碧棺君? ☆:ヒイッ!?...って、川栄君か...驚かさないでよ... 〇:声かけただけなのに... 〇:...何でそんな猫背になってるの? ☆:猫背? 〇:身体に悪いよ。背筋を伸ばして歩かないと。 ☆:...う、うん。
2020-05-16 15:46:563 〇:...何かあったの? ☆:今日の朝賀喜さんと...... 川栄君に先程の出来事を説明した。 〇:...なるほどね。 ☆:女性恐怖症だからって...言い過ぎた... 〇:...君は優しい人間だね。 ☆:えっ?
2020-05-16 15:47:274 〇:自分の過ちをすぐに反省する人間なんてあまりいないからね。 ☆:...いい人間じゃないから。僕は。 ☆:だから人に裏切られたんだ... 〇:...裏切られた? ☆:...あっ。な、何でもない。忘れて。
2020-05-16 15:47:445 〇:...似てるね。 ☆:似てる...?どこが... 〇:僕も中学の頃、親友に裏切られたんだ。 ☆:親友に...?どうして? 〇:...親友だと思っていた。でも彼は僕のことを親友...いや友達ですら思っていなかったらしい。 〇:思い込みだったんだ...
2020-05-16 15:47:596 ☆:... 川栄君にもそんな過去があったなんて... ☆:...確かに似た者同士だね。川栄君の気持ち...よく分かるよ。 ☆:僕の場合はさ... 僕は自然と川栄君に自分の過去のことを話していた。この話は、今まで誰にも話してこなかった。 振られた時に散々色んな人に馬鹿にされた。
2020-05-16 15:48:187 馬鹿にされたから...話したくなかった。 でも、彼なら僕の話を真剣に聞いてくれるはず。共感してくれると思ったから話すことにした。 ☆:...だから僕は女性恐怖症になったんだ。 〇:女性恐怖症になったのは彼女からの裏切り...か。 〇:賀喜さんは手強い相手に惚れちゃったんだな...
2020-05-16 15:48:328 ☆:何で賀喜さんは僕のことを好きになったんだろう? 〇:話したことないでしょ? ☆:ないよ。一度も。 〇:...なんでだろうね。 ☆:理由聞きたいけど、無理だろうなぁ...
2020-05-16 15:48:399 遥香side 遥:... 重い足取りで教室に入った私。そんな私とは裏腹に、笑顔で挨拶を交わしてきたさくら。 さ:おはよう! 遥:...おはよ。 さ:どうしたの?そんな暗い表情して...
2020-05-16 15:48:4410 さくらに朝の出来事を話すと... さ:関わらないで...か。 遥:勇気出して話しかけたのに... さ:碧棺君に何かした? 遥:何もしてないよ... さ:もしかしたら、過去に遥香が碧棺君に... 遥:小学校、中学校違うし...二年生になるまで一度も会ってない。存在すら知らなかった。
2020-05-16 15:49:0611 さ:覚えていないだけで、何かあったんじゃ... 遥:...もういいよ。碧棺君は私のこと嫌いみたいだし。 さ:き、嫌いって...断言されたわけじゃ... 遥:嫌いじゃなかったら、関わらないでなんて言わないでしょ。 さ:...
2020-05-16 15:49:1412 ☆☆side 昼休みの時間となった。今日は何度も賀喜さんからの視線が感じられる。 鋭い視線を向けられているような... 遥:... ☆:... ま、また僕の方を見てる...やっぱり朝の出来事が...
2020-05-16 15:49:2413 さ:ちょっといいかな? ☆:は、はいっ!? 突然遠藤さんが話しかけてきた。れ、冷静になれ。冷静になればなんとかなる... さ:遥香のことなんだけど... ☆:は、はい...
2020-05-16 15:49:3314 さ:碧棺君って過去に遥香と会ったことってあるかな? ☆:あ、会ったこと...はないよ... さ:そっか。 我慢だ...我慢だ... さ:碧棺君って... やばい...冷や汗は止まらないし、息苦しく... さ:だ、大丈夫?汗がすごい...
2020-05-16 15:49:4615 ☆:ちょっと...離れてほしい... さ:え、え?離れてほしい?何で? ☆:...む、無理っ!! さ:碧棺君!? 僕は遠藤さんから逃げるように教室を飛び出した。我慢の限界だった。 女子と関わるのはやっぱり駄目だ...
2020-05-16 15:49:5716 無我夢中で走ってたどり着いた場所は屋上。ここなら、誰もいないはず... ☆:はぁ...はぁ......あれ? 屋上にあるベンチに座っていたのは川栄君だった。 一人で弁当を食べている。 〇:...あっ。 川栄君は僕の存在に気づいたようだ。彼の元まで近づいた僕。
2020-05-16 15:50:3517 〇:息切れしてるようだけど、大丈夫? ☆:大丈夫... ☆:さっき遠藤さんから話しかけられてさ... 〇:...遠藤さんから? ☆:賀喜さんのことで話しかけられたんだ。途中で逃げちゃったけど... 〇:そっか。
2020-05-16 15:50:4918 ☆:...そういえば、川栄君は最近遠藤さんと一緒に弁当食べないね。 〇:...えっ? ☆:前は一緒に弁当食べていた所を何度も見ていたけど... ☆:遠藤さんと何かあった? 〇:...何もないよ。 ☆:そっか。...でも、何だか寂しそうだね。 〇:寂しそう?
2020-05-16 15:51:1119 ☆:遠藤さんと食べている時は、話ながら楽しそうにしていたけど... ☆:一人の時は背中が寂しそうに見えたというか... 〇:... ☆:あっ、ご、ごめん。その... 〇:...君からはそう見えたんだね。 ☆:う、うん...
2020-05-16 15:51:1620 少しの間二人に沈黙が流れる。☆☆は空気を変えようと違う話題に変えることにした。 ☆:お、屋上で弁当食べたこと一度もなかったかも。 〇:そうなんだ。屋上はいい場所だよ。 〇:雲一つない快晴の下で食べるご飯は美味しいよ。風も心地いいし。 ☆:今度ここで食べてみようかな。
2020-05-16 15:51:4621 〇:...この場所を教えてくれたのは遠藤さんなんだ。 ☆:そ、そうなの? 〇:青空の下で食べる弁当は美味しいって言っててさ。 〇:彼女の言ってた事がよく分かる。 川栄君は少し俯きながら話してくれた。悲しげな表情を見せる彼。 やはり遠藤さんと何かあったのだろう。
2020-05-16 15:51:5722 〇:...君はさ。中学の頃、彼女がいるって言ってたよね。 ☆:言ったけど...それが? 〇:彼女さんとの恋愛は...どんな感じだったの? ☆:どんな感じ...そうだね... ☆:...僕からすれば毎日が楽しかったよ。彼女と付き合ったことで、色んな発見ができたし...
2020-05-16 15:52:2123 ☆:いい体験をしたよ。 〇:... ☆:...彼女は、どんな気持ちで僕と付き合っていたんだろうって今でも思う。 ☆:嫌々ながら付き合ってくれたのかな... ☆:罰ゲームじゃなかったら良かったのに。そうなれば女性恐怖症にもならなかったし... ☆:...気づけなかったことが一番悔しい。
2020-05-16 15:52:3624 〇:...君は女性恐怖症を治すべきだと思う。 ☆:えっ? 〇:悔しい思いをしてるなら...もう一度やり直せると思うんだ。 〇:女性と関わるのが怖いというのは分かる。でも... 〇:逃げてばかりじゃ...その悔しい思いは一生消えないと思うよ。 ☆:一生消えない...
2020-05-16 15:52:5125 〇:僕も逃げてばっかりだった。人の気持ちを考えずに、自分勝手な行動ばかりしていた... 〇:そのせいで...大切な人を傷つけてしまった。 ☆:... 〇:...こんな自分勝手な僕を叱ってくれたのは賀喜さんだったんだ。 ☆:賀喜さんが...?
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