カレイドスコープ・オブ・ケオス＃3

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「すまん」トムはサクタに詫びた。突貫工事の解析を誰より知るのだ。サクタは眠い目を擦って笑った。「よくある。よくあります。いつもの困りどころです。……エヴァンズ中尉、貴方はどうです？実際、僕の理論、信じるに足ると思いません？自ずと、ネザー化への対処方法も導き出せますって」　46

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「……」エヴァンズ中尉は眉間にしわ寄せ、サクタを促した。サクタは頭の上で両手を動かしながら説明した。「五重塔がカナダ地域の帯域を酷使してネザー化を進める。それなら、横からその帯域にデブリを流し込んで、パンパンにしてやりゃいいじゃないですか。簡単な事ですよ」「簡単にはいくまい」47

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「いえ、簡単です」サクタは重ねて言った。「ネザーキョウに電子攻撃をかける。ホンノウジはまあ無理。あそこがどうなってるのか、よくわかんないし。でも他に、僕らの尺度で理解できる大規模インターネット設備が、ありますよ」「……！」中尉は気づいた。サクタは頷いた。「そう、ナガシノですよ」48

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◆◆◆ 49

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城塞都市トオヤマの南の荒野には今、ジゴクがあった。散乱するゲニントルーパーとUCA兵の死体がほうぼうに。それらの死肉を啄むハゲタカの群れ。そのハゲタカをトビゲリで殺す、黒帯を締めたカラテハゲタカ。砲弾の痕。破砕した二脚戦車。そして……チャリオッツの車輪跡。　50

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まさにそれはアケチ・シテンノが一人、完全戦士クワドリガの蹂躙の痕にほかならぬ。彼は縦横に走り回り、近代兵器をカラテで破壊し、歩兵の首を刎ね、胴体を貫き、再び本陣へ引き上げていったのだ。UCAの戦力も一時後退を見せ、今ここは、誰一人生きた者のない場所となっていた……否！？「ぷはッ」 51

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泥まみれで折り重なるゲニンとUCA兵の死体をひっくり返し、ラズベリーレッドの髪の女が身をもたげた。女は水色に彩色した瞳を持ち、そして、どうやらニンジャであった。「最悪すぎる……はやくシャワー浴びたい」彼女はUCAでもネザーキョウでもないようだった。　52

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「後はジェラート・スシ……今すぐ持ってこさせたい。デリバリーで。そうやってキモチをアゲていきたい。私は実際、我慢の限界……」手首のデバイスを操作し、走査を行い、その反応を確かめると、彼女は一転、表情を輝かせた。「ア……マジで？……この辺なのか！？ヤバい！」　53

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目的のものに近づきつつある喜びが、彼女のニンジャ第六感を鈍らせた。戦場においてそれは命取りである！「キャキャーッ！」金切り声をあげ、カラテハゲタカが滑空トビゲリで襲いかかって来たのだ！「ンアーッ！？」咄嗟のクロス腕ガードはかろうじて間に合うも、彼女は後ろへ吹き飛ばされ転倒！　54

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「キャキャアーッ！」カラテハゲタカは黒帯を締めており、明確な殺意をもって襲い来る。血に飢えている！今度の防御は間に合わない……！「イヤーッ！」「アバーッ！？」その時、脂肪の塊じみた巨大な影が横から飛び出し、逆にトビゲリでカラテハゲタカをインタラプトしたのだ！弾け飛ぶ黒帯！死！　55

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「ヒャッポ！」必死の形相で、怪ニンジャは彼女を振り返った。振り返って見たときには水面めいて興味を失っていた。「……無論、違うわいな。わかっておる。似ても似つかぬ」怪ニンジャは尻を掻き、その場を去ろうとした。「ア……ちょっと待ってよ。なんか……待ちなって！誰、アンタ！？」　56

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「無礼者」怪ニンジャは目を光らせた。「それが目上の者に対する態度か？まずオヌシが名乗るのじゃ」「……」彼女は彼のアトモスフィアに凄まじい畏怖を覚え、震え上がった。「ド……ドーモ。グラニテです」「グラニテ？フン」彼は鼻を鳴らし、面倒そうに応えた。「ドーモ。モモジ・ニンジャです」　57

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【続く】